賢者の石
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授業が始まり、ナツキは思ってもみなかった自分の弱点を自覚してしまった。
「ナツキ、こっちだよ!どこに行くの!」
「え!?」
ハリーがナツキのローブの袖をグイと引っ張る。
「あ、ごめん!」
「ナツキ!ハリー!急がなきゃ!遅れちゃう!」
宴の日から数日、廊下では誰もがハリーをひと目見ようと群がり、ついでにあれがゴドリクソンなんだ、と囁かれ、階段はめちゃくちゃだし、ニコラス以外のゴーストも面倒だった。ナツキはたまたまその時席を外していたが、ハリーとロンがフィルチに目をつけられてしまったことも悪かった。
そんな中で、ナツキは自分が人より(かなり)方向音痴であることを知った。
田舎の家でほとんどを過ごしており、たまにダイアゴン横丁やホグズミードに行くにしても複雑な道ではないからこれまで気づかなかった。
「正直授業よりきつい・・・・」
「僕は授業もきついよ。」
ナツキのつぶやきにロンはそう返した。ナツキは授業は最初から割と困ることはなかった。優秀だったともっぱらの噂の祖母アルバに似たのだろうか。
何はともあれ良かったとナツキは大いに安心した。談話室でハリーにこっそりそれを伝えた時、彼も同じように思っていたようで、また一層仲良くなった気がした。
その日は3人にとって記念すべき日となった。迷わずに大広間にたどり着けたのだ。朝食を食べていると、ハグリッドからハリー宛にお茶の誘いの手紙が届いた。
「私も行っていいかな?」
「ハグリッドも喜ぶよ。」
「じゃあ僕も行く!」
放課後の素敵な予定が決まった。しかしその前に今日は「魔法薬学」の授業があった。
魔法薬学の教授、スネイプ先生はお世辞にも良い先生だとは言えなかった。ハリーを標的に、答えられないであろうことを何度も質問したのだ。しかもそれどころか、グリフィンドールは減点された。
その後2人1組になってナツキ達はおできを治す薬を調合させられた。ナツキはハーマイオニーと一緒だった。
「干しイラクサ量ったよ。」
「ありがとう、ナツキ。こっちもヘビの牙を砕いたわ。」
「角ナメクジを茹でないとね。注意が必要みたいだから一緒にやろう。」
こんなにハーマイオニーと話したのは初めてだったが、ものすごく息ぴったりで誰よりも先に薬を完成させた。
「スネイプ先生、見て頂けますか?」
ナツキがドキドキしながら完成した魔法薬の入った鍋をスネイプに見せた。
「・・・・・・問題はなかろう。」
「わ!良かった!ありがとうございます!」
面白くないと言った顔でナツキたちの薬を評価したスネイプであったが、屈託ないナツキの礼に面食らった。なんともやりにくい、と彼は思った。スネイプは学生時代にナツキと瓜二つのアルバ・ゴドリクソンに少しだけ世話になったからだ。
ナツキとハーマイオニーは残った時間、小さな声で魔法薬学のことを色々と話した。ハリーやロンとくだらない話をするのも大好きだったが、勉強のことを話すのも自分は好きなのだと知った。それを知るきっかけとなったハーマイオニーににも好感を持った。
「マクゴナガル先生が出した宿題、一緒にやらない?」
ナツキは勇気を出してハーマイオニーを勉強に誘ってみた。
「ええ。いいわよ。」
ハーマイオニーがにっこりとそう返してくれて、ナツキは胸がポカポカするのを感じた。そういえば女の子の友達は初めてだ、とここで気づいた。
魔法薬学が終わってから、ロンとがっかりしているハリーと共に、3人でハグリッドの小屋へ向かった。ハグリッドは嬉しそうに迎え入れてくれた。
「お前さんの双子の兄貴達を森から追っ払うのに、俺は人生の半分を費やしてるようなもんだ。」
ロンが自己紹介をすると、ハグリッドはそう言った。ナツキはつい笑ってしまった。付き合いは短いが、ジョージとフレッドの人となりはもうだいぶ把握していた。
時々不自然にハグリッドがハリーの発言をはぐらかすようなそぶりを見せたが、そのお茶の時間はナツキにとってとても楽しいものとなった。
その日の夜、ナツキが談話室に行くとボーッとしているハリーの姿があった。
「ハリー?」
「ナツキ、珍しいね。」
ナツキは今まであまり夜更かしをしたことがなかったため、談話室に夜遅くに現れることは今の所稀だった。
「なんとなく目が冴えちゃって。ハリーは?どうかした?」
「うーん。ハグリッドがさ、なんて言ったらいいんだろう。なんか・・・」
「隠し事でもしてる?」
どう言ったものかと考えていたらナツキが言いたいことをずばりと当てたものだから、ハリーは驚いた。
「ナツキ、迷惑じゃなければ僕と一緒に考えを整理して欲しいんだ。もしかしたら、馬鹿なこと言うかもしれないけど、その・・・」
「いいよ。何か気になってるの?」
ハリーはまた一つ、ナツキという友達が好きになった。考えてみれば、ナツキが人を馬鹿にするようなことは、まだ聞いたことがない。安心して考えていることを言っても良いかも、と思えた。
「僕、ハグリッドとグリンゴッツに行ったんだ。僕がお金を下ろした後、ハグリッドはある金庫に行って小さな何かを取り出した。ダンブルドアの頼まれごとで、あとは秘密としか教えてくれなかったけど・・・」
「それって私に会った日?」
「うん。」
「じゃあ、ハリーの誕生日だね。」
ハリーはナツキがもう自分の言わんとしてることを察していると気づいたけれど、そのまま話を続けた。
「今日、ハグリッドに、新聞でグリンゴッツの強盗が僕の誕生日に起きたことを指摘したらはぐらかされた。グリンゴッツの強盗が起きた時、すでに金庫は空だった。僕は、その、つまり、」
ナツキは急かすことなくハリーの言葉を待った。
「・・・・・盗まれるはずだったものは、ハグリッドが取り出した何かなんじゃないかって思う。何かは知らないけど。それが狙われているってわかっていたから、そうするように、ダンブルドア先生が頼んだんじゃないかって。」
ハリーの声はだんだんと小さくなっていった。
「それってどれくらいの大きさだった?」
「・・・えっと、5センチあるかないかくらいだと思う。」
「なんだろう・・・・それくらいの大きさでものすごく大事なもの・・・・・」
ハリーの単なる憶測にすぎない推理にナツキは真剣に向き合った。ハリーは今日ハグリッドの小屋で感じたモヤモヤが少し解消された。
「ナツキって、その・・・友達だと思っていいよね?」
「え!?ダイアゴン横丁で会った時から友達だと思ってたけど違った!?」
ガーンという効果音がぴったりな顔でナツキはハリーにそう言った。
「いや、僕、あんまり友達いたことなくて、」
「そうなの?私もだよ。周りに家がないから。アブ以外と話す機会はあんまりなかったし。」
「そうなんだ・・・!僕、ナツキと友達になれて良かったって言いたかったんだ。」
ハリーが頬を少し赤くしてそう言った。ナツキは嬉しくて目を輝かせた。
「私もだよ!ハリーと友達になれてすっごく嬉しいし、毎日楽しいよ!」
ナツキとハリーは顔を見合わせて笑った。ロンともハーマイオニーとも友達だと思っているが、ハリーのことは、なんだかもっとずっと特別な、会う前から知り合いだったような、心から繋がっている友達のように感じた。
「ナツキ、こっちだよ!どこに行くの!」
「え!?」
ハリーがナツキのローブの袖をグイと引っ張る。
「あ、ごめん!」
「ナツキ!ハリー!急がなきゃ!遅れちゃう!」
宴の日から数日、廊下では誰もがハリーをひと目見ようと群がり、ついでにあれがゴドリクソンなんだ、と囁かれ、階段はめちゃくちゃだし、ニコラス以外のゴーストも面倒だった。ナツキはたまたまその時席を外していたが、ハリーとロンがフィルチに目をつけられてしまったことも悪かった。
そんな中で、ナツキは自分が人より(かなり)方向音痴であることを知った。
田舎の家でほとんどを過ごしており、たまにダイアゴン横丁やホグズミードに行くにしても複雑な道ではないからこれまで気づかなかった。
「正直授業よりきつい・・・・」
「僕は授業もきついよ。」
ナツキのつぶやきにロンはそう返した。ナツキは授業は最初から割と困ることはなかった。優秀だったともっぱらの噂の祖母アルバに似たのだろうか。
何はともあれ良かったとナツキは大いに安心した。談話室でハリーにこっそりそれを伝えた時、彼も同じように思っていたようで、また一層仲良くなった気がした。
その日は3人にとって記念すべき日となった。迷わずに大広間にたどり着けたのだ。朝食を食べていると、ハグリッドからハリー宛にお茶の誘いの手紙が届いた。
「私も行っていいかな?」
「ハグリッドも喜ぶよ。」
「じゃあ僕も行く!」
放課後の素敵な予定が決まった。しかしその前に今日は「魔法薬学」の授業があった。
魔法薬学の教授、スネイプ先生はお世辞にも良い先生だとは言えなかった。ハリーを標的に、答えられないであろうことを何度も質問したのだ。しかもそれどころか、グリフィンドールは減点された。
その後2人1組になってナツキ達はおできを治す薬を調合させられた。ナツキはハーマイオニーと一緒だった。
「干しイラクサ量ったよ。」
「ありがとう、ナツキ。こっちもヘビの牙を砕いたわ。」
「角ナメクジを茹でないとね。注意が必要みたいだから一緒にやろう。」
こんなにハーマイオニーと話したのは初めてだったが、ものすごく息ぴったりで誰よりも先に薬を完成させた。
「スネイプ先生、見て頂けますか?」
ナツキがドキドキしながら完成した魔法薬の入った鍋をスネイプに見せた。
「・・・・・・問題はなかろう。」
「わ!良かった!ありがとうございます!」
面白くないと言った顔でナツキたちの薬を評価したスネイプであったが、屈託ないナツキの礼に面食らった。なんともやりにくい、と彼は思った。スネイプは学生時代にナツキと瓜二つのアルバ・ゴドリクソンに少しだけ世話になったからだ。
ナツキとハーマイオニーは残った時間、小さな声で魔法薬学のことを色々と話した。ハリーやロンとくだらない話をするのも大好きだったが、勉強のことを話すのも自分は好きなのだと知った。それを知るきっかけとなったハーマイオニーににも好感を持った。
「マクゴナガル先生が出した宿題、一緒にやらない?」
ナツキは勇気を出してハーマイオニーを勉強に誘ってみた。
「ええ。いいわよ。」
ハーマイオニーがにっこりとそう返してくれて、ナツキは胸がポカポカするのを感じた。そういえば女の子の友達は初めてだ、とここで気づいた。
魔法薬学が終わってから、ロンとがっかりしているハリーと共に、3人でハグリッドの小屋へ向かった。ハグリッドは嬉しそうに迎え入れてくれた。
「お前さんの双子の兄貴達を森から追っ払うのに、俺は人生の半分を費やしてるようなもんだ。」
ロンが自己紹介をすると、ハグリッドはそう言った。ナツキはつい笑ってしまった。付き合いは短いが、ジョージとフレッドの人となりはもうだいぶ把握していた。
時々不自然にハグリッドがハリーの発言をはぐらかすようなそぶりを見せたが、そのお茶の時間はナツキにとってとても楽しいものとなった。
その日の夜、ナツキが談話室に行くとボーッとしているハリーの姿があった。
「ハリー?」
「ナツキ、珍しいね。」
ナツキは今まであまり夜更かしをしたことがなかったため、談話室に夜遅くに現れることは今の所稀だった。
「なんとなく目が冴えちゃって。ハリーは?どうかした?」
「うーん。ハグリッドがさ、なんて言ったらいいんだろう。なんか・・・」
「隠し事でもしてる?」
どう言ったものかと考えていたらナツキが言いたいことをずばりと当てたものだから、ハリーは驚いた。
「ナツキ、迷惑じゃなければ僕と一緒に考えを整理して欲しいんだ。もしかしたら、馬鹿なこと言うかもしれないけど、その・・・」
「いいよ。何か気になってるの?」
ハリーはまた一つ、ナツキという友達が好きになった。考えてみれば、ナツキが人を馬鹿にするようなことは、まだ聞いたことがない。安心して考えていることを言っても良いかも、と思えた。
「僕、ハグリッドとグリンゴッツに行ったんだ。僕がお金を下ろした後、ハグリッドはある金庫に行って小さな何かを取り出した。ダンブルドアの頼まれごとで、あとは秘密としか教えてくれなかったけど・・・」
「それって私に会った日?」
「うん。」
「じゃあ、ハリーの誕生日だね。」
ハリーはナツキがもう自分の言わんとしてることを察していると気づいたけれど、そのまま話を続けた。
「今日、ハグリッドに、新聞でグリンゴッツの強盗が僕の誕生日に起きたことを指摘したらはぐらかされた。グリンゴッツの強盗が起きた時、すでに金庫は空だった。僕は、その、つまり、」
ナツキは急かすことなくハリーの言葉を待った。
「・・・・・盗まれるはずだったものは、ハグリッドが取り出した何かなんじゃないかって思う。何かは知らないけど。それが狙われているってわかっていたから、そうするように、ダンブルドア先生が頼んだんじゃないかって。」
ハリーの声はだんだんと小さくなっていった。
「それってどれくらいの大きさだった?」
「・・・えっと、5センチあるかないかくらいだと思う。」
「なんだろう・・・・それくらいの大きさでものすごく大事なもの・・・・・」
ハリーの単なる憶測にすぎない推理にナツキは真剣に向き合った。ハリーは今日ハグリッドの小屋で感じたモヤモヤが少し解消された。
「ナツキって、その・・・友達だと思っていいよね?」
「え!?ダイアゴン横丁で会った時から友達だと思ってたけど違った!?」
ガーンという効果音がぴったりな顔でナツキはハリーにそう言った。
「いや、僕、あんまり友達いたことなくて、」
「そうなの?私もだよ。周りに家がないから。アブ以外と話す機会はあんまりなかったし。」
「そうなんだ・・・!僕、ナツキと友達になれて良かったって言いたかったんだ。」
ハリーが頬を少し赤くしてそう言った。ナツキは嬉しくて目を輝かせた。
「私もだよ!ハリーと友達になれてすっごく嬉しいし、毎日楽しいよ!」
ナツキとハリーは顔を見合わせて笑った。ロンともハーマイオニーとも友達だと思っているが、ハリーのことは、なんだかもっとずっと特別な、会う前から知り合いだったような、心から繋がっている友達のように感じた。