第一話:嘘吐きは泥棒のはじまり
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同日 午後4時25分
鬼寺・正門
「「つっ着いたぁ!」」
オドロキは膝に手を着き、ココネは寺の門柱に手を着き、境内で二人は息を整えていた。
「さすがの私もエスカレーターが欲しくなりました。」
「オレも……おや?あれは……」
オドロキは桜色の和服に紺色の袴、白いフリルのエプロンをつけた少女の姿を見つける。
「あれって、ゆめみちゃんですか?」
「家の急用って鬼寺のことだったのかな?」
「センパイ。隣に誰かいますよ?」
少女の隣に立っていたのは、20代後半から30代前半ぐらいの男性だった。
彼は水色の制服に身を包み、紺色の帽子を被っている。
その胸には黒いホルスターが巻かれていた。
「あれ、警察官ですよね?どうしてゆめみちゃんと居るんでしょうか?」
「とりあえず、声をかけてみようよ。」
おぉーい!とオドロキは少女たちの元へ駆け寄る。
振り返った少女の額には、お札が×に貼られていた。
「ひぃいいいい!」
「ぎゃあ!」
オドロキの顔を見た途端、少女が彼のオデコにびたんっとお札を叩きつけるように貼りつけた。
少女は自分の行動にハッと我に返る。
「すっすみません!」
「まだ、治ってなかったんですね。センパイのツノを見て、お札を貼る癖」
ココネはその光景に思わず苦笑いを浮かべた。
「天馬さん。この子たちは?」
男性は警察帽のツバをあげながら、オドロキたちにじっと視線を送る。
「こちらは半年ほど前に、お世話になった弁護士さんたちです。」
ゆめみは男性を見上げながら、オドロキたちについて説明した。
「王泥喜法介です!」
「希月心音です!」
そして、今度はオドロキたちに男性を紹介する。
「九尾村の駐在さんです。」
「自分は今野玉樹と申します!」
男性がビシッと敬礼をした。
「ゆめみちゃんはどうしてその今野さんと、このお寺に居るの?」
「私はお父さんの代わりに像を預かりにきたのです。」
「像?」
オドロキの体がピクリッと揺れる。
ゆめみは手に持っている銀色のお盆を両手で抱えながら頷く。
「鬼寺に住んでる職人さんが父の知り合いで、泥棒に盗まれるかもしれないから
大事な像を預かってほしいと父が頼まれたんです。
でも、父は市長の仕事でここへ来られなくなってしまったので、私が代わりに像を受け取りに来たんです。」
「自分は、天馬ゆめみさんの付き添いであります。
泥棒の犯行予告が九尾村に含まれる呉葉山の鬼寺だったのと
市長直々の頼みということで、九尾村の駐在である自分が彼女の警護を任されたであります。」
今野がゆめみと一緒に居た理由を伝えた。
「ところで、鬼の弁護士さんたちはどうしてここに居るんですか?」
「私たちもその泥棒を見過ごせなくて来たの。」
「このカードで、ここの場所に泥棒が出るってわかったんだ。」
オドロキは先ほどのカードをゆめみに見せた。
カードを見て、ゆめみがお盆から身を乗り出すような格好になる。
「お父さんが持ってたものと同じです。」
「これは市長が持っていた犯行予告では!?なぜ君たちが持っているんだい?」
疑わしそうな目で今野がオドロキたちを睨む。
「まさかっ!市長から盗んだのは……!」
「誤解です!私たちはクマベエさんから取り返したんです。」
「あのタヌキオヤジが!?くそっまだスリをやめてないのかっ!」
なにやらクマベエという単語をだしてから、ブツブツと今野は独り言を呟いていた。
そんな今野を視界の隅に置いて、3人は改めてカードの内容をじっくり見始める。
「この≪霜降月の 鬼宿りし日≫は
11月15日ってのはわかったんですけど
この《逢魔時》って具体的にいつの時間なんでしょう?」
「確か夕方のことじゃなかったかな?」
オドロキとココネが話してる横でそっとゆめみが口を開く。
「《逢魔時》というのは、妖怪の時間なのです。」
「よっ妖怪?」
「はい。太陽が沈んで暗くなりはじめた頃の時間
妖怪たちが元気になりはじめる、それが≪逢魔時≫という恐ろしい時間なのです。
大体は暮れ六つのことで、夕方の6時を差します。」
「へえ、そうだったのか。」
オドロキが腕組みをしながら、感心したような声をだす。
「逢魔時には恐ろしい妖怪が出るから気をつけた方がよいです。鬼寺には鬼が現れたという言い伝えがありますから。」
「鬼?」
「むかし、この山奥に恐ろしい鬼が住み着いていて、山奥に入って来た人たちを次々と食べていたのです。
そんな鬼を旅の途中の偉い和尚様が、このお寺の像に封印しました。
その鬼が封印されている像が鬼切り像なのです。」
「へぇ、そんな話があったんだ」
「九尾村では九尾と天魔太郎の方が有名ですから、この鬼の話は村の一部の人しか知らないのです。」
「それで、今回はその鬼切り像が盗まれそうになってるんだよね。」
心音の言葉に、ゆめみが首を縦に振る。
「ここの住職様は職人さんのファンらしくて、職人さんが鬼切り像を次の作品の参考にしたいから貸して欲しいと頼んだそうです。
そうしたら、鬼切り像を盗まれるという予告が鬼寺に送られ、住職様と相談して一度お父さんに預けることになったのです」
鬼寺・正門
「「つっ着いたぁ!」」
オドロキは膝に手を着き、ココネは寺の門柱に手を着き、境内で二人は息を整えていた。
「さすがの私もエスカレーターが欲しくなりました。」
「オレも……おや?あれは……」
オドロキは桜色の和服に紺色の袴、白いフリルのエプロンをつけた少女の姿を見つける。
「あれって、ゆめみちゃんですか?」
「家の急用って鬼寺のことだったのかな?」
「センパイ。隣に誰かいますよ?」
少女の隣に立っていたのは、20代後半から30代前半ぐらいの男性だった。
彼は水色の制服に身を包み、紺色の帽子を被っている。
その胸には黒いホルスターが巻かれていた。
「あれ、警察官ですよね?どうしてゆめみちゃんと居るんでしょうか?」
「とりあえず、声をかけてみようよ。」
おぉーい!とオドロキは少女たちの元へ駆け寄る。
振り返った少女の額には、お札が×に貼られていた。
「ひぃいいいい!」
「ぎゃあ!」
オドロキの顔を見た途端、少女が彼のオデコにびたんっとお札を叩きつけるように貼りつけた。
少女は自分の行動にハッと我に返る。
「すっすみません!」
「まだ、治ってなかったんですね。センパイのツノを見て、お札を貼る癖」
ココネはその光景に思わず苦笑いを浮かべた。
「天馬さん。この子たちは?」
男性は警察帽のツバをあげながら、オドロキたちにじっと視線を送る。
「こちらは半年ほど前に、お世話になった弁護士さんたちです。」
ゆめみは男性を見上げながら、オドロキたちについて説明した。
「王泥喜法介です!」
「希月心音です!」
そして、今度はオドロキたちに男性を紹介する。
「九尾村の駐在さんです。」
「自分は今野玉樹と申します!」
男性がビシッと敬礼をした。
「ゆめみちゃんはどうしてその今野さんと、このお寺に居るの?」
「私はお父さんの代わりに像を預かりにきたのです。」
「像?」
オドロキの体がピクリッと揺れる。
ゆめみは手に持っている銀色のお盆を両手で抱えながら頷く。
「鬼寺に住んでる職人さんが父の知り合いで、泥棒に盗まれるかもしれないから
大事な像を預かってほしいと父が頼まれたんです。
でも、父は市長の仕事でここへ来られなくなってしまったので、私が代わりに像を受け取りに来たんです。」
「自分は、天馬ゆめみさんの付き添いであります。
泥棒の犯行予告が九尾村に含まれる呉葉山の鬼寺だったのと
市長直々の頼みということで、九尾村の駐在である自分が彼女の警護を任されたであります。」
今野がゆめみと一緒に居た理由を伝えた。
「ところで、鬼の弁護士さんたちはどうしてここに居るんですか?」
「私たちもその泥棒を見過ごせなくて来たの。」
「このカードで、ここの場所に泥棒が出るってわかったんだ。」
オドロキは先ほどのカードをゆめみに見せた。
カードを見て、ゆめみがお盆から身を乗り出すような格好になる。
「お父さんが持ってたものと同じです。」
「これは市長が持っていた犯行予告では!?なぜ君たちが持っているんだい?」
疑わしそうな目で今野がオドロキたちを睨む。
「まさかっ!市長から盗んだのは……!」
「誤解です!私たちはクマベエさんから取り返したんです。」
「あのタヌキオヤジが!?くそっまだスリをやめてないのかっ!」
なにやらクマベエという単語をだしてから、ブツブツと今野は独り言を呟いていた。
そんな今野を視界の隅に置いて、3人は改めてカードの内容をじっくり見始める。
「この≪霜降月の 鬼宿りし日≫は
11月15日ってのはわかったんですけど
この《逢魔時》って具体的にいつの時間なんでしょう?」
「確か夕方のことじゃなかったかな?」
オドロキとココネが話してる横でそっとゆめみが口を開く。
「《逢魔時》というのは、妖怪の時間なのです。」
「よっ妖怪?」
「はい。太陽が沈んで暗くなりはじめた頃の時間
妖怪たちが元気になりはじめる、それが≪逢魔時≫という恐ろしい時間なのです。
大体は暮れ六つのことで、夕方の6時を差します。」
「へえ、そうだったのか。」
オドロキが腕組みをしながら、感心したような声をだす。
「逢魔時には恐ろしい妖怪が出るから気をつけた方がよいです。鬼寺には鬼が現れたという言い伝えがありますから。」
「鬼?」
「むかし、この山奥に恐ろしい鬼が住み着いていて、山奥に入って来た人たちを次々と食べていたのです。
そんな鬼を旅の途中の偉い和尚様が、このお寺の像に封印しました。
その鬼が封印されている像が鬼切り像なのです。」
「へぇ、そんな話があったんだ」
「九尾村では九尾と天魔太郎の方が有名ですから、この鬼の話は村の一部の人しか知らないのです。」
「それで、今回はその鬼切り像が盗まれそうになってるんだよね。」
心音の言葉に、ゆめみが首を縦に振る。
「ここの住職様は職人さんのファンらしくて、職人さんが鬼切り像を次の作品の参考にしたいから貸して欲しいと頼んだそうです。
そうしたら、鬼切り像を盗まれるという予告が鬼寺に送られ、住職様と相談して一度お父さんに預けることになったのです」