炎のゴブレット
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ナツキはウィーズリー家の暖炉にいた。
「ゲホッ。」
ここまでは大丈夫だったのに、本日3回目にしてむせてしまった。
「ゲホッ、ゴホッ、」
「おいおい、大丈夫か。」
「だ、ゲホッ、いじょぶ。」
ジョージは呆れながらナツキの背中をさすった。
「ナツキ!久しぶり!」
「ハーマイ、ゲッホ、オニー!」
なんとこの間にハーマイオニーがついていたらしい。ハグをしたいところだが、咳き込むのが収まらなかったので、今回は諦めた。ジョージがまだ背中をさすってくれている。
「お、相棒、ハリーが来たぜ。」
途端にフレッドとジョージが嬉しそうにした。どうやらフレッドがお菓子を落とした時に、わざと一つだけ「トン・タン・タフィー」というとんでもないものを落としていったらしい。
ハリーがビルやチャーリーと挨拶を交わしていると、ポンと音がしてウィーズリーおじさんが姿現しした。
「フレッド!冗談じゃ済まさんぞ!あのマグルの男の子に一体何をやった?」
フレッドは落としただけだとうそぶいたが無意味だった。
「母さんに言ったらどうなるか・・・・」
「私に何をおっしゃりたいの?まあハリー、こんにちは。・・・アーサー、何事なの?聞かせて。」
ウィーズリーおじさんは怒ってはいたがおばさんに言うつもりはなかったのだろう。オロオロしはじめた。
「今度は何をしでかしたの。まさか、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズじゃないでしょうね。」
ようやく咳がおさまったところで、なんだそれは、とナツキは思った。空気を読んだハーマイオニーが、ハリー、ナツキ、ロンを連れてキッチンから抜け出させた。
「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズって?」
ナツキとハリーが不思議そうに尋ねると、ロンとジニーが笑い出した。
「ママがね、フレッドとジョージの部屋を掃除してたら、注文書が束になって出てきたんだ。二人が発明したものの価格表で、ながーいリストさ。悪戯おもちゃの。『だまし杖』とか、『ひっかけ菓子』だとかいっぱいだ。すごいよ。僕、あの二人があんなに色々発明してたなんて知らなかった。」
ロンがそう言った。どうやらその(危険な)悪戯グッズで一儲け企んでいるらしい。それをおばさんが知って、カンカンになって怒っているようだ。
「それから大論争があったの。ママは二人にパパみたいに『魔法省』に入って欲しかったの。でも二人はどうしても『悪戯専門店』を開きたいってママに言ったの。」
「あの二人に魔法省はちょっと向いてる気はしないなぁ。」
ナツキは遠い目でそう言った。あの二人が政治に関わるなんて怖すぎる。しかし悪戯専門店は、これ以上ないほどピッタリだと思った。
その時、踊り場のドアが開きパーシーが現れた。そういえば、この人もいたんだ、とナツキは失礼なことを考えていた。
「やあ、パーシー。」
「久しぶり、パーシー。」
「しばらく、ナツキ、ハリー。」
パーシーは魔法省に勤めたらしく、その仕事中だという。パーシーの部屋を過ぎて、ナツキたちが階段を登っていると、ウィーズリーおばさんの怒鳴る声が聞こえてきた。「トン・タン・タフィー」のことをおじさんが言ってしまったのだろう。
一番上のロンの寝室に入ると、大きなカエルと、小さなフクロウがいた。
「静かにしろ、ピッグ。」
ナツキとハリーがどうしてピッグなのかを尋ねると、本当はピッグウィジョンという名前だそうだ。ジニーがつけたらそれが定着してしまったらしい。
しばらく夏休みのことを話し合っていると、階下が静かになった。お説教が終わったのだろう。
五人はロンの部屋を出て、キッチンへ降りていった。そこにはおばさんだけだった。ご機嫌斜めである。
「庭で食べることにしましたよ。ここじゃ十二人はとても入りきらないわ。」
ナツキはおばさんの機嫌が悪いので庭の方を手伝おうと、ハリーとロンを置いて庭へ向かった。クルックシャンクスが庭小人を追って遊んでいる。
ビルとチャーリーは、テーブルを芝生の上に高々と飛ばし、お互いにぶっつけて落としっこをしていた。フレッドとジョージがそれを応援している脇にナツキは腰を下ろす。ジョージがちらりと彼女に気づいて笑いかけた。
「魔法省で鍋底の標準化のお仕事をするんじゃなくていいの?」
ナツキが冗談めかして言うと、フレッドとジョージがにやにやと笑みを浮かべた。
「それは偉大なる石頭にしか成し遂げることができない仕事だ・・・・」
「クラウチ氏の靴底磨きも忘れるな・・・・」
二人が息を合わせてそう言うと、ナツキはくすくす笑った。
「いいと思う。悪戯専門店。これ以上あなたたちにピッタリな仕事って、他にないと思うの。あ、今私が言ったこと、おばさんには内緒にしてね。」
「ちゃんと応援されるのも逆に怖いな。」
「いいね。やる気がみなぎるぜ。」
ジョージがふっと空を仰ぎ見るふりをして、口を開いた。
「母上がこの会話を聞いていないことを、星に祈ろう。」
7時になると、2卓のテーブルの上には御馳走がたくさん並べられ、重みで唸っていた。
「わあ!ドラゴンソーセージ!ナツキ、ありがとう!!」
現金にもロンが大声をあげ、皿に手を伸ばす。喜んでくれて何よりだ、とナツキは微笑んだ。
ハリーも興味深そうにソーセージをじっと見つめながら言った。
「僕、これ初めてだけど、ドラゴンソーセージって、本当にドラゴンの肉なの?」
ハリーの質問にナツキは答えた。
「ううん。ドラゴン風ってとこかな。火トカゲとスモークレバー、それから・・・たしか火吹きネズミの脂が少々。」
「それ、ドラゴンじゃないよね?」
「ドラゴン『風』だってば。」
ロンが無邪気にかぶりついた。
「でも、うまいぞ!」
ナツキは思わず笑ってしまいながら、自分の皿にサラダをよそった。その時少しだけ、ウィーズリーおじさんと、パーシーの会話が耳に入った。
「僕たちの『国際魔法協力部』はもう手一杯で、他の部の創作どころではないんですよ。ご存知のように、ワールドカップのすぐ後に、もう一つ大きな行事を組織するのでね。」
パーシーはナツキたちの方を見て、勿体ぶって咳をした。ロンはまたかと言う顔をした。
「パーシーのやつ、仕事についてからずっと、なんの行事かって僕たちに質問させたくて、この調子なんだ。厚底鍋の展覧会かなんかだろう。」
ロンが皮肉っぽく言うと、ナツキは吹き出しそうになるのをなんとか堪え、口元を手で押さえた。
そのとき、横からジニーがにやりと笑って言った。
「ほら、ナツキに聞いてみましょうよ。」
ナツキはきょとんとジニーを見た。
「どうかした?」
「ママが、ビルのイヤリングと髪の毛が気に入らないんですって。でも私、素敵だと思うわ。ナツキはどう?」
ナツキは思わずビルの方を見た。肩まで伸ばした髪を後ろで一つに束ね、牙のイヤリングがちらりと揺れている。それが海賊のような自由さをまとう彼に、妙に似合っていた。
「すごくかっこいいと思う。ビルって、自由で優しそうで、なんていうか・・・」
「王子様みたい?」
ビルは冗談めかして笑って行った。ナツキは、王子よりはアウトローだが、とは言わずに笑って答えた。
「それくらいかっこいいと思う。」
「嬉しいねぇ。エジプトではあんまり褒められないから、久々に自信が戻ってきたよ。」
ビルが軽くウィンクすると、ナツキはくすりと笑いながら、ビルと他愛もない会話を始めた。
ナツキとビルの会話はしばらく続いた。エジプトの話、呪いよけの護符の話、そして昔のロンの面白い話まで。ナツキはとっても楽しくて、にこにこ笑いながら話を聞いていた。
その様子を、ジョージはフレッドやチャーリーとクィディッチ・ワールドカップの話をしながら、時おりちらちらと横目で見ていた。皿の上のソーセージにはもう手をつけておらず、代わりにカリカリに焼けたベーコンを黙々とフォークで切り刻んでいた。
「どうした、相棒。ベーコンを細切れにする呪いにでもかかったか?」
フレッドが隣でからかうと、ジョージは短く答えた。
「そんな気分なだけさ。」
フレッドはちらりとナツキの方に目をやり、口元を釣り上げた。
「ああ、なるほど。セドリック・ディゴリーより強敵だな。年上で、呪い破りで、銀行勤めの素敵なお兄様、ってやつだ。」
ジョージは何も言わなかった。フォークの動きが止まり、カリカリのベーコンをじっと見つめる。風が一陣、庭を抜けて、ナツキの明るい笑い声を運んできた。
フレッドは一拍おいて、わざとらしく咳払いをした。そして声を潜めて、ジョージの耳元に囁く。
「でももしかしたら、年上のいたずら好きなお兄様の方が、ナツキのタイプかもな?」
ジョージは横目でちらりとフレッドを見たが、何も言わなかった。そのかわり、ゆっくりとベーコンを一切れ、口に運びながら、ぼそりと呟いた。
次にナツキを見た時、彼女はすでに席を離れ、ハリーやロンと一緒に庭の隅でひそひそと何かを話し込んでいた。ほんの少し前まで自分とビルの話で楽しげに笑っていたその横顔が、今はどこか真剣で、少しだけ遠く感じられた。
「シリウスから、近頃便りはあったのかい?」
ロンの問いかけにナツキとハリーは静かに頷いた。
「うん、おととい手紙を書いたよ。ここにいる間に返事が来るかもしれない。」
ナツキは、ハリーがあの“例の痛み”――額の傷のことを、きっとシリウスに相談したのだと察した。ハリーの声は平静を保っていたが、どこか不安を押し隠すような響きがあった。
「みんなもう寝なくちゃ。全員よ。ワールドカップに行くのに、夜明け前に起きるんですからね。ハリー、学用品のリストを置いて行ってね。明日ダイアゴン横丁で買ってきてあげますよ。みんなの買い物もするついでがあるし。ワールドカップの後は時間がないかもしれないわ。前回の試合なんか、5日間も続いたんだから。」
「今度もそうなるといいな!」
ハリーが熱くなってそう言った。しかしパーシーはそんなにオフィスを空けたくないと言った。
「また誰かがドラゴンの糞を忍び込ませつかもしれないし。な、パース。」
フレッドが言った。
「あれはノルウェーからの肥料のサンプルだった!僕への個人的なものじゃなかったんだ!」
パーシーが顔を真っ赤にしていった。
「個人的だったとも。」
フレッドが、テーブルを離れながら、ナツキとハリーの耳元で囁いた。
ナツキは2年生の時、罰則でスプラウト先生の温室を手伝ったことを思い出した。
あれ、鼻が曲がるかと思った。いや、多分本当に曲がった。
思い出しただけで鼻の奥にあの強烈な匂いが蘇る気がして、ナツキは肩を震わせた。
「最悪だ・・・・!」
「最高だろ?」
ジョージが後ろからひょいと現れて、いたずらっぽく笑った。
「ゲホッ。」
ここまでは大丈夫だったのに、本日3回目にしてむせてしまった。
「ゲホッ、ゴホッ、」
「おいおい、大丈夫か。」
「だ、ゲホッ、いじょぶ。」
ジョージは呆れながらナツキの背中をさすった。
「ナツキ!久しぶり!」
「ハーマイ、ゲッホ、オニー!」
なんとこの間にハーマイオニーがついていたらしい。ハグをしたいところだが、咳き込むのが収まらなかったので、今回は諦めた。ジョージがまだ背中をさすってくれている。
「お、相棒、ハリーが来たぜ。」
途端にフレッドとジョージが嬉しそうにした。どうやらフレッドがお菓子を落とした時に、わざと一つだけ「トン・タン・タフィー」というとんでもないものを落としていったらしい。
ハリーがビルやチャーリーと挨拶を交わしていると、ポンと音がしてウィーズリーおじさんが姿現しした。
「フレッド!冗談じゃ済まさんぞ!あのマグルの男の子に一体何をやった?」
フレッドは落としただけだとうそぶいたが無意味だった。
「母さんに言ったらどうなるか・・・・」
「私に何をおっしゃりたいの?まあハリー、こんにちは。・・・アーサー、何事なの?聞かせて。」
ウィーズリーおじさんは怒ってはいたがおばさんに言うつもりはなかったのだろう。オロオロしはじめた。
「今度は何をしでかしたの。まさか、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズじゃないでしょうね。」
ようやく咳がおさまったところで、なんだそれは、とナツキは思った。空気を読んだハーマイオニーが、ハリー、ナツキ、ロンを連れてキッチンから抜け出させた。
「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズって?」
ナツキとハリーが不思議そうに尋ねると、ロンとジニーが笑い出した。
「ママがね、フレッドとジョージの部屋を掃除してたら、注文書が束になって出てきたんだ。二人が発明したものの価格表で、ながーいリストさ。悪戯おもちゃの。『だまし杖』とか、『ひっかけ菓子』だとかいっぱいだ。すごいよ。僕、あの二人があんなに色々発明してたなんて知らなかった。」
ロンがそう言った。どうやらその(危険な)悪戯グッズで一儲け企んでいるらしい。それをおばさんが知って、カンカンになって怒っているようだ。
「それから大論争があったの。ママは二人にパパみたいに『魔法省』に入って欲しかったの。でも二人はどうしても『悪戯専門店』を開きたいってママに言ったの。」
「あの二人に魔法省はちょっと向いてる気はしないなぁ。」
ナツキは遠い目でそう言った。あの二人が政治に関わるなんて怖すぎる。しかし悪戯専門店は、これ以上ないほどピッタリだと思った。
その時、踊り場のドアが開きパーシーが現れた。そういえば、この人もいたんだ、とナツキは失礼なことを考えていた。
「やあ、パーシー。」
「久しぶり、パーシー。」
「しばらく、ナツキ、ハリー。」
パーシーは魔法省に勤めたらしく、その仕事中だという。パーシーの部屋を過ぎて、ナツキたちが階段を登っていると、ウィーズリーおばさんの怒鳴る声が聞こえてきた。「トン・タン・タフィー」のことをおじさんが言ってしまったのだろう。
一番上のロンの寝室に入ると、大きなカエルと、小さなフクロウがいた。
「静かにしろ、ピッグ。」
ナツキとハリーがどうしてピッグなのかを尋ねると、本当はピッグウィジョンという名前だそうだ。ジニーがつけたらそれが定着してしまったらしい。
しばらく夏休みのことを話し合っていると、階下が静かになった。お説教が終わったのだろう。
五人はロンの部屋を出て、キッチンへ降りていった。そこにはおばさんだけだった。ご機嫌斜めである。
「庭で食べることにしましたよ。ここじゃ十二人はとても入りきらないわ。」
ナツキはおばさんの機嫌が悪いので庭の方を手伝おうと、ハリーとロンを置いて庭へ向かった。クルックシャンクスが庭小人を追って遊んでいる。
ビルとチャーリーは、テーブルを芝生の上に高々と飛ばし、お互いにぶっつけて落としっこをしていた。フレッドとジョージがそれを応援している脇にナツキは腰を下ろす。ジョージがちらりと彼女に気づいて笑いかけた。
「魔法省で鍋底の標準化のお仕事をするんじゃなくていいの?」
ナツキが冗談めかして言うと、フレッドとジョージがにやにやと笑みを浮かべた。
「それは偉大なる石頭にしか成し遂げることができない仕事だ・・・・」
「クラウチ氏の靴底磨きも忘れるな・・・・」
二人が息を合わせてそう言うと、ナツキはくすくす笑った。
「いいと思う。悪戯専門店。これ以上あなたたちにピッタリな仕事って、他にないと思うの。あ、今私が言ったこと、おばさんには内緒にしてね。」
「ちゃんと応援されるのも逆に怖いな。」
「いいね。やる気がみなぎるぜ。」
ジョージがふっと空を仰ぎ見るふりをして、口を開いた。
「母上がこの会話を聞いていないことを、星に祈ろう。」
7時になると、2卓のテーブルの上には御馳走がたくさん並べられ、重みで唸っていた。
「わあ!ドラゴンソーセージ!ナツキ、ありがとう!!」
現金にもロンが大声をあげ、皿に手を伸ばす。喜んでくれて何よりだ、とナツキは微笑んだ。
ハリーも興味深そうにソーセージをじっと見つめながら言った。
「僕、これ初めてだけど、ドラゴンソーセージって、本当にドラゴンの肉なの?」
ハリーの質問にナツキは答えた。
「ううん。ドラゴン風ってとこかな。火トカゲとスモークレバー、それから・・・たしか火吹きネズミの脂が少々。」
「それ、ドラゴンじゃないよね?」
「ドラゴン『風』だってば。」
ロンが無邪気にかぶりついた。
「でも、うまいぞ!」
ナツキは思わず笑ってしまいながら、自分の皿にサラダをよそった。その時少しだけ、ウィーズリーおじさんと、パーシーの会話が耳に入った。
「僕たちの『国際魔法協力部』はもう手一杯で、他の部の創作どころではないんですよ。ご存知のように、ワールドカップのすぐ後に、もう一つ大きな行事を組織するのでね。」
パーシーはナツキたちの方を見て、勿体ぶって咳をした。ロンはまたかと言う顔をした。
「パーシーのやつ、仕事についてからずっと、なんの行事かって僕たちに質問させたくて、この調子なんだ。厚底鍋の展覧会かなんかだろう。」
ロンが皮肉っぽく言うと、ナツキは吹き出しそうになるのをなんとか堪え、口元を手で押さえた。
そのとき、横からジニーがにやりと笑って言った。
「ほら、ナツキに聞いてみましょうよ。」
ナツキはきょとんとジニーを見た。
「どうかした?」
「ママが、ビルのイヤリングと髪の毛が気に入らないんですって。でも私、素敵だと思うわ。ナツキはどう?」
ナツキは思わずビルの方を見た。肩まで伸ばした髪を後ろで一つに束ね、牙のイヤリングがちらりと揺れている。それが海賊のような自由さをまとう彼に、妙に似合っていた。
「すごくかっこいいと思う。ビルって、自由で優しそうで、なんていうか・・・」
「王子様みたい?」
ビルは冗談めかして笑って行った。ナツキは、王子よりはアウトローだが、とは言わずに笑って答えた。
「それくらいかっこいいと思う。」
「嬉しいねぇ。エジプトではあんまり褒められないから、久々に自信が戻ってきたよ。」
ビルが軽くウィンクすると、ナツキはくすりと笑いながら、ビルと他愛もない会話を始めた。
ナツキとビルの会話はしばらく続いた。エジプトの話、呪いよけの護符の話、そして昔のロンの面白い話まで。ナツキはとっても楽しくて、にこにこ笑いながら話を聞いていた。
その様子を、ジョージはフレッドやチャーリーとクィディッチ・ワールドカップの話をしながら、時おりちらちらと横目で見ていた。皿の上のソーセージにはもう手をつけておらず、代わりにカリカリに焼けたベーコンを黙々とフォークで切り刻んでいた。
「どうした、相棒。ベーコンを細切れにする呪いにでもかかったか?」
フレッドが隣でからかうと、ジョージは短く答えた。
「そんな気分なだけさ。」
フレッドはちらりとナツキの方に目をやり、口元を釣り上げた。
「ああ、なるほど。セドリック・ディゴリーより強敵だな。年上で、呪い破りで、銀行勤めの素敵なお兄様、ってやつだ。」
ジョージは何も言わなかった。フォークの動きが止まり、カリカリのベーコンをじっと見つめる。風が一陣、庭を抜けて、ナツキの明るい笑い声を運んできた。
フレッドは一拍おいて、わざとらしく咳払いをした。そして声を潜めて、ジョージの耳元に囁く。
「でももしかしたら、年上のいたずら好きなお兄様の方が、ナツキのタイプかもな?」
ジョージは横目でちらりとフレッドを見たが、何も言わなかった。そのかわり、ゆっくりとベーコンを一切れ、口に運びながら、ぼそりと呟いた。
次にナツキを見た時、彼女はすでに席を離れ、ハリーやロンと一緒に庭の隅でひそひそと何かを話し込んでいた。ほんの少し前まで自分とビルの話で楽しげに笑っていたその横顔が、今はどこか真剣で、少しだけ遠く感じられた。
「シリウスから、近頃便りはあったのかい?」
ロンの問いかけにナツキとハリーは静かに頷いた。
「うん、おととい手紙を書いたよ。ここにいる間に返事が来るかもしれない。」
ナツキは、ハリーがあの“例の痛み”――額の傷のことを、きっとシリウスに相談したのだと察した。ハリーの声は平静を保っていたが、どこか不安を押し隠すような響きがあった。
「みんなもう寝なくちゃ。全員よ。ワールドカップに行くのに、夜明け前に起きるんですからね。ハリー、学用品のリストを置いて行ってね。明日ダイアゴン横丁で買ってきてあげますよ。みんなの買い物もするついでがあるし。ワールドカップの後は時間がないかもしれないわ。前回の試合なんか、5日間も続いたんだから。」
「今度もそうなるといいな!」
ハリーが熱くなってそう言った。しかしパーシーはそんなにオフィスを空けたくないと言った。
「また誰かがドラゴンの糞を忍び込ませつかもしれないし。な、パース。」
フレッドが言った。
「あれはノルウェーからの肥料のサンプルだった!僕への個人的なものじゃなかったんだ!」
パーシーが顔を真っ赤にしていった。
「個人的だったとも。」
フレッドが、テーブルを離れながら、ナツキとハリーの耳元で囁いた。
ナツキは2年生の時、罰則でスプラウト先生の温室を手伝ったことを思い出した。
あれ、鼻が曲がるかと思った。いや、多分本当に曲がった。
思い出しただけで鼻の奥にあの強烈な匂いが蘇る気がして、ナツキは肩を震わせた。
「最悪だ・・・・!」
「最高だろ?」
ジョージが後ろからひょいと現れて、いたずらっぽく笑った。