第二話:紅葉に置けば紅の露
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12月4日 某時刻
ヒノクレホテル・47階と48階の踊り場
西の展示ホールを抜け、西の非常階段を降りる牙琉検事。
しばらく降りていて、広い踊り場にでると足を止めた。
彼はキョロキョロと辺りを見回したかと思うと、後頭部に手を回してぐっと髪を前へと引っ張る。
「ぷっはぁー!」
ビリっと破れたマスクの下から、切れ長な瞳が印象的な黒髪の美青年が現れる。
「あーっ。おっもっ。なんなんだよこのジャラジャラしたアクセサリーは……
男の姿じゃなければ、首が死んでるぞ。」
美青年―――鬼風は、鎖をモチーフにしたアクセサリーを首から外す。
『こだわるねえ。』
鬼風の耳につけているピアスから声が聞こえてきた。
「あったりまえだろ。変装は完璧を目指してするもんなんだよ」
鬼風は左人差し指の指輪を口元に持ってきて、言った。
鬼風のピアスと左人差し指の指輪には通信機が内蔵されている。
「それに、どんだけアイツの姿を観察したと思ってんだよ。
アイツが出てるライブDVDとか出演してた番組をYoutebeでネットサーフィンして
服の素材やアクセサリーの質、癖や立ち振る舞い研究しまくったんだからな。
おかげで夢の中まであの金髪ニイチャンが出てきて大変だったよ。」
鬼は愚痴をこぼし、最後にため息をひとつ吐く。
「夢に出てくるならあの赤い子がよかったなぁ。」
『赤い子?』
「オデコがチャーミングな私の運命の人さ」
鬼風はふふん♪と鼻歌交じりに告げ、くねくねと体を揺らす。
「名前はなんだっけなぁ。
アルマジキ……ではないだろうし……
あぁ、もう一度会いたいなぁ」
彼について話す鬼風の顔は、眉目秀麗な顔立ちが台無しになるくらい崩れ切っていた。
『……きもっ』
「なんか言った?」
『準備はできたのか?』
「あったぼうよ」
服の内側からごそごそとなにかを探り、それを取り出す。
「変装はバッチリさ。」
鬼風は館長の顔を模したマスクを見て、微かに口角をあげる。
「そこでなにをしてるっ!」
突如聞こえた声に、鬼風は後ろを振り返る。
コートを羽織った若い刑事―――紗針が、こちらを警戒しながら見ている。
「やべっ」
『おいっ』
杏里の声が耳から聞こえてきたが、鬼風は表情を変えない。
「こそこそと怪しい奴だな。少しこちらへ来てもらうぞ!」
掴みかかろうしてきた刑事を鬼風は直前で飛び上がり、相手の頭上を超えて背後に着地する。
すばやく直径2センチほどの赤い玉を右手で握り込み、親指ではじいた。
背後を振り返った刑事の額で玉が割れると、パンパンとはじける音が連続して鳴る。
とたんに刑事がふらふらとしゃがみこみ、地面に倒れ込んだ。
「いやぁー危なかったぁ」
『アホッ。玉の無駄使いしやがって』
「だって、こっちのほうが楽なんだよ。」
鬼風は倒れた刑事を見下ろす。
「悪いけど、少し寝ててくれよ」
ヒノクレホテル・47階と48階の踊り場
西の展示ホールを抜け、西の非常階段を降りる牙琉検事。
しばらく降りていて、広い踊り場にでると足を止めた。
彼はキョロキョロと辺りを見回したかと思うと、後頭部に手を回してぐっと髪を前へと引っ張る。
「ぷっはぁー!」
ビリっと破れたマスクの下から、切れ長な瞳が印象的な黒髪の美青年が現れる。
「あーっ。おっもっ。なんなんだよこのジャラジャラしたアクセサリーは……
男の姿じゃなければ、首が死んでるぞ。」
美青年―――鬼風は、鎖をモチーフにしたアクセサリーを首から外す。
『こだわるねえ。』
鬼風の耳につけているピアスから声が聞こえてきた。
「あったりまえだろ。変装は完璧を目指してするもんなんだよ」
鬼風は左人差し指の指輪を口元に持ってきて、言った。
鬼風のピアスと左人差し指の指輪には通信機が内蔵されている。
「それに、どんだけアイツの姿を観察したと思ってんだよ。
アイツが出てるライブDVDとか出演してた番組をYoutebeでネットサーフィンして
服の素材やアクセサリーの質、癖や立ち振る舞い研究しまくったんだからな。
おかげで夢の中まであの金髪ニイチャンが出てきて大変だったよ。」
鬼は愚痴をこぼし、最後にため息をひとつ吐く。
「夢に出てくるならあの赤い子がよかったなぁ。」
『赤い子?』
「オデコがチャーミングな私の運命の人さ」
鬼風はふふん♪と鼻歌交じりに告げ、くねくねと体を揺らす。
「名前はなんだっけなぁ。
アルマジキ……ではないだろうし……
あぁ、もう一度会いたいなぁ」
彼について話す鬼風の顔は、眉目秀麗な顔立ちが台無しになるくらい崩れ切っていた。
『……きもっ』
「なんか言った?」
『準備はできたのか?』
「あったぼうよ」
服の内側からごそごそとなにかを探り、それを取り出す。
「変装はバッチリさ。」
鬼風は館長の顔を模したマスクを見て、微かに口角をあげる。
「そこでなにをしてるっ!」
突如聞こえた声に、鬼風は後ろを振り返る。
コートを羽織った若い刑事―――紗針が、こちらを警戒しながら見ている。
「やべっ」
『おいっ』
杏里の声が耳から聞こえてきたが、鬼風は表情を変えない。
「こそこそと怪しい奴だな。少しこちらへ来てもらうぞ!」
掴みかかろうしてきた刑事を鬼風は直前で飛び上がり、相手の頭上を超えて背後に着地する。
すばやく直径2センチほどの赤い玉を右手で握り込み、親指ではじいた。
背後を振り返った刑事の額で玉が割れると、パンパンとはじける音が連続して鳴る。
とたんに刑事がふらふらとしゃがみこみ、地面に倒れ込んだ。
「いやぁー危なかったぁ」
『アホッ。玉の無駄使いしやがって』
「だって、こっちのほうが楽なんだよ。」
鬼風は倒れた刑事を見下ろす。
「悪いけど、少し寝ててくれよ」