その騒ぎを聞き、奥沢警部がエレベーターの方へ向かう。

エレベーターからでてきた人物が警官に止められているのを見て、警部がなっと驚きで口をあんぐり開けた。

「がっ牙琉検事？あっあなたは先ほどここに来たばかりですよね！」

牙琉は眉尻を吊り上げて、入口に立っている警部たちを見る。

「僕はたった今着いたところだよ。」

「しっしかし、牙琉検事なら先ほどここで警備の状況を館長から聞いていましたよ」

「それなら、検事局に問い合わせてみてくれよ。

君たちの言う“牙琉検事”がここに現れた時刻は

僕がちょうど検事局を出た時間のはずだから」

彼は堂々とした物言いで、アリバイの証言をした。

「じゃじゃあ！？あの牙琉検事は、」

警官二人の顔がざぁーっと青ざめる。

「「鬼風！？」」

「…どうやら、ただの泥棒とはいかないらしいね。」

髪をかきあげながら、牙琉はそう呟いた。