秘密の部屋
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最初の授業は薬草学だったので、四人は温室の方へ向かった。そこにはスプラウト先生だけではなく、ロックハートもいた。
「やぁ、みなさん!スプラウト先生に、『暴れ柳』の正しい治療法をお見せしていましてね。でも、私のほうが先生より薬草学の知識があるなんて、誤解されては困りますよ。」
「みんな、今日は三号温室へ!」
スプラウト先生はいつもは快活な人なのに、不機嫌さが見え見えだった。温室へ行き、中に入ろうとすると、ハリーはロックハートに捕まった。
「ハリー! 君と話したかった。スプラウト先生、彼が二、三分遅れてもお気になさいませんね?」
そう言ってロックハートはハリーを連れ出してしまった。
「お気になさってるね。」
ナツキがそう言うとロンはプッと吹き出した。少ししてハリーが戻ってくると、ちょうどスプラウト先生が授業の説明を始めた。今日はマンドレイクの植え替えを行うらしい。ハーマイオニーがいつものように、先生の質問に答えグリフィンドールは20点をもらう。
スプラウト先生の「耳当て、つけ」の言葉でナツキはぎっちりと耳当てをつけた。何も聞こえなくなり、先生が見本としてマンドレイクの植え替えをおこなった。その後ナツキたちも、同じように行った。ちょっと気持ち悪いな、とナツキは思った。
薬草学が終わってからは変身術だった。植え替え作業でへとへとだったが、ナツキはコガネムシをきれいなボタンに変える事ができた。
問題はロンの杖だった。教室に残ったハリー、ナツキ、ロンはその折れかけた杖を見た。暴れ柳にぶつかった時に、そうなってしまったらしい。
「あの、あんまり、使わない方がいいかも。」
ナツキは言いにくそうにそう言うのだった。
昼食後、久しぶりにマルフォイにあった。案の定揉め事になり、ロンが杖を振ろうとしたので、ナツキは思わずその腕を掴んだ。
「ストップ!」
そこに幸か不幸かロックハートが現れた。ハリーにとっては不幸だろう。またハリーを連れてロックハートはゴニョゴニョ話していた。
教室の前まで来て、ロックハートはやっとハリーを放した。ハリーはローブをギュッと引っ張ってシワを伸ばしてから、一番後ろの席まで行ってそこに座り、脇目も振らずにロックハートの本を七冊全部、目の前に山のように積み上げた。ナツキはその脇に座り、ロンとハーマイオニーも座った。
「あの人なんて?」
「僕を目立ちだがり屋だと思ってるみたい。」
うんざりした顔でハリーが答えた。
クラス全員が着席すると、ロックハートは大きな咳払いをした。
「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして、『週刊魔女』五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞。もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」
教室はシーンとしていた。ごく数人が曖昧に笑っただけだった。
「全員が私の本を全巻そろえたようだね。大変よろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います、心配ご無用。君たちがどのぐらい私の本を読んでいるか、どのぐらい覚えているかをチェックするだけですからね。」
ミニテストだって!唯一まともに読んでない教科書なのに!
ナツキは焦ったが、配られたテストの最初の問題を見て、目が点になった。
1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
適当なことを書こう。むしろ1点も取りたくない。そう思ってナツキはその解答欄に、「コガネムシの目玉の色」と書いた。
2 ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は何? 「百味ビーンズをゲロ味の一味ビーンズにすること」
3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?「出版社とのコネ作り」
・・・・・
30分後に答案用紙が回収され、ナツキは謎の達成感に溢れていた。
「チッチッチ・・・。私の好きな色はライラック色だということを、ほとんど誰も覚えていないようだね。『雪男とゆっくり一年』の中でそう言っているのに。『狼男との大いなる山歩き』をもう少ししっかり読まなければならない子も何人かいるようだ。」
ナツキ、ハリー、ロンは、もう呆れてものが言えない。前列に座っていたシェーマス・フィネガンとディーン・トーマスは、声を押し殺して笑っていた。ところが、ハーマイオニーはロックハートの言葉にうっとりと聞き入っていて、突然ロックハートが彼女の名前を口にしたのでびくっとした。
「ところが、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは、私の密かな大望を知ってましたね。この世界から悪を追い払い、ロックハート・ブランドの整髪剤を売り出すことだとね。よくできました! それに満点です! ミス・ハーマイオニー・グレンジャーはどこにいますか?」
ハーマイオニーの挙げた手が震えていた。ナツキは満点だなんて恥ずかしいことをハーマイオニーは成し遂げたのだ、と深刻に思っていた。
「すばらしい!まったくすばらしい! グリフィンドールに10点あげましょう! では、授業ですが・・・」
ロックハートは机の後ろに屈み込んで、覆いのかかった大きな籠を持ち上げ、机の上に置いた。
「さあ、気をつけて! 魔法界の中でもっとも穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の役目なのです! この教室で君たちは、これまでにない恐ろしい目に遭うことになるでしょう。ただし、私がここにいるかぎり、何物も君たちに危害を加えることはないと思いたまえ。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう。」
思いの他まともな授業をしてくれるのだろうかと、ナツキはつい期待した。ハリーもそうみたいで、籠をよく見ようとした。
クラス全員が息を殺した。ロックハートはパッと覆いを取り払った。
「さあ、どうだ。捕らえたばかりのコーンウォール地方のピクシー小妖精。」
ロックハートは笑ってしまった生徒に対し、一生懸命ピクシー小妖精の危険性を説明した。
ピクシー小妖精は身の丈二十センチぐらいで群青色をしていた。尖んがった顔でキーキーと甲高い声を出している。
「さあ、それでは、君たちがピクシーをどう扱うかやってみましょう!」
ロックハートが籠の戸を開けると、ピクシーたちは上を下への大騒ぎ。教室はめちゃくちゃだ。数分後には、クラスの生徒の半分は机の下に避難し、ネビルは天井のシャンデリアからぶら下がって揺れていた。
「さあ、さあ。捕まえなさい。捕まえなさいよ。たかがピクシーでしょう。」
ロックハートが叫んだ。ロックハートは腕まくりして杖を振り上げ、「ペスキピクシペステルノミ! ピクシー虫よ去れ!」と大声を出した。
何の効果もない。
そこでナツキに三体のピクシーが近づき悪さをしようとしてきた。
「ブルブス・レビオーサ。」
柔らかなピンクがかった光が杖の先からふわっと広がった。その3匹の小妖精たちが、次々と薄い泡のような球体に包まれてぽやん、ぽやんと浮かび上がった。
「お、おお。素晴らしい。君はナツキ・ゴドリクソンですね。さて、私はあなたのような優秀な生徒に見本を示して欲しくてわざと失敗してみたわけですが・・・・。グリフィンドールに10点差し上げましょう。」
そう彼が言ったところで終業のベルが鳴り、みんなわっと出口に押しかけた。それが少し収まったころ、ロックハートが立ち上がり、ちょうど教室から出ようとしていたナツキ、ハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけて呼びかけた。
「さあ、その四人にお願いしよう。その辺に残っているピクシーをつまんで、籠に戻しておきなさい。」
そして四人の脇をするりと通り抜け、後ろ手に素早く戸を閉めてしまった。
「ナツキがうまくやっちゃったせいだぜ。」
「・・・・・ゴメン・・・・。」
ロンは残っているピクシーの一匹に、いやというほど耳を噛まれながらナツキに文句を言った。
「私たちに体験学習をさせたかっただけよ。」
ハーマイオニーは二匹一緒にてきぱきと「縛り術」をかけて動けないようにし、籠に押し込みながら言った。
「彼の本、読んだでしょ。彼って、あんなに目の覚めるようなことをやってるじゃない。」
「ご本人はやったとおっしゃいますがね。」
ロンがつぶやいた。ハリーとナツキも全く同じ考えだった。
「やぁ、みなさん!スプラウト先生に、『暴れ柳』の正しい治療法をお見せしていましてね。でも、私のほうが先生より薬草学の知識があるなんて、誤解されては困りますよ。」
「みんな、今日は三号温室へ!」
スプラウト先生はいつもは快活な人なのに、不機嫌さが見え見えだった。温室へ行き、中に入ろうとすると、ハリーはロックハートに捕まった。
「ハリー! 君と話したかった。スプラウト先生、彼が二、三分遅れてもお気になさいませんね?」
そう言ってロックハートはハリーを連れ出してしまった。
「お気になさってるね。」
ナツキがそう言うとロンはプッと吹き出した。少ししてハリーが戻ってくると、ちょうどスプラウト先生が授業の説明を始めた。今日はマンドレイクの植え替えを行うらしい。ハーマイオニーがいつものように、先生の質問に答えグリフィンドールは20点をもらう。
スプラウト先生の「耳当て、つけ」の言葉でナツキはぎっちりと耳当てをつけた。何も聞こえなくなり、先生が見本としてマンドレイクの植え替えをおこなった。その後ナツキたちも、同じように行った。ちょっと気持ち悪いな、とナツキは思った。
薬草学が終わってからは変身術だった。植え替え作業でへとへとだったが、ナツキはコガネムシをきれいなボタンに変える事ができた。
問題はロンの杖だった。教室に残ったハリー、ナツキ、ロンはその折れかけた杖を見た。暴れ柳にぶつかった時に、そうなってしまったらしい。
「あの、あんまり、使わない方がいいかも。」
ナツキは言いにくそうにそう言うのだった。
昼食後、久しぶりにマルフォイにあった。案の定揉め事になり、ロンが杖を振ろうとしたので、ナツキは思わずその腕を掴んだ。
「ストップ!」
そこに幸か不幸かロックハートが現れた。ハリーにとっては不幸だろう。またハリーを連れてロックハートはゴニョゴニョ話していた。
教室の前まで来て、ロックハートはやっとハリーを放した。ハリーはローブをギュッと引っ張ってシワを伸ばしてから、一番後ろの席まで行ってそこに座り、脇目も振らずにロックハートの本を七冊全部、目の前に山のように積み上げた。ナツキはその脇に座り、ロンとハーマイオニーも座った。
「あの人なんて?」
「僕を目立ちだがり屋だと思ってるみたい。」
うんざりした顔でハリーが答えた。
クラス全員が着席すると、ロックハートは大きな咳払いをした。
「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして、『週刊魔女』五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞。もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」
教室はシーンとしていた。ごく数人が曖昧に笑っただけだった。
「全員が私の本を全巻そろえたようだね。大変よろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います、心配ご無用。君たちがどのぐらい私の本を読んでいるか、どのぐらい覚えているかをチェックするだけですからね。」
ミニテストだって!唯一まともに読んでない教科書なのに!
ナツキは焦ったが、配られたテストの最初の問題を見て、目が点になった。
1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
適当なことを書こう。むしろ1点も取りたくない。そう思ってナツキはその解答欄に、「コガネムシの目玉の色」と書いた。
2 ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は何? 「百味ビーンズをゲロ味の一味ビーンズにすること」
3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?「出版社とのコネ作り」
・・・・・
30分後に答案用紙が回収され、ナツキは謎の達成感に溢れていた。
「チッチッチ・・・。私の好きな色はライラック色だということを、ほとんど誰も覚えていないようだね。『雪男とゆっくり一年』の中でそう言っているのに。『狼男との大いなる山歩き』をもう少ししっかり読まなければならない子も何人かいるようだ。」
ナツキ、ハリー、ロンは、もう呆れてものが言えない。前列に座っていたシェーマス・フィネガンとディーン・トーマスは、声を押し殺して笑っていた。ところが、ハーマイオニーはロックハートの言葉にうっとりと聞き入っていて、突然ロックハートが彼女の名前を口にしたのでびくっとした。
「ところが、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは、私の密かな大望を知ってましたね。この世界から悪を追い払い、ロックハート・ブランドの整髪剤を売り出すことだとね。よくできました! それに満点です! ミス・ハーマイオニー・グレンジャーはどこにいますか?」
ハーマイオニーの挙げた手が震えていた。ナツキは満点だなんて恥ずかしいことをハーマイオニーは成し遂げたのだ、と深刻に思っていた。
「すばらしい!まったくすばらしい! グリフィンドールに10点あげましょう! では、授業ですが・・・」
ロックハートは机の後ろに屈み込んで、覆いのかかった大きな籠を持ち上げ、机の上に置いた。
「さあ、気をつけて! 魔法界の中でもっとも穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の役目なのです! この教室で君たちは、これまでにない恐ろしい目に遭うことになるでしょう。ただし、私がここにいるかぎり、何物も君たちに危害を加えることはないと思いたまえ。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう。」
思いの他まともな授業をしてくれるのだろうかと、ナツキはつい期待した。ハリーもそうみたいで、籠をよく見ようとした。
クラス全員が息を殺した。ロックハートはパッと覆いを取り払った。
「さあ、どうだ。捕らえたばかりのコーンウォール地方のピクシー小妖精。」
ロックハートは笑ってしまった生徒に対し、一生懸命ピクシー小妖精の危険性を説明した。
ピクシー小妖精は身の丈二十センチぐらいで群青色をしていた。尖んがった顔でキーキーと甲高い声を出している。
「さあ、それでは、君たちがピクシーをどう扱うかやってみましょう!」
ロックハートが籠の戸を開けると、ピクシーたちは上を下への大騒ぎ。教室はめちゃくちゃだ。数分後には、クラスの生徒の半分は机の下に避難し、ネビルは天井のシャンデリアからぶら下がって揺れていた。
「さあ、さあ。捕まえなさい。捕まえなさいよ。たかがピクシーでしょう。」
ロックハートが叫んだ。ロックハートは腕まくりして杖を振り上げ、「ペスキピクシペステルノミ! ピクシー虫よ去れ!」と大声を出した。
何の効果もない。
そこでナツキに三体のピクシーが近づき悪さをしようとしてきた。
「ブルブス・レビオーサ。」
柔らかなピンクがかった光が杖の先からふわっと広がった。その3匹の小妖精たちが、次々と薄い泡のような球体に包まれてぽやん、ぽやんと浮かび上がった。
「お、おお。素晴らしい。君はナツキ・ゴドリクソンですね。さて、私はあなたのような優秀な生徒に見本を示して欲しくてわざと失敗してみたわけですが・・・・。グリフィンドールに10点差し上げましょう。」
そう彼が言ったところで終業のベルが鳴り、みんなわっと出口に押しかけた。それが少し収まったころ、ロックハートが立ち上がり、ちょうど教室から出ようとしていたナツキ、ハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけて呼びかけた。
「さあ、その四人にお願いしよう。その辺に残っているピクシーをつまんで、籠に戻しておきなさい。」
そして四人の脇をするりと通り抜け、後ろ手に素早く戸を閉めてしまった。
「ナツキがうまくやっちゃったせいだぜ。」
「・・・・・ゴメン・・・・。」
ロンは残っているピクシーの一匹に、いやというほど耳を噛まれながらナツキに文句を言った。
「私たちに体験学習をさせたかっただけよ。」
ハーマイオニーは二匹一緒にてきぱきと「縛り術」をかけて動けないようにし、籠に押し込みながら言った。
「彼の本、読んだでしょ。彼って、あんなに目の覚めるようなことをやってるじゃない。」
「ご本人はやったとおっしゃいますがね。」
ロンがつぶやいた。ハリーとナツキも全く同じ考えだった。