炎のゴブレット
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ナツキたちは、試合の後、シリウスに手紙を送るべくフクロウ小屋へ向かった。四人でピッグウィジョンが闇に消えていくのを見送ったあと、ロンが口を開いた。
「さあ、ハリー。下に行って君のびっくりパーティーに出なきゃ・・・フレッドとジョージが、今頃はもう厨房から食べ物をどっさりくすねてきてるはずだ。」
まさにその通りで、談話室は、すでに熱気に包まれていた。ハリーが寮に戻ると、生徒たちが一斉に歓声を上げ、彼を中心に輪ができる。ハリーの顔は少し照れながらも、満更でもなさそうだった。
そのとき、ジョージがいつの間にか隣にやってきて、ナツキの手に温かいマグカップを押しつけた。
「ミルク?なんかいい匂いがする。」
「カボチャイ・ミルクってしもべ妖精が言ってたぜ。カボチャのあったかい飲み物くれって言ったらよこした。」
それはジョージがナツキの好物がカボチャのドリンクだと知ってのことだったが、ナツキは見事にそれには気づかなかった。
「ありがとう。・・・・わあ!おいしいね!」
何かのスパイスが入っているようで、ナツキは思わず頬を緩ませた。ジョージは、そんな彼女の横顔をちらりと見て、何も言わずに少しだけ笑った。
そのとき、リー・ジョーダンが叫んだ。
「開けてみろよ、ハリー!さあ!中に何があるか見ようぜ!」
一斉に視線が集まる。ハリーはちょっと戸惑いながらも、みんなの期待に押されて、卵の中心にある溝にそっと爪を立ててこじ開ける。
次の瞬間、部屋中に、耳をつんざくような金切り声が響き渡った。まるで壊れた魔法のホイッスルを何十本も一斉に吹き鳴らしたような、どうしようもなく不快な音だ。
「わっ!?」
ナツキは思わず両手で耳を塞ぎ、体をすくめた。
ハリーは慌てて卵を閉じたが、音の残響はしばらく空気の中にまとわりついていた。
「な、なにあれ?中に何入ってるの?」
ナツキは思わずジョージの腕に寄りかかってそう呟いた。ジョージは耳から手を話すととんでもないことを言った。
「俺が思うに、ありゃ、パーシーの歌声にちょっと似てたな。もしかしたら、やつがシャワーを浴びてる時に襲わないといけないのかもしれないぜ、ハリー。」
ナツキは思わず吹き出した。しかし、ハリーの前にまた新たな恐ろしい試練が待ち受けているのだと思い出してしまったのだった。
翌朝。まだ朝靄が窓の外に薄く立ちこめており、廊下には人気がなかった。ナツキは静かな石造りの階段をゆっくりと上っていた。
昨夜の熱狂が嘘のように、城内はひんやりと静まり返っていた。
次の課題の準備を始めた方がいいと思い、ナツキは西塔へ向かっていた。金の卵の正体について、もしかするとサイラスが何か思い当たるかもしれないと思ったのだ。
そのときだった。
塔の角を曲がった瞬間、ちょうどフクロウ小屋の方から戻ってきた誰かと正面から鉢合わせた。
「セドリック・・・!!」
ナツキの口から自然と声が漏れる。
セドリックの首元にはまだ赤く火傷の跡が残っていた。けれど、彼の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
「やあ、おはよう、ナツキ。」
「おはよう。ねえ、傷は?大丈夫なの?」
ナツキが心配そうに尋ねると、セドリックは照れたように肩をすくめてみせた。
「うん。もう大丈夫。マダム・ポンフリーの薬がすごく効いてる。」
彼は軽く笑いながら、ナツキの顔をまっすぐ見つめた。
「ねえ、ナツキ、もし時間があれば散歩でもどう?」
「え?」
ナツキは少し悩んだが、セドリックの誘いをこのところ連続で断っていたため、また断るのは気が引けた。サイラスには、また後で会いにくればいい。
「いいよ。」
ナツキがそう答えると、セドリックは嬉しそうに頷いた。
「よかった。じゃあ、えっと、行こうか。」
彼の歩調は少しゆっくりで、それに合わせてナツキも静かに歩き出す。廊下を歩きながら、ナツキとセドリックの間には穏やかな沈黙が流れていた。
やがて、中庭へと続く石段にさしかかったとき、セドリックがふと口を開いた。
「今年は、ルーン文字には苦戦してないの?」
「うん。多分ね。だいぶ慣れてきたの。バブリング先生にも褒められて、この前グリフィンドールに5点もらっちゃった。」
嬉しそうに話すナツキとは対照的に、セドリックは少し残念そうな声を漏らした。
「やっぱり、そうなんだ。最近、ナツキが宿題で僕を頼ってくれなくなったから、そうじゃないかなって思ってた。」
「そりゃ、いつまでも頼るのは悪いよ。ちゃんと自分でできるようにならないとね。」
ナツキが当たり前のように言うと、セドリックは少しだけ視線を落とした。
「僕は頼ってほしかったな。」
ナツキは少し驚いた後に笑った。
「セドリックは本当に優しいね。代表になって大変なのに、ありがとう。」
「うん。」
セドリックは、笑顔を崩さずに明るく頷いた。
「やっぱり、セドリックは優秀なんだね。ドラゴンとも一人で戦ったし。」
ナツキは素直な賞賛を込めてそう言ったあと、ふと何気なく続けた。
「私は、前の日、っていうか当日の夜中まで、ハリーと呼び寄せ呪文の練習してたの。本番、うまくいって本当によかった。」
その言葉を聞いたセドリックの笑顔に、かすかな影がさした。まるで、口の中にわずかな苦味が広がったかのように、眉の奥がわずかに寄る。
「・・・・そうなんだ。」
「ん?セドリック、どうかした?」
ナツキが首をかしげて尋ねると、セドリックは一瞬ためらったあと、視線を遠くに投げた。
「君は前に、ハリーとは付き合ってないって言ってたけど・・・・それ、本当?」
「あはは、またそれ?本当だよ。私とハリーは親友なの。」
ナツキは笑いながら答えたが、セドリックはどこかすっきりしない顔で、静かにうなずいた。
「そう。君がそう言うなら、信じるよ。」
けれどその声には、ほんの少しだけ、押し込めた不安と疑念がにじんでいたが、ナツキはそれに気づかないまま、にこりと微笑んだ。
ナツキは結局その日の夜にサイラスに会いに行った。
「奇声を発する金の卵?知らないな。」
「そっかぁ・・・・」
ナツキはパラパラと祖母の研究手記を読み進めていた。
「・・・アモランディアは、愛の守り・・・・」
丁寧な文字でそう記されたその一文は、濃いインクでぐるりと丸く囲まれていた。
「そういえば昔、ダンブルドア先生がハリーを守ったのはお母さんの愛だって言ってた。死の呪文の反対呪文って、愛の呪文なの?」
問いかけに、サイラスはゆっくりと首をかしげ、どこか遠くを見るような目をした。
「アルバは、そう確信していた。愛こそが死を打ち消す唯一の力。そう信じて、あの呪文を完成させようとしていた。だが、」
彼はそこで言葉を切り、やや口を引き結んでから静かに続けた。
「結局、その呪文は発動しなかった。アルバにも、ダンブルドアにも。何か欠陥があるんだろう。愛がどれだけ役に立つのかは謎のままだ。」
「愛かあ・・・・・」
またパラパラとページをめくっていく。
「強く、愛を・・・・思う・・」
さらにページをめくると、その下にはこう記されていた。
「・・・・愛している人のことを考えれば魔法が使えるって書いてあるけど・・・・」
ナツキが読み上げると、サイラスはやれやれといった様子でため息をついた。
「理論上はそうらしい。だが、結果は何度も言った通りだ。」
「ふーん。・・・愛してる人か・・・・・」
ナツキが思い浮かべたのは、自分と同じ色を持ち、優しい目で、「愛してるよ」と言った父だった。
「・・・・アモランディア・・・」
ナツキはそっと目を閉じて父を強く思い浮かべ、手記に書かれたとおりに杖を振りながら、静かに呪文を唱えた。
しかし、何も起きなかった。
「お父さんを想ってるのに何も起きないってことは本当に欠陥呪文なんだ。」
「さっきからそういってるだろう。」
サイラスは呆れたようにそういった。
「さあ、ハリー。下に行って君のびっくりパーティーに出なきゃ・・・フレッドとジョージが、今頃はもう厨房から食べ物をどっさりくすねてきてるはずだ。」
まさにその通りで、談話室は、すでに熱気に包まれていた。ハリーが寮に戻ると、生徒たちが一斉に歓声を上げ、彼を中心に輪ができる。ハリーの顔は少し照れながらも、満更でもなさそうだった。
そのとき、ジョージがいつの間にか隣にやってきて、ナツキの手に温かいマグカップを押しつけた。
「ミルク?なんかいい匂いがする。」
「カボチャイ・ミルクってしもべ妖精が言ってたぜ。カボチャのあったかい飲み物くれって言ったらよこした。」
それはジョージがナツキの好物がカボチャのドリンクだと知ってのことだったが、ナツキは見事にそれには気づかなかった。
「ありがとう。・・・・わあ!おいしいね!」
何かのスパイスが入っているようで、ナツキは思わず頬を緩ませた。ジョージは、そんな彼女の横顔をちらりと見て、何も言わずに少しだけ笑った。
そのとき、リー・ジョーダンが叫んだ。
「開けてみろよ、ハリー!さあ!中に何があるか見ようぜ!」
一斉に視線が集まる。ハリーはちょっと戸惑いながらも、みんなの期待に押されて、卵の中心にある溝にそっと爪を立ててこじ開ける。
次の瞬間、部屋中に、耳をつんざくような金切り声が響き渡った。まるで壊れた魔法のホイッスルを何十本も一斉に吹き鳴らしたような、どうしようもなく不快な音だ。
「わっ!?」
ナツキは思わず両手で耳を塞ぎ、体をすくめた。
ハリーは慌てて卵を閉じたが、音の残響はしばらく空気の中にまとわりついていた。
「な、なにあれ?中に何入ってるの?」
ナツキは思わずジョージの腕に寄りかかってそう呟いた。ジョージは耳から手を話すととんでもないことを言った。
「俺が思うに、ありゃ、パーシーの歌声にちょっと似てたな。もしかしたら、やつがシャワーを浴びてる時に襲わないといけないのかもしれないぜ、ハリー。」
ナツキは思わず吹き出した。しかし、ハリーの前にまた新たな恐ろしい試練が待ち受けているのだと思い出してしまったのだった。
翌朝。まだ朝靄が窓の外に薄く立ちこめており、廊下には人気がなかった。ナツキは静かな石造りの階段をゆっくりと上っていた。
昨夜の熱狂が嘘のように、城内はひんやりと静まり返っていた。
次の課題の準備を始めた方がいいと思い、ナツキは西塔へ向かっていた。金の卵の正体について、もしかするとサイラスが何か思い当たるかもしれないと思ったのだ。
そのときだった。
塔の角を曲がった瞬間、ちょうどフクロウ小屋の方から戻ってきた誰かと正面から鉢合わせた。
「セドリック・・・!!」
ナツキの口から自然と声が漏れる。
セドリックの首元にはまだ赤く火傷の跡が残っていた。けれど、彼の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
「やあ、おはよう、ナツキ。」
「おはよう。ねえ、傷は?大丈夫なの?」
ナツキが心配そうに尋ねると、セドリックは照れたように肩をすくめてみせた。
「うん。もう大丈夫。マダム・ポンフリーの薬がすごく効いてる。」
彼は軽く笑いながら、ナツキの顔をまっすぐ見つめた。
「ねえ、ナツキ、もし時間があれば散歩でもどう?」
「え?」
ナツキは少し悩んだが、セドリックの誘いをこのところ連続で断っていたため、また断るのは気が引けた。サイラスには、また後で会いにくればいい。
「いいよ。」
ナツキがそう答えると、セドリックは嬉しそうに頷いた。
「よかった。じゃあ、えっと、行こうか。」
彼の歩調は少しゆっくりで、それに合わせてナツキも静かに歩き出す。廊下を歩きながら、ナツキとセドリックの間には穏やかな沈黙が流れていた。
やがて、中庭へと続く石段にさしかかったとき、セドリックがふと口を開いた。
「今年は、ルーン文字には苦戦してないの?」
「うん。多分ね。だいぶ慣れてきたの。バブリング先生にも褒められて、この前グリフィンドールに5点もらっちゃった。」
嬉しそうに話すナツキとは対照的に、セドリックは少し残念そうな声を漏らした。
「やっぱり、そうなんだ。最近、ナツキが宿題で僕を頼ってくれなくなったから、そうじゃないかなって思ってた。」
「そりゃ、いつまでも頼るのは悪いよ。ちゃんと自分でできるようにならないとね。」
ナツキが当たり前のように言うと、セドリックは少しだけ視線を落とした。
「僕は頼ってほしかったな。」
ナツキは少し驚いた後に笑った。
「セドリックは本当に優しいね。代表になって大変なのに、ありがとう。」
「うん。」
セドリックは、笑顔を崩さずに明るく頷いた。
「やっぱり、セドリックは優秀なんだね。ドラゴンとも一人で戦ったし。」
ナツキは素直な賞賛を込めてそう言ったあと、ふと何気なく続けた。
「私は、前の日、っていうか当日の夜中まで、ハリーと呼び寄せ呪文の練習してたの。本番、うまくいって本当によかった。」
その言葉を聞いたセドリックの笑顔に、かすかな影がさした。まるで、口の中にわずかな苦味が広がったかのように、眉の奥がわずかに寄る。
「・・・・そうなんだ。」
「ん?セドリック、どうかした?」
ナツキが首をかしげて尋ねると、セドリックは一瞬ためらったあと、視線を遠くに投げた。
「君は前に、ハリーとは付き合ってないって言ってたけど・・・・それ、本当?」
「あはは、またそれ?本当だよ。私とハリーは親友なの。」
ナツキは笑いながら答えたが、セドリックはどこかすっきりしない顔で、静かにうなずいた。
「そう。君がそう言うなら、信じるよ。」
けれどその声には、ほんの少しだけ、押し込めた不安と疑念がにじんでいたが、ナツキはそれに気づかないまま、にこりと微笑んだ。
ナツキは結局その日の夜にサイラスに会いに行った。
「奇声を発する金の卵?知らないな。」
「そっかぁ・・・・」
ナツキはパラパラと祖母の研究手記を読み進めていた。
「・・・アモランディアは、愛の守り・・・・」
丁寧な文字でそう記されたその一文は、濃いインクでぐるりと丸く囲まれていた。
「そういえば昔、ダンブルドア先生がハリーを守ったのはお母さんの愛だって言ってた。死の呪文の反対呪文って、愛の呪文なの?」
問いかけに、サイラスはゆっくりと首をかしげ、どこか遠くを見るような目をした。
「アルバは、そう確信していた。愛こそが死を打ち消す唯一の力。そう信じて、あの呪文を完成させようとしていた。だが、」
彼はそこで言葉を切り、やや口を引き結んでから静かに続けた。
「結局、その呪文は発動しなかった。アルバにも、ダンブルドアにも。何か欠陥があるんだろう。愛がどれだけ役に立つのかは謎のままだ。」
「愛かあ・・・・・」
またパラパラとページをめくっていく。
「強く、愛を・・・・思う・・」
さらにページをめくると、その下にはこう記されていた。
「・・・・愛している人のことを考えれば魔法が使えるって書いてあるけど・・・・」
ナツキが読み上げると、サイラスはやれやれといった様子でため息をついた。
「理論上はそうらしい。だが、結果は何度も言った通りだ。」
「ふーん。・・・愛してる人か・・・・・」
ナツキが思い浮かべたのは、自分と同じ色を持ち、優しい目で、「愛してるよ」と言った父だった。
「・・・・アモランディア・・・」
ナツキはそっと目を閉じて父を強く思い浮かべ、手記に書かれたとおりに杖を振りながら、静かに呪文を唱えた。
しかし、何も起きなかった。
「お父さんを想ってるのに何も起きないってことは本当に欠陥呪文なんだ。」
「さっきからそういってるだろう。」
サイラスは呆れたようにそういった。