雨のち虹/出水
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苗字名前
「うわー、すげぇ雨だな」
出水が教室の窓から外を見て言った。
6時間目から降り出した雨は本格的になり校庭が白っぽく見える程の大粒の雨が降り注いでいた。どこかから雷鳴も聞こえる。
出水の呟きと雨音をBGMに私は日誌にペンを滑らす。
こんな日に日直なんて…と思わないでもないがまあ出水とならいいか。
出水とは1年生で同じクラスで隣の席になって以来の付き合いだ。
ニカッと人好きする笑顔で「よろしくな」と笑った出水は男女問わず友達の多い奴で必ず周りには誰かしらいる。
私も仲のいい友人のうちの1人ではある。冗談も通じるし気を使える奴だしさりげなく優しかったりする。となると当然そこそこモテる訳である。なにせただでさえボーダー隊員なのだ。
でもなぜか彼女がいる気配がない。まあボーダーの仕事も忙しそうだもんな。
それでもなぜか私と日直の日は必ず出席している。不思議なものだ。
「書き終わったよ、日誌」
外を眺めている出水に声を声を掛ける。
外はまだ雨が弱くなる気配はない。
「お前傘持ってきた?」
こちらを見た出水が私に聞いてくる。
「持ってるけど折り畳みなんだよねー、さすがにこの雨じゃ折り畳みは無理そうだ」
私も外を見る為に窓辺へ寄った。
「なーんだ、傘入れてもらおうと思ったのにな」
「出水傘持ってないの?じゃあ少し弱くなるまで待つしかないね」
ぼんやりと近くの机に腰掛ける。
「今日はボーダーないの?」
「んー、任務はないかな」
外を眺めたまま出水が答えた。任務は、って他の用事はあるのか?
「大丈夫なの?行かなくて」
「へーきへーき、どうせ相手米屋だし」
「あー米屋君かぁ」
ボーダーの事は詳しくはわからないけど練習で戦ったりするらしい。出水も米屋君も学校で見る姿からは想像もつかないけどなかなか強いのだと噂で聞いた。
止まない雨を眺めながら話をしていると急に青白い光に辺りが包まれたかと思うとバリバリと空が裂けるような音が辺りに響く。
「ひゃっ!」
あまりの光と音に思わず変な声が出てしまった。
「お前雷苦手なの?」
「違うよ、大きな音にびっくりしただけ…ぎゃっ!」
話をしている間にも光と音の激しい雷に驚かされるけどそんな私に出水が笑う。
「お前ビビり過ぎだろ」
「だってしょうがないじゃん。びっくりしちゃうんだもん」
光と音に体が反応するならシャットアウトすればいい!と閃いた私は目をギュッと閉じた。
「お前なにしてんだ?」
「見なければびっくりしないかなって」
そう答えて耳も塞ぐ。光も音も微かな物になる。感じるのは遠くに感じる雨の音と出水の気配だけ。
少し離れた所にいたはずの出水の気配がいつの間にか間近に感じる。
ふと鼻先をシトラスの香りが掠める。あれ、と思った瞬間唇に柔らかい感触。それが出水の唇だと気付いた時にはもう離れていた。
「なっ…!んな…なにっ!?」
耳を塞いでいた手を離し目を開けた。唇が離れただけでまだ出水は鼻が触れそうな距離にいた。
かっと顔が熱を持ったのがわかる。
「お前が誘うから…」
自分からしといて気まずそうな顔をしている出水が目を逸らす。
「誘った訳じゃない!ただ雷見ないようにしただけじゃん…」
私もつられて下を向く。なんで?なんで出水が私にキスを?2人の間に流れるのは外の雨音だけ。
「出水は…誰にでもこういう事するの…?」
沈黙に耐えられず思わず聞いてしまった。だって出水は友達だと思っていた。私は仲の良い友人の1人ではなかったのか。
「そんな訳ないだろ!…お前全然気付いてなかったのかよ」
「へ?気付くって…」
ぽかんとした私に出水は頭をガジガシかいた。
「ボーダーで忙しい俺が、なんで毎回お前と日直の日必ずいると思ってるんだよ?」
今まで出水と日直した回数約10回。いなかった事はなかった。任務で遅刻も早退も欠席もそこそこある出水。それでも日直にいなかった事はなかった。
あれ…それって…
「それって…あの出水って…」
どうしていいかわからくてスカートの裾をいじっていた私の手を掴まれた。
「俺は前からお前の事が好きなんだよ」
私を真っ直ぐにみつめる出水の顔は真っ赤だった。
外はいつの間にか雨が止んで晴れ間が覗いている。
出水こそ気付いていただろうか。日直の日は髪型を普段より凝った物にしている事や化粧を少し頑張っていた事を。
空には綺麗な虹がかかっていた。
「うわー、すげぇ雨だな」
出水が教室の窓から外を見て言った。
6時間目から降り出した雨は本格的になり校庭が白っぽく見える程の大粒の雨が降り注いでいた。どこかから雷鳴も聞こえる。
出水の呟きと雨音をBGMに私は日誌にペンを滑らす。
こんな日に日直なんて…と思わないでもないがまあ出水とならいいか。
出水とは1年生で同じクラスで隣の席になって以来の付き合いだ。
ニカッと人好きする笑顔で「よろしくな」と笑った出水は男女問わず友達の多い奴で必ず周りには誰かしらいる。
私も仲のいい友人のうちの1人ではある。冗談も通じるし気を使える奴だしさりげなく優しかったりする。となると当然そこそこモテる訳である。なにせただでさえボーダー隊員なのだ。
でもなぜか彼女がいる気配がない。まあボーダーの仕事も忙しそうだもんな。
それでもなぜか私と日直の日は必ず出席している。不思議なものだ。
「書き終わったよ、日誌」
外を眺めている出水に声を声を掛ける。
外はまだ雨が弱くなる気配はない。
「お前傘持ってきた?」
こちらを見た出水が私に聞いてくる。
「持ってるけど折り畳みなんだよねー、さすがにこの雨じゃ折り畳みは無理そうだ」
私も外を見る為に窓辺へ寄った。
「なーんだ、傘入れてもらおうと思ったのにな」
「出水傘持ってないの?じゃあ少し弱くなるまで待つしかないね」
ぼんやりと近くの机に腰掛ける。
「今日はボーダーないの?」
「んー、任務はないかな」
外を眺めたまま出水が答えた。任務は、って他の用事はあるのか?
「大丈夫なの?行かなくて」
「へーきへーき、どうせ相手米屋だし」
「あー米屋君かぁ」
ボーダーの事は詳しくはわからないけど練習で戦ったりするらしい。出水も米屋君も学校で見る姿からは想像もつかないけどなかなか強いのだと噂で聞いた。
止まない雨を眺めながら話をしていると急に青白い光に辺りが包まれたかと思うとバリバリと空が裂けるような音が辺りに響く。
「ひゃっ!」
あまりの光と音に思わず変な声が出てしまった。
「お前雷苦手なの?」
「違うよ、大きな音にびっくりしただけ…ぎゃっ!」
話をしている間にも光と音の激しい雷に驚かされるけどそんな私に出水が笑う。
「お前ビビり過ぎだろ」
「だってしょうがないじゃん。びっくりしちゃうんだもん」
光と音に体が反応するならシャットアウトすればいい!と閃いた私は目をギュッと閉じた。
「お前なにしてんだ?」
「見なければびっくりしないかなって」
そう答えて耳も塞ぐ。光も音も微かな物になる。感じるのは遠くに感じる雨の音と出水の気配だけ。
少し離れた所にいたはずの出水の気配がいつの間にか間近に感じる。
ふと鼻先をシトラスの香りが掠める。あれ、と思った瞬間唇に柔らかい感触。それが出水の唇だと気付いた時にはもう離れていた。
「なっ…!んな…なにっ!?」
耳を塞いでいた手を離し目を開けた。唇が離れただけでまだ出水は鼻が触れそうな距離にいた。
かっと顔が熱を持ったのがわかる。
「お前が誘うから…」
自分からしといて気まずそうな顔をしている出水が目を逸らす。
「誘った訳じゃない!ただ雷見ないようにしただけじゃん…」
私もつられて下を向く。なんで?なんで出水が私にキスを?2人の間に流れるのは外の雨音だけ。
「出水は…誰にでもこういう事するの…?」
沈黙に耐えられず思わず聞いてしまった。だって出水は友達だと思っていた。私は仲の良い友人の1人ではなかったのか。
「そんな訳ないだろ!…お前全然気付いてなかったのかよ」
「へ?気付くって…」
ぽかんとした私に出水は頭をガジガシかいた。
「ボーダーで忙しい俺が、なんで毎回お前と日直の日必ずいると思ってるんだよ?」
今まで出水と日直した回数約10回。いなかった事はなかった。任務で遅刻も早退も欠席もそこそこある出水。それでも日直にいなかった事はなかった。
あれ…それって…
「それって…あの出水って…」
どうしていいかわからくてスカートの裾をいじっていた私の手を掴まれた。
「俺は前からお前の事が好きなんだよ」
私を真っ直ぐにみつめる出水の顔は真っ赤だった。
外はいつの間にか雨が止んで晴れ間が覗いている。
出水こそ気付いていただろうか。日直の日は髪型を普段より凝った物にしている事や化粧を少し頑張っていた事を。
空には綺麗な虹がかかっていた。