第二話:紅葉に置けば紅の露
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12月4日 午後19時50分
ささやき美術館・東展示室
奥沢は左腕にはめた時計を睨み付ける。
「現在20時10分前です。もう間もなくです。」
館長は緊張した面持ちで奥沢と紅葉姫の近くに待機していた。
「奥沢警部。」
「なんだ紗針。トイレならさっさと行って来い」
「いえっそうではなくて……」
そばにいる館長に聞こえないように、ひそひそと尋ねる。
「なぜ、検察官である牙琉響也殿が鬼風の警備に参加しているのでありますか?」
「お前は知らなくていいことだ。」
「しかし、事件が起きていない現場に検察がいるというのは不自然というか……」
「余計なこと考える暇があったら鬼風を捕まえることを考えろっ!」
「ですが、」
「あ?」
不服そうにしながら、わかりました。と紗針はそれ以上追求するのをやめた。
「あのぉー、警部。」
「なんだ?検事の話はしないぞ。」
「いえっ、そのトイレに行ってきてもよろしいですか?」
ぶちっと警部のなかでなにかが切れた。
「さっさと行って来い!」
ひっとその場に飛び上がった紗針は、逃げるように東階段のそばにあるトイレへと入っていった。
頼りない部下の今後を案じて肩を落とす警部だった。
「彼はあなたの部下ですか?」
後ろから声をかけられ、奥沢はそちらへ振り返る。
部下とそう年の変わらない牙琉検事が立っていた。
若く優秀な検事の言葉に、奥沢は首を縦に振る。
「刑事になったばかりの新米でしてな。さすが、あの兄を持つ弟と言ったところでしょうな。」
「あの刑事の兄を知ってるんですか?」
「ええ。殺人担当の刑事ですよ」
牙琉と奥沢が話しているそばで、館長の胸ポケットが震える。
「んっ。失礼」
館長は通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。
「もしもし、私だ」
館長は通話しながら、東階段の方へ歩いていく。
ささやき美術館・東展示室
奥沢は左腕にはめた時計を睨み付ける。
「現在20時10分前です。もう間もなくです。」
館長は緊張した面持ちで奥沢と紅葉姫の近くに待機していた。
「奥沢警部。」
「なんだ紗針。トイレならさっさと行って来い」
「いえっそうではなくて……」
そばにいる館長に聞こえないように、ひそひそと尋ねる。
「なぜ、検察官である牙琉響也殿が鬼風の警備に参加しているのでありますか?」
「お前は知らなくていいことだ。」
「しかし、事件が起きていない現場に検察がいるというのは不自然というか……」
「余計なこと考える暇があったら鬼風を捕まえることを考えろっ!」
「ですが、」
「あ?」
不服そうにしながら、わかりました。と紗針はそれ以上追求するのをやめた。
「あのぉー、警部。」
「なんだ?検事の話はしないぞ。」
「いえっ、そのトイレに行ってきてもよろしいですか?」
ぶちっと警部のなかでなにかが切れた。
「さっさと行って来い!」
ひっとその場に飛び上がった紗針は、逃げるように東階段のそばにあるトイレへと入っていった。
頼りない部下の今後を案じて肩を落とす警部だった。
「彼はあなたの部下ですか?」
後ろから声をかけられ、奥沢はそちらへ振り返る。
部下とそう年の変わらない牙琉検事が立っていた。
若く優秀な検事の言葉に、奥沢は首を縦に振る。
「刑事になったばかりの新米でしてな。さすが、あの兄を持つ弟と言ったところでしょうな。」
「あの刑事の兄を知ってるんですか?」
「ええ。殺人担当の刑事ですよ」
牙琉と奥沢が話しているそばで、館長の胸ポケットが震える。
「んっ。失礼」
館長は通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。
「もしもし、私だ」
館長は通話しながら、東階段の方へ歩いていく。