第一話:嘘吐きは泥棒のはじまり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
同日 某時刻
呉葉山・山麓
「いてててっ……」
半月が浮かぶ夜空の下、森の中で警官姿から黒装束に戻った鬼風が殴られた頬をさする。
風が揺れ雲が半月を隠し、眼鏡をかけた中肉中性の青年の姿が闇に包まれる。
「やっぱり変装してないとダメか」
闇の中から聞こえたのは、テノールボイスではなく低めのソプラノボイスだった。
半月が再び顔をだし、闇が消える。
鬼風の居た場所には、手の中の丸い手鏡を覗きながら、頬の状態を確かめる女性が居た。
女性は、先ほどの青年のような器量の良い顔立ちではなかった。
「女の姿に戻っても、顔の痣は残るよなぁ」
うーんと醜女は鏡の中の頬の痣とにらめっこをしている。
突如、プルルルという電子音が響く。
懐からスマートフォンを取り出し、画面を見て眉をあげる。
「申し申し。……ん?なに。え?なんでもう情報が流れてるの?
あー……うん。そうだよね。アンタだもんね、愚問だったな。
ん?あぁ、お寺ね。行ってきたよ。」
電話から聞こえた言葉に対して、女は鼻にかかった声でハという言葉を連続させて笑う。
近くに咲いていた白い花の茎を指の腹で撫でる。
「なんで?私は“夕間”の女だぞ?……夕間の女は執念深いんだ」
鬼風は憎悪に目を光らせ、静かな声で言った。
「私は一生許しゃしねえよ。あの女だけは絶対にな。」
グシャッと白い花の茎を握りつぶした。
真っ暗な空から、青い月の光が鬼風を照らしている。
呉葉山・山麓
「いてててっ……」
半月が浮かぶ夜空の下、森の中で警官姿から黒装束に戻った鬼風が殴られた頬をさする。
風が揺れ雲が半月を隠し、眼鏡をかけた中肉中性の青年の姿が闇に包まれる。
「やっぱり変装してないとダメか」
闇の中から聞こえたのは、テノールボイスではなく低めのソプラノボイスだった。
半月が再び顔をだし、闇が消える。
鬼風の居た場所には、手の中の丸い手鏡を覗きながら、頬の状態を確かめる女性が居た。
女性は、先ほどの青年のような器量の良い顔立ちではなかった。
「女の姿に戻っても、顔の痣は残るよなぁ」
うーんと醜女は鏡の中の頬の痣とにらめっこをしている。
突如、プルルルという電子音が響く。
懐からスマートフォンを取り出し、画面を見て眉をあげる。
「申し申し。……ん?なに。え?なんでもう情報が流れてるの?
あー……うん。そうだよね。アンタだもんね、愚問だったな。
ん?あぁ、お寺ね。行ってきたよ。」
電話から聞こえた言葉に対して、女は鼻にかかった声でハという言葉を連続させて笑う。
近くに咲いていた白い花の茎を指の腹で撫でる。
「なんで?私は“夕間”の女だぞ?……夕間の女は執念深いんだ」
鬼風は憎悪に目を光らせ、静かな声で言った。
「私は一生許しゃしねえよ。あの女だけは絶対にな。」
グシャッと白い花の茎を握りつぶした。
真っ暗な空から、青い月の光が鬼風を照らしている。