第三話:魚の水を得たるが如し

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1月12日 午前11時58分 

警視庁 特別捜査科





奥沢警部はデスクに腰掛けながら、部下の報告に耳を傾けている。

「怪盗鬼風の犯行は、現在まで4件です。

≪更科の紅葉姫≫

≪千本桜の静姫≫

≪菊畑の鶴姫≫

≪道成寺の蛇姫≫

被害総額は―――――」

眉間に皺をよせて、警部は口を開く。

「世間にはまだ知られてないが、奴はなぜ金山繁座衛門の作品だけを狙うのか。

金山の親類やそれに関係する知人を当たってみたのか。」

「はいっ。ですが、鬼風に関係ありそう人物は見つかりませんでした」

「一体、奴は何が目的なんだ?」

「ところで、警部。」

「なんだ。」

「なぜ、牙琉検事も鬼風を追っているのですか?」

「……俺も知り合いの検事から聞いた話なんだけどな。

彼は自分の担当した事件の犯罪組織を探すために、鬼風を追っているらしい。

……あのKS-8号事件だ。」

「例の連続児童誘拐事件ですね」

「あぁ、そうだ。奇妙なことにな、その事件で誘拐された子どもはすべて、ネグレクトや虐待にあっていた子どもたちだそうだ。

行方不明になってもなんら問題にならないようなそんな子どもたちばかりを誘拐しているらしい。

住民登録すらされていないような酷い扱いの子どもばかりを誘拐されているから、被害届けを出さない限り見つかることはない。

調査によると組織ぐるみで事件を起こしてることが判明したそうだ。

それで、先月頃に犯罪組織の実行犯と思われる奴を逮捕したらしい。

そいつの裁判を担当したのが牙琉検事だ。」

「けど、その事件と鬼風がどう関係しているんですか?」

「その実行犯が鬼風に反応したらしいんだ。

テレビで放送された鬼風の姿を見て、こう言ったらしい。

『こいつだ!こいつが、組織のせいがぁ!』

まぁ、犯罪者の戯言だと流す奴もいたが、犯人の怯え方は尋常じゃなかったらしい。」

「じゃあ、鬼風があの誘拐組織の構成員だったという可能性もあるんですね。」

「それがわかっても、鬼風の犯行の目的はてんでわからん。

奴は、なんでこの人形だけ盗むんだかな。子どもを盗めば関連性もあるのにな。」

首をかしげる警部。

「警部、大変です!」

そこへ部下の刑事がとびこんできた。

「どうした?」

「怪盗鬼風から予告状がきましたっ!」

「届いた場所は?」

「清原低です!」

部下から渡された予告状を読み上げる。

予告状には清源天菱(きよはら てんびし)が所有してる≪紀伊国の蛍姫≫を盗むと書かれていた。

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