秘密の部屋
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ナツキ、ハリー、ロン、ハーマイオニーはロックハートに禁書の許可にサインをしてもらうことに決めた。その日、ハリーはロックハートのご機嫌を必死にとってくれた。そしてロックハートは、何の本を借りるのかちゃんとみることなく、許可証にサインをした。
図書館でそそくさと禁書を借りた四人は3回の女子トイレにいた。ここなら、人が入ってこないからだ。
「あったわ」ハーマイオニーが興奮した顔で「ポリジュース薬」という題のついたページを指した。
「こんなに複雑な魔法薬は、初めてお目にかかるわ。」
四人で薬の材料にざっと目を通しながら、ハーマイオニーが言った。
「・・・・ウン、こんなのは簡単ね。生徒用の材料棚にあるから、自分で勝手に取れるわ。ウーッ、見てよ。二角獣の角の粉末。これ、どこで手に入れたらいいかわからないわ。毒ツルヘビの皮の千切り・・・これも難しいわね。それに、当然だけど、変身したい相手の一部。」
そのハーマイオニーの最後の言葉に、ナツキはゾッとした。
「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に入れればいいんだから。」
ロンは絶句してハリーのほうを見たが、ハリーは別なことを心配していた。
「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗まなきゃならないか、わかってる?毒ツルヘビの皮の千切りなんて、生徒用の棚には絶対にあるはずないし。どうするの?スネイプの個人用の保管倉庫に盗みに入るの?うまくいかないような気がする・・・・」
ナツキもハリーと同じ意見だ。ポリジュース薬を作るハードルが高すぎる。ハーマイオニーは本をピシャッと閉じた。
「そう。怖じ気づいて、やめるって言うなら、結構よ。私は規則を破りたくはない。わかってるでしょう。だけどマグル生まれの者を脅迫するなんて、ややこしい魔法薬を密造することよりずーっと悪いことだと思うの。でも、あなたたちがマルフォイがやってるのかどうか知りたくないっていうんなら、これからまっすぐマダム・ピンスのところへ行ってこの本をお返ししてくるわ。」
驚いた。ハーマイオニーが規則を破れと言っているのだ。しかしその薬の製造には1ヶ月ほどかかるらしい。確かにナツキが材料を見る限り、それくらいかかりそうだった。
トイレを出る時、ハーマイオニーが誰もいないことを確かめている間、ロンはハリーとナツキに囁いた。
「明日、ハリーがマルフォイを箒から叩き落としゃ、ずっと手間が省けるぜ。それかナツキがぶん殴るかだな。」
土曜の朝がやってきた。グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合の日だ。競技開始が近づいた頃、ナツキはロンとハーマイオニーと更衣室の方へ向かった。ちょうどハリーが更衣室へ入ろうとしているところで、三人で元気づける言葉をかけた。
ハーマイオニーとロンが競技場に行こうとした時、更衣室からフレッドとジョージが顔を出した。
「俺らのことも応援してくれよ。」
「もちろんだよ。二人も頑張ってね!怪我には気をつけて!」
ロンとハーマイオニーもナツキに続いて彼らを鼓舞した。
グリフィンドール選手がグラウンドに入場すると、レイブンクローもハッフルパフからも大歓声が巻き起こった。マダムフーチはキャプテン同士が握手をするのを確認すると、合図を出した。
「笛が鳴ったら開始、いち・・・に・・・さん!」
十四人の選手が鉛色の空に高々と飛翔した。ハリーは誰よりも高く舞い上がり、スニッチを探して四方に目を凝らしている。
「ハリーーーー!!がんばれーー!!マルフォイに負けるなーーー!!」
ナツキは今まで出したことないくらい大きな声を出した。きっとハリーは、お金の力で選手になるような人に負けない。他のグリフィンドールの選手だってそうだ。
マルフォイがスピード見せつけるようにハリーの下を飛んでいる。きっと何か嫌なことを言っているに違いない、そう思ったナツキであったが、すぐにマルフォイのことは頭の片隅に追いやられた。
「ハリー!危ない!」
真っ黒の重いブラッジャーがハリーめがけて突進してきた。ハリーは間一髪でかわした。ジョージがハリーを守るためにその危機に駆けつける。
「ジョージーーー!」
ナツキの声援が聞こえているかはわからないが、ジョージはブラッジャーをスリザリンめがけて打ち返そうとした。ジョージがエイドリアン・ピュシーめがけて強烈にガツンとブラッジャーを叩いた。ところが、ブラッジャーは途中で向きを変え、またしてもハリーめがけてまっしぐらに飛んでいく。
「え?い、今の何?ブラッジャーってあんな動きしたことあったけ?」
ナツキが隣のロンに尋ねると、ロンは口をあんぐり開けて「いや、少し変な動きだった」と答えた。
ハリーはブラッジャーを交わし、ジョージとフレッドがブラッジャーを打ち返す。そんなことが何度も繰り返された。
「ハリーが狙い撃ちされてるように見えるわ。」
「おかしいな。ブラッジャーが一人の選手だけを狙うなんてことないはずだ。」
ハーマイオニーとロンはそう言った。上空の高いところで、おかしなことが起こっている。大勢の観客はハリーの下方で行われている攻防に釘付けだ。
雨が降りだした。
「私、何があってもいいように、グラウンドの方に行ってくる。ブラッジャーに呪いがかけられたのかもしれない。ハーマイオニーとロンは怪しい人がいないかここで探して。」
「うん。」
「わかったわ。」
昨年度、ハリーがクィディッチ中に何かあってもいいようにと覚えたことをまた思い出す羽目になるとは思っていなかった。雨でグラウンドはすっかりぬかるんでいるが、地面をふかふかに耕す魔法がいざという時にはグラウンドをクッションのように柔らかくしてくれるはずだ。
ナツキが急いでスタンドからグラウンドの方へと降りる。試合の攻防のことはこの位置からでは分かりにくい。しかし、今はハリーの位置さえ視界に入れることができれば十分だった。
「・・・ハリーが一人だ・・・・!!」
グリフィンドールのタイムアウトが終わり、彼らは陣形を変えた。ハリーの周りで彼らを守っていた双子は別の選手を守ることに決めたようだ。雨はますます激しくなっていた。
ハリーはナツキがとても箒ではいけないくらい、高い高いところにいる。ジグザクと不自然な動きをするハリー。ブラッジャーを避けるためだろうその動きを一部の観客は馬鹿にしたように笑っていた。
「どうしてみんな普通に見ていられるの!?」
ナツキは怒りながらハリーに全神経を集中させた。このまま無事に試合が終わればいいが、そうじゃなかった時、なんとかしなくては・・・・!
「ああっ!!」
ナツキは悲鳴をあげた。ハリーの腕にブラッジャーが当たったように見えた。そのせいで、ハリーはずぶ濡れの箒の上で滑理、右腕をダランとぶら下げ、片足の膝だけで箒に引っかかっている。
「ダメ、ナツキ、ハリーを助けるんだ。」
バクバク鼓動を刻む心臓の音が耳に響く。それでも失敗は許されない。ナツキは自分を鼓舞した。
ブラッジャーは今度はぶら下がるハリーの顔を狙うがハリーはそれをかわした。そしてハリーはマルフォイの方に向かって箒を動かした。
そしてハリーは手を伸ばし地面に向かって急降下した。腕の先には何か光っている。スニッチだ。
「ハリーー!!」
ナツキは杖を振り上げた。
「モリテラ!!!」
ハリーはまっしぐらに地面に向かって突っ込んだ。観衆から叫び声があがる。
ドロドロになった地面はナツキのフカフカ耕し呪文でクッションのように変貌し、ハリーはそこへ一瞬沈み込み、また浮上した。
「・・・間に合った・・・・!!」
ハリーの手の中のスニッチを確認したフーチ先生はグリフィンドールの勝利を宣言した。
ハリーは未だ倒れていた。もしかしたら気を失っているのかもしれない。地面は柔らかくしたが当たりどころが悪かったのかも、そう思い、ナツキは試合が終了したばかりのグラウンドの中央へ向かい走り出した。
足元が泥だらけになるのも厭わずにナツキはハリーのそばへ駆け寄った。ハリーの周りには他のグリフィンドール生たちも続々と集まってきている。
「ハリ・・・きゃあ!」
ナツキが悲鳴を上げたのも無理はない。ハリーの腕が不自然な方向へ向いていた。きっとブラッジャーが当たった方の腕だ。折れている。
痛そうに呻いているが、命は無事だったようで、ハリーには悪いがナツキは安心した。骨折であればマダム・ポンフリーがあっという間に治してくれるだろう。
そう思ったのも束の間だった。
生徒たちをかけ分けて、ロックハートが前に出て、ハリーの顔を覗き込んでいる。
「・・・やめてくれ・・・よりによって・・・・」
ハリーが呻いた。
「ハリー、心配するな。私が君の腕を治してやろう。」
そう言ったのが別の先生であればナツキはそのまま任せていただろう。しかし、あのロックハートがそう言うのだ。ナツキは彼がまともにマフ尾を支えているところを、まだ一度も見たことがない。
「ロックハート先生!だめです。マダム・ポンフリーに治してもらいましょう!!!」
懇願するようにナツキは大声でロックハートにそう言った。ハリーは辛くて寝ていたいだろうに、体を起こそうとしながら「やめて」と叫んだ。
「僕、腕をこのままにしておきたい。かまわないで・・・」
カシャっとシャッターが切られる音がした。コリンがハリーの写真を撮っていて、ハリーがものすごく嫌がっている。そんなのお構いなしに、ロックハートはハリーにあやすように言った。
「横になって、ハリー。この私が、数え切れないほど使ったことがある簡単な魔法だからね。」
「僕、医務室に行かせてもらえませんか?」
ハリーが歯を食いしばりながら頼んだ。ハリーは痛みとロックハートが目の前にいるという絶望の中、ナツキの姿をようやく目に移した。ハリーはナツキを見つめた。
「みんな、下がって。」
ロックハートが翡翠色の袖をたくし上げながら言った。
「やめて。だめ・・・・。ナツキ・・・」
ハリーが弱々しい声をあげ、すがるようにナツキを見た。ナツキは反射的に杖を振り上げた。
「デパルソ!!」
ナツキが対象を跳ね除ける呪文を叫んだのと、ロックハートが杖を振り回したのはほぼ同時だった。
ロックハートの体は吹き飛び、グラウンドの離れたところまで飛んでいった。
「ハリーー!!」
グリフィンドール生だけではなく、スタンドの観客もその光景を唖然として見ていたが、ナツキはそんなのお構いなしに、すぐさまハリーに駆け寄った。
「ナツキ・・・・・あの・・・もう少し、早くやってほしかった・・・・・腕が、ペシャンコになった感じがするんだ。」
ハリーが青い顔で自身の腕を目にしないようにしながらナツキにそう告げた。ナツキがハリーの腕に目をやると、そこが分厚いゴム手袋のようになっていた。
「だ、大丈夫。マダム・ポンフリーならきっと直してくれる。思ったより、その、酷くはないよ。・・・・・・・ごめん、躊躇するべきじゃなかった・・・・・」
ナツキがそう言った時、吹き飛ばされたロックハートが近寄ってきた。
「ミス・ゴドリクソン!教師である私を吹き飛ばすとは・・・いけないね・・・!私は普段は温厚だが、締めるところはちゃんと締めるよ。グリフィンドールからごじゅ・・・・・」
ハリーの腕をこんな目に合わせたロックハートを見て、ナツキは怒りでギロリと睨んでしまった。ロックハートはびくりと肩を震わせた。
「・・・あ、」
ロックハートはナツキから目を逸らすようにハリーに目を向けた。そして自分が失敗したことに気がついた。
「そう。まあね。時にはこんなことも起こりますね。でも、要するにもう骨は折れていない。それが肝心だ。それじゃ、ハリー、医務室まで気をつけて歩いていきなさい。あっ、ウィーズリー君、ミス・グレンジャー、付き添っていってくれないかね?」
ハリーが二人に連れられていくのとほぼ同時にマクゴナガル先生がグラウンドに現れた。
「ミス・ゴドリクソン!!!」
ああ、そういえば私は先生を吹っ飛ばしたんだな、とナツキはやらかしたことを理解した。
図書館でそそくさと禁書を借りた四人は3回の女子トイレにいた。ここなら、人が入ってこないからだ。
「あったわ」ハーマイオニーが興奮した顔で「ポリジュース薬」という題のついたページを指した。
「こんなに複雑な魔法薬は、初めてお目にかかるわ。」
四人で薬の材料にざっと目を通しながら、ハーマイオニーが言った。
「・・・・ウン、こんなのは簡単ね。生徒用の材料棚にあるから、自分で勝手に取れるわ。ウーッ、見てよ。二角獣の角の粉末。これ、どこで手に入れたらいいかわからないわ。毒ツルヘビの皮の千切り・・・これも難しいわね。それに、当然だけど、変身したい相手の一部。」
そのハーマイオニーの最後の言葉に、ナツキはゾッとした。
「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に入れればいいんだから。」
ロンは絶句してハリーのほうを見たが、ハリーは別なことを心配していた。
「ハーマイオニー、どんなにいろいろ盗まなきゃならないか、わかってる?毒ツルヘビの皮の千切りなんて、生徒用の棚には絶対にあるはずないし。どうするの?スネイプの個人用の保管倉庫に盗みに入るの?うまくいかないような気がする・・・・」
ナツキもハリーと同じ意見だ。ポリジュース薬を作るハードルが高すぎる。ハーマイオニーは本をピシャッと閉じた。
「そう。怖じ気づいて、やめるって言うなら、結構よ。私は規則を破りたくはない。わかってるでしょう。だけどマグル生まれの者を脅迫するなんて、ややこしい魔法薬を密造することよりずーっと悪いことだと思うの。でも、あなたたちがマルフォイがやってるのかどうか知りたくないっていうんなら、これからまっすぐマダム・ピンスのところへ行ってこの本をお返ししてくるわ。」
驚いた。ハーマイオニーが規則を破れと言っているのだ。しかしその薬の製造には1ヶ月ほどかかるらしい。確かにナツキが材料を見る限り、それくらいかかりそうだった。
トイレを出る時、ハーマイオニーが誰もいないことを確かめている間、ロンはハリーとナツキに囁いた。
「明日、ハリーがマルフォイを箒から叩き落としゃ、ずっと手間が省けるぜ。それかナツキがぶん殴るかだな。」
土曜の朝がやってきた。グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合の日だ。競技開始が近づいた頃、ナツキはロンとハーマイオニーと更衣室の方へ向かった。ちょうどハリーが更衣室へ入ろうとしているところで、三人で元気づける言葉をかけた。
ハーマイオニーとロンが競技場に行こうとした時、更衣室からフレッドとジョージが顔を出した。
「俺らのことも応援してくれよ。」
「もちろんだよ。二人も頑張ってね!怪我には気をつけて!」
ロンとハーマイオニーもナツキに続いて彼らを鼓舞した。
グリフィンドール選手がグラウンドに入場すると、レイブンクローもハッフルパフからも大歓声が巻き起こった。マダムフーチはキャプテン同士が握手をするのを確認すると、合図を出した。
「笛が鳴ったら開始、いち・・・に・・・さん!」
十四人の選手が鉛色の空に高々と飛翔した。ハリーは誰よりも高く舞い上がり、スニッチを探して四方に目を凝らしている。
「ハリーーーー!!がんばれーー!!マルフォイに負けるなーーー!!」
ナツキは今まで出したことないくらい大きな声を出した。きっとハリーは、お金の力で選手になるような人に負けない。他のグリフィンドールの選手だってそうだ。
マルフォイがスピード見せつけるようにハリーの下を飛んでいる。きっと何か嫌なことを言っているに違いない、そう思ったナツキであったが、すぐにマルフォイのことは頭の片隅に追いやられた。
「ハリー!危ない!」
真っ黒の重いブラッジャーがハリーめがけて突進してきた。ハリーは間一髪でかわした。ジョージがハリーを守るためにその危機に駆けつける。
「ジョージーーー!」
ナツキの声援が聞こえているかはわからないが、ジョージはブラッジャーをスリザリンめがけて打ち返そうとした。ジョージがエイドリアン・ピュシーめがけて強烈にガツンとブラッジャーを叩いた。ところが、ブラッジャーは途中で向きを変え、またしてもハリーめがけてまっしぐらに飛んでいく。
「え?い、今の何?ブラッジャーってあんな動きしたことあったけ?」
ナツキが隣のロンに尋ねると、ロンは口をあんぐり開けて「いや、少し変な動きだった」と答えた。
ハリーはブラッジャーを交わし、ジョージとフレッドがブラッジャーを打ち返す。そんなことが何度も繰り返された。
「ハリーが狙い撃ちされてるように見えるわ。」
「おかしいな。ブラッジャーが一人の選手だけを狙うなんてことないはずだ。」
ハーマイオニーとロンはそう言った。上空の高いところで、おかしなことが起こっている。大勢の観客はハリーの下方で行われている攻防に釘付けだ。
雨が降りだした。
「私、何があってもいいように、グラウンドの方に行ってくる。ブラッジャーに呪いがかけられたのかもしれない。ハーマイオニーとロンは怪しい人がいないかここで探して。」
「うん。」
「わかったわ。」
昨年度、ハリーがクィディッチ中に何かあってもいいようにと覚えたことをまた思い出す羽目になるとは思っていなかった。雨でグラウンドはすっかりぬかるんでいるが、地面をふかふかに耕す魔法がいざという時にはグラウンドをクッションのように柔らかくしてくれるはずだ。
ナツキが急いでスタンドからグラウンドの方へと降りる。試合の攻防のことはこの位置からでは分かりにくい。しかし、今はハリーの位置さえ視界に入れることができれば十分だった。
「・・・ハリーが一人だ・・・・!!」
グリフィンドールのタイムアウトが終わり、彼らは陣形を変えた。ハリーの周りで彼らを守っていた双子は別の選手を守ることに決めたようだ。雨はますます激しくなっていた。
ハリーはナツキがとても箒ではいけないくらい、高い高いところにいる。ジグザクと不自然な動きをするハリー。ブラッジャーを避けるためだろうその動きを一部の観客は馬鹿にしたように笑っていた。
「どうしてみんな普通に見ていられるの!?」
ナツキは怒りながらハリーに全神経を集中させた。このまま無事に試合が終わればいいが、そうじゃなかった時、なんとかしなくては・・・・!
「ああっ!!」
ナツキは悲鳴をあげた。ハリーの腕にブラッジャーが当たったように見えた。そのせいで、ハリーはずぶ濡れの箒の上で滑理、右腕をダランとぶら下げ、片足の膝だけで箒に引っかかっている。
「ダメ、ナツキ、ハリーを助けるんだ。」
バクバク鼓動を刻む心臓の音が耳に響く。それでも失敗は許されない。ナツキは自分を鼓舞した。
ブラッジャーは今度はぶら下がるハリーの顔を狙うがハリーはそれをかわした。そしてハリーはマルフォイの方に向かって箒を動かした。
そしてハリーは手を伸ばし地面に向かって急降下した。腕の先には何か光っている。スニッチだ。
「ハリーー!!」
ナツキは杖を振り上げた。
「モリテラ!!!」
ハリーはまっしぐらに地面に向かって突っ込んだ。観衆から叫び声があがる。
ドロドロになった地面はナツキのフカフカ耕し呪文でクッションのように変貌し、ハリーはそこへ一瞬沈み込み、また浮上した。
「・・・間に合った・・・・!!」
ハリーの手の中のスニッチを確認したフーチ先生はグリフィンドールの勝利を宣言した。
ハリーは未だ倒れていた。もしかしたら気を失っているのかもしれない。地面は柔らかくしたが当たりどころが悪かったのかも、そう思い、ナツキは試合が終了したばかりのグラウンドの中央へ向かい走り出した。
足元が泥だらけになるのも厭わずにナツキはハリーのそばへ駆け寄った。ハリーの周りには他のグリフィンドール生たちも続々と集まってきている。
「ハリ・・・きゃあ!」
ナツキが悲鳴を上げたのも無理はない。ハリーの腕が不自然な方向へ向いていた。きっとブラッジャーが当たった方の腕だ。折れている。
痛そうに呻いているが、命は無事だったようで、ハリーには悪いがナツキは安心した。骨折であればマダム・ポンフリーがあっという間に治してくれるだろう。
そう思ったのも束の間だった。
生徒たちをかけ分けて、ロックハートが前に出て、ハリーの顔を覗き込んでいる。
「・・・やめてくれ・・・よりによって・・・・」
ハリーが呻いた。
「ハリー、心配するな。私が君の腕を治してやろう。」
そう言ったのが別の先生であればナツキはそのまま任せていただろう。しかし、あのロックハートがそう言うのだ。ナツキは彼がまともにマフ尾を支えているところを、まだ一度も見たことがない。
「ロックハート先生!だめです。マダム・ポンフリーに治してもらいましょう!!!」
懇願するようにナツキは大声でロックハートにそう言った。ハリーは辛くて寝ていたいだろうに、体を起こそうとしながら「やめて」と叫んだ。
「僕、腕をこのままにしておきたい。かまわないで・・・」
カシャっとシャッターが切られる音がした。コリンがハリーの写真を撮っていて、ハリーがものすごく嫌がっている。そんなのお構いなしに、ロックハートはハリーにあやすように言った。
「横になって、ハリー。この私が、数え切れないほど使ったことがある簡単な魔法だからね。」
「僕、医務室に行かせてもらえませんか?」
ハリーが歯を食いしばりながら頼んだ。ハリーは痛みとロックハートが目の前にいるという絶望の中、ナツキの姿をようやく目に移した。ハリーはナツキを見つめた。
「みんな、下がって。」
ロックハートが翡翠色の袖をたくし上げながら言った。
「やめて。だめ・・・・。ナツキ・・・」
ハリーが弱々しい声をあげ、すがるようにナツキを見た。ナツキは反射的に杖を振り上げた。
「デパルソ!!」
ナツキが対象を跳ね除ける呪文を叫んだのと、ロックハートが杖を振り回したのはほぼ同時だった。
ロックハートの体は吹き飛び、グラウンドの離れたところまで飛んでいった。
「ハリーー!!」
グリフィンドール生だけではなく、スタンドの観客もその光景を唖然として見ていたが、ナツキはそんなのお構いなしに、すぐさまハリーに駆け寄った。
「ナツキ・・・・・あの・・・もう少し、早くやってほしかった・・・・・腕が、ペシャンコになった感じがするんだ。」
ハリーが青い顔で自身の腕を目にしないようにしながらナツキにそう告げた。ナツキがハリーの腕に目をやると、そこが分厚いゴム手袋のようになっていた。
「だ、大丈夫。マダム・ポンフリーならきっと直してくれる。思ったより、その、酷くはないよ。・・・・・・・ごめん、躊躇するべきじゃなかった・・・・・」
ナツキがそう言った時、吹き飛ばされたロックハートが近寄ってきた。
「ミス・ゴドリクソン!教師である私を吹き飛ばすとは・・・いけないね・・・!私は普段は温厚だが、締めるところはちゃんと締めるよ。グリフィンドールからごじゅ・・・・・」
ハリーの腕をこんな目に合わせたロックハートを見て、ナツキは怒りでギロリと睨んでしまった。ロックハートはびくりと肩を震わせた。
「・・・あ、」
ロックハートはナツキから目を逸らすようにハリーに目を向けた。そして自分が失敗したことに気がついた。
「そう。まあね。時にはこんなことも起こりますね。でも、要するにもう骨は折れていない。それが肝心だ。それじゃ、ハリー、医務室まで気をつけて歩いていきなさい。あっ、ウィーズリー君、ミス・グレンジャー、付き添っていってくれないかね?」
ハリーが二人に連れられていくのとほぼ同時にマクゴナガル先生がグラウンドに現れた。
「ミス・ゴドリクソン!!!」
ああ、そういえば私は先生を吹っ飛ばしたんだな、とナツキはやらかしたことを理解した。