秘密の部屋
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小さな木造の古屋にはカリカリと羽ペンを走らせる音が響いていた。
「・・・呪文は使えないけれど・・・箒の練習だけしています・・・地面から30センチも浮くことができました・・・・」
無意識に声を出しながらナツキは手紙を書いていた。
「レオーネ、これをハリーに送ってきて!」
雄のシロフクロウのレオーネは嬉しそうにホウと鳴いて、飛び立っていった。きっと、ヘドウィグに会いたいのだ。
夏休みが始まって1週間。そろそろ友人達の様子を知りたいところだと思い、ナツキは彼らからの手紙を待ちわびていた。ハーマイオニーとは数日に一回は手紙をやりとりして、マグルが普段どんなことをしているのかをたくさん質問した。
今年は4年に一度のオリンピックというのがあるらしい。マグルのスポーツも非常に気になるところだ。なんせ箒に乗らなくてもいいなら自分も楽しめるかもしれない。
翌日になると、レオーネが帰ってきた。
「おかえり、レオーネ。疲れたでしょう。ヘドウィグとはいっぱいお話しできた?」
そう尋ねると、レオーネは首をグルンと真後ろに向けた。
「あれ?忙しかったのかな。ハリーから返事はもらってる?」
レオーネは後ろを向いたままだ。どうやらハリーからの返事はもらっていないらしい。まあそのうちヘドウィグが届けてくれるだろう。
そんなことを思っていたが、それから1週間たっても、2週間たっても、ハリーからの手紙は届かなかった。ナツキはすでに3通もハリーに手紙を送っていた。
「おかしいと思うの。レオーネもヘドウィグに会えてないみたいだし。ロンとハーマイオニーもハリーからの返事はないって。」
「筆不精なだけじゃないのか。」
夕食どき、養父のアバーフォース・ダンブルドアにナツキは尋ねたがもらえた返事はこれだった。ハリーはハーマイオニーほど筆まめではないだろうけれど、返事をしないほど冷たい人ではない。
「レオーネはハリーを見た?」
ヘドウィグのことばかり聞いていたが、ハリーのことを聞けばよかったとナツキは今更ながら思った。しかし、レオーネはまたグルンと真後ろを向いた。
「・・・・ハリーに何かあったのかも・・・・!?」
サーっとナツキの顔から血の気がひいた。ヴォルデモートと対峙してからまだ1ヶ月経っていない。最悪の想像は簡単にできてしまった。
「ねえ、レオーネ。今度はハリーに直接手紙を届けてみて。もし、もしも、ハリーに直接会えないようなら、手紙はそのまま持ち帰って。」
賢いレオーネに「無事なら教えて」とだけ書いた手紙を渡し、見送った。
「アブ、ホッグズヘッドにホグワーツの先生が来たら、ハリーから何か連絡は来てないか聞いてみて・・・!」
「ああ・・・」
面倒臭そうにアバーフォースは答えた。でも頼みを最低限聞いてくれるだろうことは、ナツキにはわかっていた。
翌日、レオーネはナツキの手紙をハリーに渡すことなく持ち帰ってきた。ハリーに会えなかったのだ。アバーフォースからも、何も知らせはない。
「落ち着け、ナツキ。」
慌てふためくナツキに対してアバーフォースはそう言うと、ネズミの死骸をテーブルの上に3匹置いた。
「レオーネ、まだ食うな。まて。まだだぞ。」
「・・・・アブ、何してるの・・・・」
「こいつの賢さを信じてみることにした。」
レオーネはネズミを凝視して、目をキラキラさせているように見えた。
「ハリー・ポッターが無事ではないならこのネズミを、ハリー・ポッターは無事で手紙も受け取れる状態であるならこのネズミを、ハリー・ポッターは無事だが手紙を受け取れる状態にないならこのネズミを食え。」
アバーフォースは彼からみて、左・真ん中・右の順にネズミを指差してレオーネにいった。
ホウ、と鳴いてレオーネが真っ先に食べたのは、アバーフォースからみて右のネズミだった。その数秒後に真ん中と右のネズミも口に咥えた。
「無事だけど、手紙だけ受け取れないってこと・・・・?」
レオーネはネズミを啄みながら、ナツキの方に向かってホウと鳴いた。
「いくつか考えられる。一つはポッターがあちらの家族とうまくいっていないなら、マグルの家族に手紙を隠されているか、ふくろう避けをされている。」
「ありそう。すごく。それっぽいことが前にあったってハリーから聞いたから。」
「他には、家族とは別の何かが、ポッターが外部と接触するのを妨げている。」
「家族とは別の何か?」
「ハリーを恨んでる魔法使いなんかがありえるだろう。しかしそうだとしたら、随分稚拙な気もするから、一つ目が妥当だな。」
ナツキはうーんと唸った。プラットフォームでチラリとみた、あの意地悪そうなハリーのおじさんならやりかねない。魔法をひどく嫌っていると聞いた。そして閃いた。もしかすると、ふくろうを使わなければいいのではないか?
「マグルの便を使ってみよう!マグルはどうやって手紙を運ぶの?」
「知らん。」
ナツキはすぐにハーマイオニーに手紙を書いた。ハリーにふくろうを使わずに、魔法使いじゃないフリをして手紙を送ってほしいと頼んだ。すぐにハーマイオニーからの返事と、縁がギザギザで端っこに数字が書かれた小さな紙切れ届いた。
『ナツキへ
とても良い考えだと思います。フクロウを持たないマグルは住所を詳細に知らないと手紙を届けることができませんが、私はハリーの住所を知りません。もしナツキが知っているようなら、同封した切手を封筒に貼り付けて、この絵のようなポストというものに手紙を入れてみてください。
ハーマイオニー
追伸 ナツキが良かったら私の家に泊まりに来てみませんか?』
ハーマイオニーの手紙にナツキは偉く感動した。特に、追伸に書いてあることにだ。しかし、それと同時に落胆した。住所がよくわからない。
「アブ、ホグワーツの先生が来たらハリーの住所を聞いてみて。詳細じゃないといけないんだって。」
「・・・ああ・・・・」
その二日後、アバーフォースはたまたま店に来たフリットウィック先生に、ハリーの住所を教えてもらったらしい。「ミス・ゴドリクソンなら悪いようにはしないでしょう」と言って、わざわざ一度ホグワーツに戻って、確認してきてくれたようなのだ。ナツキは呪文学の勉強に、より一層力を入れようと決意した。
ナツキはポストというものを探して、次にハーマイオニーに会いに行くために、マグルの世界に行こうとしたが、アバーフォースが渋い顔をした。
「・・・・・わかった。一晩だけならいい。それ以上はダメだ。」
放任主義だと思っていたのに、案外厳しいことを言われナツキは驚いた。交渉の末、3泊までなら良いという許しを得ることができた。
そしてナツキはロンドンに来ていた。
「ナツキ!」
ハーマイオニーと彼女の両親が迎えに来てくれた。ナツキの手には、ハリーへの手紙がある。すぐにハーマイオニーが、これがポストだと教えてくれて、その穴に手紙を突っ込んだ。ハーマイオニーは、「そんなに奥に入れなくても良いのよ」と言った。
グレンジャー家でのお泊まりは、ナツキにとって素晴らしいものだった。グレンジャー夫妻は、マグルの教科書を使って、彼らが学ことを教えてくれた。不思議なテレビという箱で、オリンピックも見た。マグルにはたくさんのスポーツがあるようだ。ハーマイオニーの服を借りて、ロンドンで買い物もした。きっとナツキを魔女だと疑ったものはいないだろう。
グレンジャー家での最後の日、ロンからハリーを救出しに行くと手紙が届いた。ナツキはジョージとフレッドも手伝ってくれるなら、これで一安心できそうだと、ホッとした。
「だ、大丈夫?」
手紙を運んできたフクロウのエロールは今にも息を引き取ってしまいそうだった。ナツキはグレンジャー家にレオーネも連れてきていたので、エロールには休んでもらって、レオーネに水曜にダイアゴン横丁で会わないかと書いた返事を持たせた。
「ハーマイオニーのお父さん、お母さん、泊めてくれてありがとうございます。楽しかったです。ハーマイオニーもまたね。水曜にダイアゴン横丁で!」
ナツキは深々とお辞儀をして感謝の意を伝え、アバーフォースと暮らす小屋へと帰ったのだった。
「・・・呪文は使えないけれど・・・箒の練習だけしています・・・地面から30センチも浮くことができました・・・・」
無意識に声を出しながらナツキは手紙を書いていた。
「レオーネ、これをハリーに送ってきて!」
雄のシロフクロウのレオーネは嬉しそうにホウと鳴いて、飛び立っていった。きっと、ヘドウィグに会いたいのだ。
夏休みが始まって1週間。そろそろ友人達の様子を知りたいところだと思い、ナツキは彼らからの手紙を待ちわびていた。ハーマイオニーとは数日に一回は手紙をやりとりして、マグルが普段どんなことをしているのかをたくさん質問した。
今年は4年に一度のオリンピックというのがあるらしい。マグルのスポーツも非常に気になるところだ。なんせ箒に乗らなくてもいいなら自分も楽しめるかもしれない。
翌日になると、レオーネが帰ってきた。
「おかえり、レオーネ。疲れたでしょう。ヘドウィグとはいっぱいお話しできた?」
そう尋ねると、レオーネは首をグルンと真後ろに向けた。
「あれ?忙しかったのかな。ハリーから返事はもらってる?」
レオーネは後ろを向いたままだ。どうやらハリーからの返事はもらっていないらしい。まあそのうちヘドウィグが届けてくれるだろう。
そんなことを思っていたが、それから1週間たっても、2週間たっても、ハリーからの手紙は届かなかった。ナツキはすでに3通もハリーに手紙を送っていた。
「おかしいと思うの。レオーネもヘドウィグに会えてないみたいだし。ロンとハーマイオニーもハリーからの返事はないって。」
「筆不精なだけじゃないのか。」
夕食どき、養父のアバーフォース・ダンブルドアにナツキは尋ねたがもらえた返事はこれだった。ハリーはハーマイオニーほど筆まめではないだろうけれど、返事をしないほど冷たい人ではない。
「レオーネはハリーを見た?」
ヘドウィグのことばかり聞いていたが、ハリーのことを聞けばよかったとナツキは今更ながら思った。しかし、レオーネはまたグルンと真後ろを向いた。
「・・・・ハリーに何かあったのかも・・・・!?」
サーっとナツキの顔から血の気がひいた。ヴォルデモートと対峙してからまだ1ヶ月経っていない。最悪の想像は簡単にできてしまった。
「ねえ、レオーネ。今度はハリーに直接手紙を届けてみて。もし、もしも、ハリーに直接会えないようなら、手紙はそのまま持ち帰って。」
賢いレオーネに「無事なら教えて」とだけ書いた手紙を渡し、見送った。
「アブ、ホッグズヘッドにホグワーツの先生が来たら、ハリーから何か連絡は来てないか聞いてみて・・・!」
「ああ・・・」
面倒臭そうにアバーフォースは答えた。でも頼みを最低限聞いてくれるだろうことは、ナツキにはわかっていた。
翌日、レオーネはナツキの手紙をハリーに渡すことなく持ち帰ってきた。ハリーに会えなかったのだ。アバーフォースからも、何も知らせはない。
「落ち着け、ナツキ。」
慌てふためくナツキに対してアバーフォースはそう言うと、ネズミの死骸をテーブルの上に3匹置いた。
「レオーネ、まだ食うな。まて。まだだぞ。」
「・・・・アブ、何してるの・・・・」
「こいつの賢さを信じてみることにした。」
レオーネはネズミを凝視して、目をキラキラさせているように見えた。
「ハリー・ポッターが無事ではないならこのネズミを、ハリー・ポッターは無事で手紙も受け取れる状態であるならこのネズミを、ハリー・ポッターは無事だが手紙を受け取れる状態にないならこのネズミを食え。」
アバーフォースは彼からみて、左・真ん中・右の順にネズミを指差してレオーネにいった。
ホウ、と鳴いてレオーネが真っ先に食べたのは、アバーフォースからみて右のネズミだった。その数秒後に真ん中と右のネズミも口に咥えた。
「無事だけど、手紙だけ受け取れないってこと・・・・?」
レオーネはネズミを啄みながら、ナツキの方に向かってホウと鳴いた。
「いくつか考えられる。一つはポッターがあちらの家族とうまくいっていないなら、マグルの家族に手紙を隠されているか、ふくろう避けをされている。」
「ありそう。すごく。それっぽいことが前にあったってハリーから聞いたから。」
「他には、家族とは別の何かが、ポッターが外部と接触するのを妨げている。」
「家族とは別の何か?」
「ハリーを恨んでる魔法使いなんかがありえるだろう。しかしそうだとしたら、随分稚拙な気もするから、一つ目が妥当だな。」
ナツキはうーんと唸った。プラットフォームでチラリとみた、あの意地悪そうなハリーのおじさんならやりかねない。魔法をひどく嫌っていると聞いた。そして閃いた。もしかすると、ふくろうを使わなければいいのではないか?
「マグルの便を使ってみよう!マグルはどうやって手紙を運ぶの?」
「知らん。」
ナツキはすぐにハーマイオニーに手紙を書いた。ハリーにふくろうを使わずに、魔法使いじゃないフリをして手紙を送ってほしいと頼んだ。すぐにハーマイオニーからの返事と、縁がギザギザで端っこに数字が書かれた小さな紙切れ届いた。
『ナツキへ
とても良い考えだと思います。フクロウを持たないマグルは住所を詳細に知らないと手紙を届けることができませんが、私はハリーの住所を知りません。もしナツキが知っているようなら、同封した切手を封筒に貼り付けて、この絵のようなポストというものに手紙を入れてみてください。
ハーマイオニー
追伸 ナツキが良かったら私の家に泊まりに来てみませんか?』
ハーマイオニーの手紙にナツキは偉く感動した。特に、追伸に書いてあることにだ。しかし、それと同時に落胆した。住所がよくわからない。
「アブ、ホグワーツの先生が来たらハリーの住所を聞いてみて。詳細じゃないといけないんだって。」
「・・・ああ・・・・」
その二日後、アバーフォースはたまたま店に来たフリットウィック先生に、ハリーの住所を教えてもらったらしい。「ミス・ゴドリクソンなら悪いようにはしないでしょう」と言って、わざわざ一度ホグワーツに戻って、確認してきてくれたようなのだ。ナツキは呪文学の勉強に、より一層力を入れようと決意した。
ナツキはポストというものを探して、次にハーマイオニーに会いに行くために、マグルの世界に行こうとしたが、アバーフォースが渋い顔をした。
「・・・・・わかった。一晩だけならいい。それ以上はダメだ。」
放任主義だと思っていたのに、案外厳しいことを言われナツキは驚いた。交渉の末、3泊までなら良いという許しを得ることができた。
そしてナツキはロンドンに来ていた。
「ナツキ!」
ハーマイオニーと彼女の両親が迎えに来てくれた。ナツキの手には、ハリーへの手紙がある。すぐにハーマイオニーが、これがポストだと教えてくれて、その穴に手紙を突っ込んだ。ハーマイオニーは、「そんなに奥に入れなくても良いのよ」と言った。
グレンジャー家でのお泊まりは、ナツキにとって素晴らしいものだった。グレンジャー夫妻は、マグルの教科書を使って、彼らが学ことを教えてくれた。不思議なテレビという箱で、オリンピックも見た。マグルにはたくさんのスポーツがあるようだ。ハーマイオニーの服を借りて、ロンドンで買い物もした。きっとナツキを魔女だと疑ったものはいないだろう。
グレンジャー家での最後の日、ロンからハリーを救出しに行くと手紙が届いた。ナツキはジョージとフレッドも手伝ってくれるなら、これで一安心できそうだと、ホッとした。
「だ、大丈夫?」
手紙を運んできたフクロウのエロールは今にも息を引き取ってしまいそうだった。ナツキはグレンジャー家にレオーネも連れてきていたので、エロールには休んでもらって、レオーネに水曜にダイアゴン横丁で会わないかと書いた返事を持たせた。
「ハーマイオニーのお父さん、お母さん、泊めてくれてありがとうございます。楽しかったです。ハーマイオニーもまたね。水曜にダイアゴン横丁で!」
ナツキは深々とお辞儀をして感謝の意を伝え、アバーフォースと暮らす小屋へと帰ったのだった。