第三話:魚の水を得たるが如し
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1月13日 午後10時26分
清原邸 庭園
暗闇に包まれた清原邸の中庭で、赤い鬼が静かに降り立つ。
「到着ッ」
庭の芝生を踏む前に、警官の姿にいち早く着替える。
制帽の下はなんの特徴もない警官の顔だった。
鬼風は自然な足取りで、厳重な警備がされている屋敷へと侵入する。
屋敷の三階にある清原天菱の部屋をめざし、階段を駆け上がる。
ふと、違和感を感じた。
警備の人数が少ない?
不自然に思った鬼風は、罠の可能性を考慮して、警戒しながら部屋の前に行く。
開かないことを確認して、ノブを音をたてずに回す。
カチャッ。
その間抜けな音に、鬼風はぽかんと口を開けてしまった。
それから、罠の可能性が濃厚なことを考えた。
"飛んで火に入る夏の虫"
その言葉が鬼風の脳裏によぎる。
ゆっくりと部屋に侵入するが、やはり人はいない。
鬼風は隠れているのかとも思ったが、鬼以外に人の気配はなかった。
ターゲットを手に入れるため、鬼風は≪蛍姫≫の保管されている金庫に向かう。
金庫のダイヤルを回し、鍵をあっさり解除した。
黒い重厚な扉を開ければ、そこには人形が
「――――っ!?」
『どうした?』
「ない……。」
『ない?』
金庫の中には人形がなく、赤いビロードの布が置いてあるだけだ。
「杏里、本当にここにあるの?」
『間違いない。それともなにか。アタシの計算疑ってるのか?』
「そうじゃないけど。事実、私の目の前に≪蛍姫≫はないんだよ。」
どういうことだ?
鬼風は金庫の中をひたすら厳しい表情で見据える。
『なにかないのか?』
「なにかって言われても……」
鬼風は金庫の壁や金庫の底に敷かれたビロードの布をひっくり返す。
その瞬間、息をのんだ。
『なにか見つけたのか?』
通信機から聞こえる杏里の声に、鬼風は反応しない。
『おい。おい!聞いてんのかっ!』
「……≪ノルン≫……」
その言葉を鬼風が発すると、杏里はピタッと声を止める。
ハハッと鬼風は笑う。
「相棒。どうやら、あちらさん随分早くこっちに接触してきたみたいだな。
お宝の下からこんなラブレターを残してくれるとはな」
赤い布の下には、白いカードが置かれていた。
真ん中の黒丸を囲むように糸巻きが三つ描かれている。
『まさか……』
「奴らだよ。しかも、私たちにわかるようご丁寧に証拠まで残してくれてらぁ」
『本当に奴らが残したのか?』
「……私がこの忌々しいマークを忘れるとでも?」
グシャッとカードを握りつぶした。
「居たぞ!」
背後に警官たちが扉から押し寄せてくる。
「……とりあえずは、ここから脱出だな」
窓へと突っ込み、ガラスを割りながら、中庭へと再び降り立ち、闇夜に消える。
清原邸 庭園
暗闇に包まれた清原邸の中庭で、赤い鬼が静かに降り立つ。
「到着ッ」
庭の芝生を踏む前に、警官の姿にいち早く着替える。
制帽の下はなんの特徴もない警官の顔だった。
鬼風は自然な足取りで、厳重な警備がされている屋敷へと侵入する。
屋敷の三階にある清原天菱の部屋をめざし、階段を駆け上がる。
ふと、違和感を感じた。
警備の人数が少ない?
不自然に思った鬼風は、罠の可能性を考慮して、警戒しながら部屋の前に行く。
開かないことを確認して、ノブを音をたてずに回す。
カチャッ。
その間抜けな音に、鬼風はぽかんと口を開けてしまった。
それから、罠の可能性が濃厚なことを考えた。
"飛んで火に入る夏の虫"
その言葉が鬼風の脳裏によぎる。
ゆっくりと部屋に侵入するが、やはり人はいない。
鬼風は隠れているのかとも思ったが、鬼以外に人の気配はなかった。
ターゲットを手に入れるため、鬼風は≪蛍姫≫の保管されている金庫に向かう。
金庫のダイヤルを回し、鍵をあっさり解除した。
黒い重厚な扉を開ければ、そこには人形が
「――――っ!?」
『どうした?』
「ない……。」
『ない?』
金庫の中には人形がなく、赤いビロードの布が置いてあるだけだ。
「杏里、本当にここにあるの?」
『間違いない。それともなにか。アタシの計算疑ってるのか?』
「そうじゃないけど。事実、私の目の前に≪蛍姫≫はないんだよ。」
どういうことだ?
鬼風は金庫の中をひたすら厳しい表情で見据える。
『なにかないのか?』
「なにかって言われても……」
鬼風は金庫の壁や金庫の底に敷かれたビロードの布をひっくり返す。
その瞬間、息をのんだ。
『なにか見つけたのか?』
通信機から聞こえる杏里の声に、鬼風は反応しない。
『おい。おい!聞いてんのかっ!』
「……≪ノルン≫……」
その言葉を鬼風が発すると、杏里はピタッと声を止める。
ハハッと鬼風は笑う。
「相棒。どうやら、あちらさん随分早くこっちに接触してきたみたいだな。
お宝の下からこんなラブレターを残してくれるとはな」
赤い布の下には、白いカードが置かれていた。
真ん中の黒丸を囲むように糸巻きが三つ描かれている。
『まさか……』
「奴らだよ。しかも、私たちにわかるようご丁寧に証拠まで残してくれてらぁ」
『本当に奴らが残したのか?』
「……私がこの忌々しいマークを忘れるとでも?」
グシャッとカードを握りつぶした。
「居たぞ!」
背後に警官たちが扉から押し寄せてくる。
「……とりあえずは、ここから脱出だな」
窓へと突っ込み、ガラスを割りながら、中庭へと再び降り立ち、闇夜に消える。