賢者の石
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11月に入ると一気に寒くなった。クィディッチの試合が近づいて、ハリーの緊張が高まっているのをナツキは感じていた。
試合の前日、ハリーはソワソワしながら、スネイプ先生に没収された本を取り返してくる、と職員室へ向かっていった。しばらくして談話室に戻ってきたハリーの手に本はなかった。
「返してもらえた?」
ナツキが一応そう聞いた。するとハリーが職員室で見たものの話をした。
「ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとしたんだ。スネイプはあの犬が守っているものを狙ってるんだ。トロールは絶対あいつが入れたんだ。みんなの注目をそらすために。箒を賭けてもいい。」
「もしそうだとしたら、私には正当に怒る権利があるよ!」
ナツキに関しては本当にただ巻き込まれたことだけだ。普段はおおらかなナツキではあるが、命の危機に遭ったのだ。ハリーの話を聞いて、ただでさえよく思っていなかったスネイプ先生がもっと嫌いになってきた。
ハリーが明日の試合のために早めに自分の部屋へ戻ろうとしたとき、ナツキは彼に渡したいものがあったことを思い出した。「ちょっと待ってて」と言って、慌てて自分の部屋から小さな巾着を持ってきた。
「ハリーが緊張しているみたいだから、こんなの作ってみたの。枕元に置いてみて。」
ハリーに手渡したのはサシェであった。マグルは香りで精神を整えると聞いて、ハグリッドの小屋の近くにあったハーブを摘み、空き時間で作っていたのだった。
「ありがとう。」
ハリーは物珍しそうにそれを受け取った。これで少しでも力になれるといいと思いながらナツキは部屋に向かうハリーとロンを見送った。
騒がしかった談話室が少しずつ静かになっていく。ハーマイオニーも部屋に戻ったので、ナツキもそろそろと思い、立ち上がった。
「ナツキ、」
声をかけてきたのは双子の片割れだった。
「・・・・ジョージ・・・?」
「大当たり。」
ジョージは嬉しそうにニヤッと笑った。
「さっき、ハリーに何渡してたんだ?」
「サシェ。なんかリラックスできるんだって。他にも作ってみたやつあるけど、いる?」
「いる!」
その言葉を待っていましたと言わんばかりに嬉しそうにジョージが言うので、ハリーに何を渡していたか、しっかりみていたのではないかと思った。そんなにサシェが気になったのだろうか。
ナツキは再び自分の部屋に行き、余っているサシェを持って談話室のジョージに渡した。匂いが気になるのか、すぐに彼はクンクンと袋に花を近づけた。
「いい匂いがする。」
「ならよかった。寝るときに枕元に置く人が多いみたいだからやってみて。」
「ああ。ありがとな!」
夜が明けて、試合当日の朝、ハリーの顔色は最悪だった。ああ、サシェの効果はなかったのとナツキは残念に思った。ハリーは結局朝食をほとんど食べないまま、選手たちの集合場所へと向かって行った。
「私たちも行きましょうか。」
ハーマイオニーに促され、ナツキは観客席へと向かった。一番上に陣取り、このために友人たちと作ったハリーの応援旗を掲げる。
試合の開始が近づき、審判であるマダム・フーチの前にグリフィンドールとスリザリンの選手が整列する。ハリーはこちらをチラリとみて、少しだけ笑顔になったように見えた。
ピーッと審判の銀の笛が高らかに鳴り、選手たちの箒が空へ舞い上がる。試合開始だ。
『さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました!何てすばらしいチェイサーでしょう。その上かなり魅力的であります』
『ジョーダン!』
リー・ジョーダンが、マクゴナガル先生の厳しい監視を受けながら実況放送している。 ナツキはあまりクィディッチの試合をちゃんとみたことはないが、面白い実況で、つい耳をそばだてた。
『ジョンソン選手、突っ走っております。・・・今度はエイドリアン・ピュシーがゴールに向かってダッシュしています。しかし、これは別のブラッジャーに阻まれました!フレッドなのかジョージなのか見分けはつきませんが、ウィーズリーのどちらかが狙い撃ちをかけました!』
あれはジョージではなさそうだからフレッドだ、とナツキは思った。いつの間にか、彼らを雰囲気で見分けられるようになってきた。それが結構すごいことであることを、ナツキはまだ気づいていない。
『グリフィンドール!先取点!!』
わっとナツキ達がいるグリフィンドールの客席が盛り上がった。
そこへ大きな体のハグリッドがやってきた。
「俺も小屋から見ておったんだがやっぱり観客の中で見るのとはまた違うのでな。スニッチはまだ現れんか?」
ロンが「まだだよ」とハグリッドの問いに返した。シーカーはスニッチが現れるまではあまり役目はない。
リー・ジョーダンの素晴らしい実況がまた響いた。
『さて今度はスリザリンの攻撃です。チェイサーのピュシーはブラッジャーを二つかわし、双子のウィーズリーをかわし、チェイサーのベルをかわして、ものすごい勢いでゴ・・・ちょっと待ってください・・・・あれはスニッチか?』
観客とシーカーが一斉にスニッチを探す。ハリーが急降下を始めた。
しかしそこでマーカス・フリントがハリーの妨害をした。
「あんなの反則だよ!!」
ナツキが大声で叫んだ。他のグリフィンドール生からもヤジが飛ぶ。
試合が動き、観客達は別のボールに注意を向けた。ナツキは、ハリーは大丈夫だろうかと、彼を見つめる。しかし何やら動きがおかしい。
「ハリー、なんか変じゃない?」
ナツキがそういった後、もっとおかしな動きをし始めた。他の観客達もそれに気が付き、騒がしくなる。
箒がぐるぐると周り、ハリーは振り落とされそうになり、柄にしがみついてぶら下がる状態になってしまった。
「強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん。チビどもなんぞ、ニンバス2000にはそんな手出しはできん。」
ハグリッドのその言葉で、ナツキは咄嗟に教員席の方に目を向けた。しかし距離が離れていてよくわからない。
ハーマイオニーも同じ考えに至ったらしく、ハグリッドの双眼鏡をぶん取り、同じ方向を見て言った。
「スネイプよ。」
ナツキとロンは交代で双眼鏡でスネイプを見る。何かブツブツ言っている。間違いない。呪いをかけているのだ。
「私に任せて!」
ハーマイオニーはそう言って、その場を離れた。ナツキはただただハリーの無事を祈るしかない。
ハーマイオニーはうまくやったのだろう。しばらくすると、ハリーが再び箒にまたがった。
「ハリー!!」
ナツキは叫んだ。急降下したハリーは、そのまま地面に四つん這いで着陸した。口を抑えている。
「どうしたんだろう・・・?」
途端、ハリーが何か吐き出した。それは金色にキラキラと輝いていた。頭上高くそれを振りかざし、ハリーが何か叫んだ。
スニッチだ!
試合は終わった。グリフィンドールがスリザリンに勝ったのだ!
歓喜に沸くグリフィンドールであったが、その渦中に主役のハリーはいなかった。
ナツキたちはハグリッドの小屋にいた。
「スネイプだったんだよ。ハーマイオニーもナツキも僕も見たんだ。君の箒にブツブツ呪いをかけていた。ずっと君から目を離さずにね。」
ハグリッドはなかなかそれを信じようとはしなかった。
四人は互いに顔を見合わせた。 ハリーが代表して口を開いた。
「僕、スネイプについて知ってることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守ってるものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ。」
ハグリッドはティーポットを落とした。
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
「フラッフィー?」
「そう、あいつの名前だ・・・・・去年パブで会ったギリシャ人のやつから買ったんだ。俺がダンブルドアに貸した。守るため・・・」
「何を?」
ハリーがグイとハグリッドに迫った。
「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは。」
「だけど、スネイプが盗もうとしたんだよ。」
「バカな。スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことするわけなかろう。」
「でもハリーを殺そうとしてたよ!」
ナツキが叫んだ。ハーマイオニーがそれに続いた。
「ハグリッド。私、呪いをかけてるかどうか、一目でわかるわ。たくさん本を読んだんだから!じーっと目をそらさずに見続けるの。スネイプは瞬き一つしなかったわ。この目で見たんだから!」
しかしハグリッドが考えを改めることはなかった。
「ハリーの箒が何であんな動きをしたんか、俺にはわからん。だがスネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。四人ともよく聞け。おまえさんたちは関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あの犬のことも、犬が守ってる物のことも忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの・・・」
ハリーは聞き逃さなかった。
「ニコラス・フラメルっていう人が関係してるんだね?」
ハグリッドは口が滑った自分自身に強烈に腹を立て悔しそうに顔を歪めた。
試合の前日、ハリーはソワソワしながら、スネイプ先生に没収された本を取り返してくる、と職員室へ向かっていった。しばらくして談話室に戻ってきたハリーの手に本はなかった。
「返してもらえた?」
ナツキが一応そう聞いた。するとハリーが職員室で見たものの話をした。
「ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとしたんだ。スネイプはあの犬が守っているものを狙ってるんだ。トロールは絶対あいつが入れたんだ。みんなの注目をそらすために。箒を賭けてもいい。」
「もしそうだとしたら、私には正当に怒る権利があるよ!」
ナツキに関しては本当にただ巻き込まれたことだけだ。普段はおおらかなナツキではあるが、命の危機に遭ったのだ。ハリーの話を聞いて、ただでさえよく思っていなかったスネイプ先生がもっと嫌いになってきた。
ハリーが明日の試合のために早めに自分の部屋へ戻ろうとしたとき、ナツキは彼に渡したいものがあったことを思い出した。「ちょっと待ってて」と言って、慌てて自分の部屋から小さな巾着を持ってきた。
「ハリーが緊張しているみたいだから、こんなの作ってみたの。枕元に置いてみて。」
ハリーに手渡したのはサシェであった。マグルは香りで精神を整えると聞いて、ハグリッドの小屋の近くにあったハーブを摘み、空き時間で作っていたのだった。
「ありがとう。」
ハリーは物珍しそうにそれを受け取った。これで少しでも力になれるといいと思いながらナツキは部屋に向かうハリーとロンを見送った。
騒がしかった談話室が少しずつ静かになっていく。ハーマイオニーも部屋に戻ったので、ナツキもそろそろと思い、立ち上がった。
「ナツキ、」
声をかけてきたのは双子の片割れだった。
「・・・・ジョージ・・・?」
「大当たり。」
ジョージは嬉しそうにニヤッと笑った。
「さっき、ハリーに何渡してたんだ?」
「サシェ。なんかリラックスできるんだって。他にも作ってみたやつあるけど、いる?」
「いる!」
その言葉を待っていましたと言わんばかりに嬉しそうにジョージが言うので、ハリーに何を渡していたか、しっかりみていたのではないかと思った。そんなにサシェが気になったのだろうか。
ナツキは再び自分の部屋に行き、余っているサシェを持って談話室のジョージに渡した。匂いが気になるのか、すぐに彼はクンクンと袋に花を近づけた。
「いい匂いがする。」
「ならよかった。寝るときに枕元に置く人が多いみたいだからやってみて。」
「ああ。ありがとな!」
夜が明けて、試合当日の朝、ハリーの顔色は最悪だった。ああ、サシェの効果はなかったのとナツキは残念に思った。ハリーは結局朝食をほとんど食べないまま、選手たちの集合場所へと向かって行った。
「私たちも行きましょうか。」
ハーマイオニーに促され、ナツキは観客席へと向かった。一番上に陣取り、このために友人たちと作ったハリーの応援旗を掲げる。
試合の開始が近づき、審判であるマダム・フーチの前にグリフィンドールとスリザリンの選手が整列する。ハリーはこちらをチラリとみて、少しだけ笑顔になったように見えた。
ピーッと審判の銀の笛が高らかに鳴り、選手たちの箒が空へ舞い上がる。試合開始だ。
『さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました!何てすばらしいチェイサーでしょう。その上かなり魅力的であります』
『ジョーダン!』
リー・ジョーダンが、マクゴナガル先生の厳しい監視を受けながら実況放送している。 ナツキはあまりクィディッチの試合をちゃんとみたことはないが、面白い実況で、つい耳をそばだてた。
『ジョンソン選手、突っ走っております。・・・今度はエイドリアン・ピュシーがゴールに向かってダッシュしています。しかし、これは別のブラッジャーに阻まれました!フレッドなのかジョージなのか見分けはつきませんが、ウィーズリーのどちらかが狙い撃ちをかけました!』
あれはジョージではなさそうだからフレッドだ、とナツキは思った。いつの間にか、彼らを雰囲気で見分けられるようになってきた。それが結構すごいことであることを、ナツキはまだ気づいていない。
『グリフィンドール!先取点!!』
わっとナツキ達がいるグリフィンドールの客席が盛り上がった。
そこへ大きな体のハグリッドがやってきた。
「俺も小屋から見ておったんだがやっぱり観客の中で見るのとはまた違うのでな。スニッチはまだ現れんか?」
ロンが「まだだよ」とハグリッドの問いに返した。シーカーはスニッチが現れるまではあまり役目はない。
リー・ジョーダンの素晴らしい実況がまた響いた。
『さて今度はスリザリンの攻撃です。チェイサーのピュシーはブラッジャーを二つかわし、双子のウィーズリーをかわし、チェイサーのベルをかわして、ものすごい勢いでゴ・・・ちょっと待ってください・・・・あれはスニッチか?』
観客とシーカーが一斉にスニッチを探す。ハリーが急降下を始めた。
しかしそこでマーカス・フリントがハリーの妨害をした。
「あんなの反則だよ!!」
ナツキが大声で叫んだ。他のグリフィンドール生からもヤジが飛ぶ。
試合が動き、観客達は別のボールに注意を向けた。ナツキは、ハリーは大丈夫だろうかと、彼を見つめる。しかし何やら動きがおかしい。
「ハリー、なんか変じゃない?」
ナツキがそういった後、もっとおかしな動きをし始めた。他の観客達もそれに気が付き、騒がしくなる。
箒がぐるぐると周り、ハリーは振り落とされそうになり、柄にしがみついてぶら下がる状態になってしまった。
「強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん。チビどもなんぞ、ニンバス2000にはそんな手出しはできん。」
ハグリッドのその言葉で、ナツキは咄嗟に教員席の方に目を向けた。しかし距離が離れていてよくわからない。
ハーマイオニーも同じ考えに至ったらしく、ハグリッドの双眼鏡をぶん取り、同じ方向を見て言った。
「スネイプよ。」
ナツキとロンは交代で双眼鏡でスネイプを見る。何かブツブツ言っている。間違いない。呪いをかけているのだ。
「私に任せて!」
ハーマイオニーはそう言って、その場を離れた。ナツキはただただハリーの無事を祈るしかない。
ハーマイオニーはうまくやったのだろう。しばらくすると、ハリーが再び箒にまたがった。
「ハリー!!」
ナツキは叫んだ。急降下したハリーは、そのまま地面に四つん這いで着陸した。口を抑えている。
「どうしたんだろう・・・?」
途端、ハリーが何か吐き出した。それは金色にキラキラと輝いていた。頭上高くそれを振りかざし、ハリーが何か叫んだ。
スニッチだ!
試合は終わった。グリフィンドールがスリザリンに勝ったのだ!
歓喜に沸くグリフィンドールであったが、その渦中に主役のハリーはいなかった。
ナツキたちはハグリッドの小屋にいた。
「スネイプだったんだよ。ハーマイオニーもナツキも僕も見たんだ。君の箒にブツブツ呪いをかけていた。ずっと君から目を離さずにね。」
ハグリッドはなかなかそれを信じようとはしなかった。
四人は互いに顔を見合わせた。 ハリーが代表して口を開いた。
「僕、スネイプについて知ってることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守ってるものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ。」
ハグリッドはティーポットを落とした。
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
「フラッフィー?」
「そう、あいつの名前だ・・・・・去年パブで会ったギリシャ人のやつから買ったんだ。俺がダンブルドアに貸した。守るため・・・」
「何を?」
ハリーがグイとハグリッドに迫った。
「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは。」
「だけど、スネイプが盗もうとしたんだよ。」
「バカな。スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことするわけなかろう。」
「でもハリーを殺そうとしてたよ!」
ナツキが叫んだ。ハーマイオニーがそれに続いた。
「ハグリッド。私、呪いをかけてるかどうか、一目でわかるわ。たくさん本を読んだんだから!じーっと目をそらさずに見続けるの。スネイプは瞬き一つしなかったわ。この目で見たんだから!」
しかしハグリッドが考えを改めることはなかった。
「ハリーの箒が何であんな動きをしたんか、俺にはわからん。だがスネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。四人ともよく聞け。おまえさんたちは関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あの犬のことも、犬が守ってる物のことも忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの・・・」
ハリーは聞き逃さなかった。
「ニコラス・フラメルっていう人が関係してるんだね?」
ハグリッドは口が滑った自分自身に強烈に腹を立て悔しそうに顔を歪めた。