第一話:嘘吐きは泥棒のはじまり
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ココネがハッとして、バッグの中身を探る。
「財布がない!」
「!……さっきの男!」
二人は男が去った方へサッと顔を向ける。
男はすでに駆け出していた。
「待「こらぁ!待てぇ!!」
オドロキよりも速く、ココネが飛び出して行く。
男はわずかに後ろを振り返りながら、舌打ちをする。
泥棒は前から来た眼鏡の青年と軽くぶつかり、走り去っていく。
「うわわわ!」
ココネは勢いを殺せず、前から来た青年にそのまま突進してしまう。
ココネが青年の体にぶつかった反動で、地面に尻餅をつきそうになる。
「おっと」
よろけたココネの腰に素早く片手が回され、体を支えられた。
「大丈夫?お嬢さん?」
整った細い眉をハの字にして、青年はココネに尋ねた。
「すみません!それよりさっきの泥棒がですね!」
「はいっ」
「……へっ?」
ココネは青年から差し出されたモノを見つめる。
頬に両手を当て、あっと声をあげた。
「私の財布!」
「すっすごい。今の一瞬で取り返したんですか!?」
オドロキが青年の早業に目を見張る。
「たまたま犯行を見てたから、取り返せただけだよ」
青年がココネから顔を上げ、オドロキを見た。
一瞬だけ、彼の眼鏡の奥が見開かれる。
だが、すぐに目を柔らかく細める。
「こういう祭り事はああいう不埒な輩が多いから気をつけた方がいいよ。お嬢ちゃん」
「本当にありがとうございました」
ココネが深く頭を下げる。
「いやいや。このカードももしかして君たちの?」
さきほど、つきつけられたカードも青年から手渡された。
「あっ!クマベエさんに返すの忘れてた!」
「なにかのイベントで使うの?今日なにかをもらうみたいなこと書いてあるけど」
オドロキとココネは青年の言葉に首を傾げる。
「今日?」
「この文章からどうして今日のことだってわかるんですか?」
ココネが身を乗り出しながら、青年に尋ねる。
「いや、霜降り月は11月のことだし、鬼宿りし日って、11月15日の七五三のことでしょ?今日がちょうどその日だから。」
「ってことは!今日、この泥棒がやってくるってことですね!?」
ココネはくるっと勢い良くオドロキの方に体を向けた。
「センパイ!やっぱり行きましょうよ!鬼寺へ!」
後輩のやる気に負けて、オドロキは頷いた。
「そうだね。行ってみようか」
そんな二人のやりとりを見ていた青年が、声をかけてきた。
「ところで君たち、ここに書いてある鬼寺ってどこにあるか知ってるかな?」
「鬼寺ですか。それならあの呉葉山の頂上にありますよ」
オドロキが真っ赤に紅葉している山を指さした。
「よかったら、一緒に……あれ?」
ココネは山の方から眼鏡の青年に視線を戻したが、青年の姿はなくなっていた。
「いつの間にか、いなくなっちゃった」
「何者だったんだろう。あの人」
「……ひょっとして、凄腕のスリ師だったりして!」
「スリが財布をあっさり返してくれるわけないだろう」
「それもそうですね。とにかく、鬼寺に行ってみましょう!Let's do this!」
「財布がない!」
「!……さっきの男!」
二人は男が去った方へサッと顔を向ける。
男はすでに駆け出していた。
「待「こらぁ!待てぇ!!」
オドロキよりも速く、ココネが飛び出して行く。
男はわずかに後ろを振り返りながら、舌打ちをする。
泥棒は前から来た眼鏡の青年と軽くぶつかり、走り去っていく。
「うわわわ!」
ココネは勢いを殺せず、前から来た青年にそのまま突進してしまう。
ココネが青年の体にぶつかった反動で、地面に尻餅をつきそうになる。
「おっと」
よろけたココネの腰に素早く片手が回され、体を支えられた。
「大丈夫?お嬢さん?」
整った細い眉をハの字にして、青年はココネに尋ねた。
「すみません!それよりさっきの泥棒がですね!」
「はいっ」
「……へっ?」
ココネは青年から差し出されたモノを見つめる。
頬に両手を当て、あっと声をあげた。
「私の財布!」
「すっすごい。今の一瞬で取り返したんですか!?」
オドロキが青年の早業に目を見張る。
「たまたま犯行を見てたから、取り返せただけだよ」
青年がココネから顔を上げ、オドロキを見た。
一瞬だけ、彼の眼鏡の奥が見開かれる。
だが、すぐに目を柔らかく細める。
「こういう祭り事はああいう不埒な輩が多いから気をつけた方がいいよ。お嬢ちゃん」
「本当にありがとうございました」
ココネが深く頭を下げる。
「いやいや。このカードももしかして君たちの?」
さきほど、つきつけられたカードも青年から手渡された。
「あっ!クマベエさんに返すの忘れてた!」
「なにかのイベントで使うの?今日なにかをもらうみたいなこと書いてあるけど」
オドロキとココネは青年の言葉に首を傾げる。
「今日?」
「この文章からどうして今日のことだってわかるんですか?」
ココネが身を乗り出しながら、青年に尋ねる。
「いや、霜降り月は11月のことだし、鬼宿りし日って、11月15日の七五三のことでしょ?今日がちょうどその日だから。」
「ってことは!今日、この泥棒がやってくるってことですね!?」
ココネはくるっと勢い良くオドロキの方に体を向けた。
「センパイ!やっぱり行きましょうよ!鬼寺へ!」
後輩のやる気に負けて、オドロキは頷いた。
「そうだね。行ってみようか」
そんな二人のやりとりを見ていた青年が、声をかけてきた。
「ところで君たち、ここに書いてある鬼寺ってどこにあるか知ってるかな?」
「鬼寺ですか。それならあの呉葉山の頂上にありますよ」
オドロキが真っ赤に紅葉している山を指さした。
「よかったら、一緒に……あれ?」
ココネは山の方から眼鏡の青年に視線を戻したが、青年の姿はなくなっていた。
「いつの間にか、いなくなっちゃった」
「何者だったんだろう。あの人」
「……ひょっとして、凄腕のスリ師だったりして!」
「スリが財布をあっさり返してくれるわけないだろう」
「それもそうですね。とにかく、鬼寺に行ってみましょう!Let's do this!」