賢者の石
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闇の時代が訪れるかもしれない。そんな時でも、学年末の試験は容赦なく襲いかかってきた。
「ハリー、ちゃんと寝てる?」
「いや、あんまり・・・・」
顔色の悪いハリーにナツキがそう尋ねると、ハリーは夢見が悪いのだと言った。それに、額の傷が疼くとも。
「ナツキは?人のこと、あんまり言えない顔してる。」
「うん。私も寝れてない。一緒だね。」
二人は顔を見合わせて困った顔をした。
「ナツキの親もヴォルデモートに殺されたんだっけ。」
ハリーはナツキに尋ねた。
「・・・ううん。あの人に殺されたらしいのは、私のお祖母さんとお祖父さん。お母さんは、あの人の配下のシリウス・ブラックに殺されたの。その人はもう捕まってる。お父さんは誰なのかもわからないけど、その戦いで死んだんだと思う。生きてたら、私を一人にはしないとは思うから。」
ロンとハーマイオニーがハリーほど賢者の石を心配していなかったのは目に見えてわかっていた。けれどナツキに関しては、自分と同じくらい心配しているように見えた。
「僕ら、少し似てるよね。」
「そうだね。」
二人でそうやってほんの少しぼーっとして、それから慌てて筆記試験の教室に向かった。
試験が全て終わった。四人で湖を眺めながら話していると、ハリーが真っ青な顔で突然立ち上がった。
「どこに行くんだい?」
「いま、気づいたことがあるんだ。すぐ、ハグリッドに会いにいかなくちゃ。」
走り出すハリーを三人で追いかける。
「おかしいと思わないか?ハグリッドはドラゴンが欲しくてたまらなかった。でも、いきなり見ず知らずの人間が、たまたまドラゴンの卵をポケットに入れて現れるかい?魔法界の法律で禁止されているのに、ドラゴンの卵を持ってうろついている人がざらにいるかい?ハグリッドにたまたま出会ったなんて、話がうますぎると思わないか?どうしていままで気づかなかったんだろう。」
ハリーの言葉でナツキはこんなに暑い日なのに背筋に悪寒が走った。
結果、ハリーの推理は大正解だった。スネイプ先生は、フラッフィーの攻略法を知ってしまったのだ。
「今すぐダンブルドア先生のところにいこう!」
ナツキが言うとハリーは頷いた。四人で校長室へ行こうとするけれど、場所がわからない!
「こんなところで何をしているの?」
マクゴナガル先生が、積み上がった本を持ちながらそばを通りがかった。ダンブルドア先生に会いたいとハーマイオニーが言うと、最悪の返事が返ってきた。
「ダンブルドア先生は10分前におでかけになりました。」
これはまずい。まずすぎる。なりふりなんて構ってられなくて、ハリーは石が危ないと言うことを正直に告げたが、マクゴナガル先生は取り合ってくれなかった。
その後色々と作戦を考えたが、4階の廊下でマクゴナガル先生に再び見つかり、すごい剣幕で怒られた。
「僕は今夜ここを抜け出す。『石』を何とか先に手に入れる。」
「わかった。私も行く。」
ハリーとナツキの目は決意に溢れていた。
「ハリー!ナツキ!気は確かか!」
「だめよ! マクゴナガル先生にもスネイプにも言われたでしょ。退校になっちゃうわ!」
「だからなんだっていうんだ?わからないのかい?もしスネイプが『石』を手に入れたら、ヴォルデモートが戻ってくるんだ。減点なんてもう問題じゃない。それがわからないのかい?グリフィンドールが寮対抗杯を獲得しさえしたら、君たちや家族には手出しをしないとでも思ってるのかい?今晩、僕は仕掛け扉を開ける。君たちが何と言おうと僕らは行く。いいかい、僕とナツキの家族はヴォルデモート達に殺されたんだ!!!」
ハリーはロンとハーマイオニーを睨みつけた。
「そのとおりだわ、ハリー・・・」
ハーマイオニーが消え入るような声で言った。
「僕は透明マントを使うよ。」
「でも四人全員入れるかな?」
ロンの言葉にナツキとハリーが顔を見合わせた。
「今四人全員って言ったの?」
「君たちも行くつもりかい?」
「ハリーとナツキだけを行かせると思うのかい?」
「もちろん、そんなことできないわ。」
夕食の後、四人は談話室から人がいなくなるのを待った。最後にリー・ジョーダンがあくびをして寝室へ向かっていった。
ハリーがマントをとってきた時だった。
「君たち、何してるの?」
ネビルが肘掛椅子の陰からトレバーをつかみながら現れた。
「なんでもないよ、ネビル。なんでもない。」
ハリーは急いでマントを後ろに隠した。「ネビル、もう寝たら?」 とハーマイオニーがごまかしながら言った。もう時間がない。スネイプがいまにもフラッフィーに音楽を聞かせて眠らせているかもしれない。
「外に出てはいけないよ。また見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる。」
ハリーが「君にはわからないことだけど、これは、とっても重要なことなんだ」 と言ったが、ネビルは必死にがんばり、譲ろうとしなかった。
「なんとかしてくれ」とハリーがナツキとハーマイオニーを見た。ナツキの頭の中にはネビルを止める呪文がいくつか浮かんだが、それを行使することは躊躇われた。しかしハーマイオニーはそうではなかったようだ。迷わず彼女はネビルに金縛りの呪文をかけた。
ギリギリでマントに全員隠れながら、なんとか4階にたどり着いた。扉は開いていた。
「ほら、やっぱりだ。スネイプはもうフラッフィーを突破したんだ。」
開いたままの扉を見ると、三人はあらためて自分たちのしようとしていることが何なのかを思い知らされた。マントの中でハリーは二人を振り返った。
「君たち、戻りたかったら、恨んだりしないから戻ってくれ。マントも持っていっていい。僕にはもう必要がないから。」
「私は戻らない。」
ナツキは即座に答えた。ロンとハーマイオニーも当然それに続いた。
「グルルルル」
扉の先には三頭犬がいた。スネイプ先生が使ったと思われるハープがそこには置いてあった。
ハリーがマントの中で横笛を吹き始めると、三頭犬は眠り始めた。それを確認して、マントから四人は姿を現す。仕掛け扉にそのまま近づき、その取手を引っ張る。
ナツキは杖を持ちながら、躊躇わずその中を覗き込んだ。
「真っ暗で階段も何もない。飛び込むしかないと思う。」
ナツキは三人を振り返った。
「先に行ってみる。問題なさそうなら合図をするから、それまでは来ちゃダメだよ。」
ハリーが自分が先に行くと言い出しそうだったので、その前にナツキは飛び降りた。ドスンと音を立てたが、地面ではなく何か植物のような柔らかいものの上に着地した。
「大丈夫そう!降りてきて!」
そう言うと、三人が次々に飛び降りてきた。ナツキ、ロン、ハリーが一安心する傍らで、ハーマイオニーが青い顔をした。
「動かないで!私知ってる・・・これ、悪魔の罠だわ。」
ただの植物だと思ったそれは、ナツキ達の体に絡みつく。当然だ。石を狙う者のためにわざわざクッションになるものなんて用意するわけがないんだから。
「『悪魔の罠』、『悪魔の罠』っと・・・スプラウト先生は何て言ったっけ?暗闇と湿気を好み・・・」
「だったら火をつけて!」
「でも薪がないわ!」
ハーマイオニーとハリーの叫びながらのそのやりとりを聞いて、ナツキはすかさず杖を振り上げた。
「インセンディオ!!!」
杖の先から炎が出ると、植物は縮み上がり、四人を解放した。
「ナツキとハーマイオニーがいてくれて助かった。」
「それにしても『薪がないわ』って・・・君、魔女だろ。」
一本道がそこには続いていた。ハリーを先頭に通路を下っていく。次第に何か不思議な物音が聞こえてきた。通路の出口に着くと、キラキラしたたくさんの小鳥が飛んでいた。奥には分厚くて古そうな扉がある。
「鳥じゃないんだ!鍵なんだよ!羽の生えた鍵だ!」
ハリーがそう言うように、飛んでいたのは鍵だった。この無数にいる鍵の一つが、扉を開けることができるのだろう。
「見て、あそこ。箒がある。」
ナツキが指し示した先には箒が3本あった。ナツキはここではあまりできることがないと即座に察した。結局、ハリーとロン、ハーマイオニーが三人でそれらしき鍵を追い込んで、見事扉を開けることができた。
次の部屋には大きなチェス盤があった。
「向こうに行くにはチェスをしなくちゃ。」
ロンがそう言った。しかし大きなチェス盤の黒いコマはいくつか足りない。数えてみると、四つ欠けていた。自分達自身がコマにならなくてはいけない。ナツキはチェスのルールをあまり知らない。でも、とられたコマが相手に砕かれるのは知っていた。そのコマにならないといけないのかと、顔を青くした。
「ハリー。君はビショップ、ハーマイオニーはその隣でルーク、ナツキはクイーンだ。僕はナイトになるよ。」
チェスが得意なロンが、次々にコマを進め、ナツキ達に指示を出していく。
「詰めが近い・・・うーん・・これしか手が無い。僕がとられるしか。」
「「「だめ!!!」」」
しかしロンは決意を固めて、歩み始めた。ロンの前に白のクイーンが出て、ロンを殴りつけた。ロンは気絶してしまったが、ハリーがチェックメイトをかけ、チェスはなんとか勝利した。
ナツキは治癒の呪文はまだ難しいだろうからと、勉強しなかったことをものすごく悔やんだ。それでもロンは大丈夫だと信じて、前に進むしか選択肢はなかった。
次の部屋には既に倒されたトロールがいた。ハリー、ナツキ、ハーマイオニーはそーっと次の部屋に向かった。その先には、いくつかの瓶が並んだ机があった。
扉の敷居を三人が跨ぐと、前方と後方を炎で塞がれた。
「これはどうしたらいいの!?」
ナツキが焦ると、ハーマイオニーは羊皮紙を見つけた。そこには不思議な言葉が書いてあった。
前には危険 後ろは安全 君が見つけさえすれば 二つが君を救うだろう 七つのうちの二つだけ 君を前進させるだろう 別の一つで退却の 道が開ける その人に
「これは魔法じゃなくて論理よ。」
ハーマイオニーはそう言って一生懸命考え、前進の瓶と後退の瓶を見破った。
ナツキとハリーは目を合わせ、互いに言葉なく頷いた。
「ハーマイオニーが戻る瓶を飲んで。」
「戻ってロンと合流してくれ。それから鍵が飛び回っている部屋に行って箒に乗る。そうすれば仕掛け扉もフラッフィーも飛び越えられる。まっすぐふくろう小屋に行って、ヘドウィグと念の為にレオーネも、ダンブルドアに送ってくれ。彼が必要なんだ。しばらくならスネイプを食い止められるかもしれないけど、やっぱり僕じゃかなわないはずだ。」
ハリーの言葉にハーマイオニーが青い顔でナツキとハリーを見た。
「でも、もし『例のあの人』がスネイプと一緒にいたらどうするの?」 「そうだな。僕、一度は幸運だった。そうだろう?だから二度目も幸運かもしれない。」
「私も悪運は強いから大丈夫。だから今、生きてるんだよ。」
ハーマイオニーは唇を震わせて、ナツキとハリーを抱きしめた。
「ハリー、ナツキ、あなた達って、偉大な魔法使いよ。」
「僕、君にかなわないよ。」
「私も魔法史は寝ちゃうしなぁ・・・・」
「私なんて!本が何よ!頭がいいなんて何よ!もっと大切なものがあるのよ・・・・友情とか勇気とか・・・・。ああ、二人とも、お願い、気をつけてね!」
ナツキとハリーはハーマイオニーを見送った後、深呼吸をした。
「僕、君と出会ったことを誇りに思ってる。」
「私もだよ。ハリー。」
ハリーが「行くぞ」と掛け声をかけ、二人で一気に瓶の中身を飲み干した。
二人並んで黒い炎の中を歩き始める。炎は不思議なことに熱くはなかった。
そして最後の部屋があった。すでに誰かがそこにいた。しかしそこにいたのは予想だにしない人物だった。
「ハリー、ちゃんと寝てる?」
「いや、あんまり・・・・」
顔色の悪いハリーにナツキがそう尋ねると、ハリーは夢見が悪いのだと言った。それに、額の傷が疼くとも。
「ナツキは?人のこと、あんまり言えない顔してる。」
「うん。私も寝れてない。一緒だね。」
二人は顔を見合わせて困った顔をした。
「ナツキの親もヴォルデモートに殺されたんだっけ。」
ハリーはナツキに尋ねた。
「・・・ううん。あの人に殺されたらしいのは、私のお祖母さんとお祖父さん。お母さんは、あの人の配下のシリウス・ブラックに殺されたの。その人はもう捕まってる。お父さんは誰なのかもわからないけど、その戦いで死んだんだと思う。生きてたら、私を一人にはしないとは思うから。」
ロンとハーマイオニーがハリーほど賢者の石を心配していなかったのは目に見えてわかっていた。けれどナツキに関しては、自分と同じくらい心配しているように見えた。
「僕ら、少し似てるよね。」
「そうだね。」
二人でそうやってほんの少しぼーっとして、それから慌てて筆記試験の教室に向かった。
試験が全て終わった。四人で湖を眺めながら話していると、ハリーが真っ青な顔で突然立ち上がった。
「どこに行くんだい?」
「いま、気づいたことがあるんだ。すぐ、ハグリッドに会いにいかなくちゃ。」
走り出すハリーを三人で追いかける。
「おかしいと思わないか?ハグリッドはドラゴンが欲しくてたまらなかった。でも、いきなり見ず知らずの人間が、たまたまドラゴンの卵をポケットに入れて現れるかい?魔法界の法律で禁止されているのに、ドラゴンの卵を持ってうろついている人がざらにいるかい?ハグリッドにたまたま出会ったなんて、話がうますぎると思わないか?どうしていままで気づかなかったんだろう。」
ハリーの言葉でナツキはこんなに暑い日なのに背筋に悪寒が走った。
結果、ハリーの推理は大正解だった。スネイプ先生は、フラッフィーの攻略法を知ってしまったのだ。
「今すぐダンブルドア先生のところにいこう!」
ナツキが言うとハリーは頷いた。四人で校長室へ行こうとするけれど、場所がわからない!
「こんなところで何をしているの?」
マクゴナガル先生が、積み上がった本を持ちながらそばを通りがかった。ダンブルドア先生に会いたいとハーマイオニーが言うと、最悪の返事が返ってきた。
「ダンブルドア先生は10分前におでかけになりました。」
これはまずい。まずすぎる。なりふりなんて構ってられなくて、ハリーは石が危ないと言うことを正直に告げたが、マクゴナガル先生は取り合ってくれなかった。
その後色々と作戦を考えたが、4階の廊下でマクゴナガル先生に再び見つかり、すごい剣幕で怒られた。
「僕は今夜ここを抜け出す。『石』を何とか先に手に入れる。」
「わかった。私も行く。」
ハリーとナツキの目は決意に溢れていた。
「ハリー!ナツキ!気は確かか!」
「だめよ! マクゴナガル先生にもスネイプにも言われたでしょ。退校になっちゃうわ!」
「だからなんだっていうんだ?わからないのかい?もしスネイプが『石』を手に入れたら、ヴォルデモートが戻ってくるんだ。減点なんてもう問題じゃない。それがわからないのかい?グリフィンドールが寮対抗杯を獲得しさえしたら、君たちや家族には手出しをしないとでも思ってるのかい?今晩、僕は仕掛け扉を開ける。君たちが何と言おうと僕らは行く。いいかい、僕とナツキの家族はヴォルデモート達に殺されたんだ!!!」
ハリーはロンとハーマイオニーを睨みつけた。
「そのとおりだわ、ハリー・・・」
ハーマイオニーが消え入るような声で言った。
「僕は透明マントを使うよ。」
「でも四人全員入れるかな?」
ロンの言葉にナツキとハリーが顔を見合わせた。
「今四人全員って言ったの?」
「君たちも行くつもりかい?」
「ハリーとナツキだけを行かせると思うのかい?」
「もちろん、そんなことできないわ。」
夕食の後、四人は談話室から人がいなくなるのを待った。最後にリー・ジョーダンがあくびをして寝室へ向かっていった。
ハリーがマントをとってきた時だった。
「君たち、何してるの?」
ネビルが肘掛椅子の陰からトレバーをつかみながら現れた。
「なんでもないよ、ネビル。なんでもない。」
ハリーは急いでマントを後ろに隠した。「ネビル、もう寝たら?」 とハーマイオニーがごまかしながら言った。もう時間がない。スネイプがいまにもフラッフィーに音楽を聞かせて眠らせているかもしれない。
「外に出てはいけないよ。また見つかったら、グリフィンドールはもっと大変なことになる。」
ハリーが「君にはわからないことだけど、これは、とっても重要なことなんだ」 と言ったが、ネビルは必死にがんばり、譲ろうとしなかった。
「なんとかしてくれ」とハリーがナツキとハーマイオニーを見た。ナツキの頭の中にはネビルを止める呪文がいくつか浮かんだが、それを行使することは躊躇われた。しかしハーマイオニーはそうではなかったようだ。迷わず彼女はネビルに金縛りの呪文をかけた。
ギリギリでマントに全員隠れながら、なんとか4階にたどり着いた。扉は開いていた。
「ほら、やっぱりだ。スネイプはもうフラッフィーを突破したんだ。」
開いたままの扉を見ると、三人はあらためて自分たちのしようとしていることが何なのかを思い知らされた。マントの中でハリーは二人を振り返った。
「君たち、戻りたかったら、恨んだりしないから戻ってくれ。マントも持っていっていい。僕にはもう必要がないから。」
「私は戻らない。」
ナツキは即座に答えた。ロンとハーマイオニーも当然それに続いた。
「グルルルル」
扉の先には三頭犬がいた。スネイプ先生が使ったと思われるハープがそこには置いてあった。
ハリーがマントの中で横笛を吹き始めると、三頭犬は眠り始めた。それを確認して、マントから四人は姿を現す。仕掛け扉にそのまま近づき、その取手を引っ張る。
ナツキは杖を持ちながら、躊躇わずその中を覗き込んだ。
「真っ暗で階段も何もない。飛び込むしかないと思う。」
ナツキは三人を振り返った。
「先に行ってみる。問題なさそうなら合図をするから、それまでは来ちゃダメだよ。」
ハリーが自分が先に行くと言い出しそうだったので、その前にナツキは飛び降りた。ドスンと音を立てたが、地面ではなく何か植物のような柔らかいものの上に着地した。
「大丈夫そう!降りてきて!」
そう言うと、三人が次々に飛び降りてきた。ナツキ、ロン、ハリーが一安心する傍らで、ハーマイオニーが青い顔をした。
「動かないで!私知ってる・・・これ、悪魔の罠だわ。」
ただの植物だと思ったそれは、ナツキ達の体に絡みつく。当然だ。石を狙う者のためにわざわざクッションになるものなんて用意するわけがないんだから。
「『悪魔の罠』、『悪魔の罠』っと・・・スプラウト先生は何て言ったっけ?暗闇と湿気を好み・・・」
「だったら火をつけて!」
「でも薪がないわ!」
ハーマイオニーとハリーの叫びながらのそのやりとりを聞いて、ナツキはすかさず杖を振り上げた。
「インセンディオ!!!」
杖の先から炎が出ると、植物は縮み上がり、四人を解放した。
「ナツキとハーマイオニーがいてくれて助かった。」
「それにしても『薪がないわ』って・・・君、魔女だろ。」
一本道がそこには続いていた。ハリーを先頭に通路を下っていく。次第に何か不思議な物音が聞こえてきた。通路の出口に着くと、キラキラしたたくさんの小鳥が飛んでいた。奥には分厚くて古そうな扉がある。
「鳥じゃないんだ!鍵なんだよ!羽の生えた鍵だ!」
ハリーがそう言うように、飛んでいたのは鍵だった。この無数にいる鍵の一つが、扉を開けることができるのだろう。
「見て、あそこ。箒がある。」
ナツキが指し示した先には箒が3本あった。ナツキはここではあまりできることがないと即座に察した。結局、ハリーとロン、ハーマイオニーが三人でそれらしき鍵を追い込んで、見事扉を開けることができた。
次の部屋には大きなチェス盤があった。
「向こうに行くにはチェスをしなくちゃ。」
ロンがそう言った。しかし大きなチェス盤の黒いコマはいくつか足りない。数えてみると、四つ欠けていた。自分達自身がコマにならなくてはいけない。ナツキはチェスのルールをあまり知らない。でも、とられたコマが相手に砕かれるのは知っていた。そのコマにならないといけないのかと、顔を青くした。
「ハリー。君はビショップ、ハーマイオニーはその隣でルーク、ナツキはクイーンだ。僕はナイトになるよ。」
チェスが得意なロンが、次々にコマを進め、ナツキ達に指示を出していく。
「詰めが近い・・・うーん・・これしか手が無い。僕がとられるしか。」
「「「だめ!!!」」」
しかしロンは決意を固めて、歩み始めた。ロンの前に白のクイーンが出て、ロンを殴りつけた。ロンは気絶してしまったが、ハリーがチェックメイトをかけ、チェスはなんとか勝利した。
ナツキは治癒の呪文はまだ難しいだろうからと、勉強しなかったことをものすごく悔やんだ。それでもロンは大丈夫だと信じて、前に進むしか選択肢はなかった。
次の部屋には既に倒されたトロールがいた。ハリー、ナツキ、ハーマイオニーはそーっと次の部屋に向かった。その先には、いくつかの瓶が並んだ机があった。
扉の敷居を三人が跨ぐと、前方と後方を炎で塞がれた。
「これはどうしたらいいの!?」
ナツキが焦ると、ハーマイオニーは羊皮紙を見つけた。そこには不思議な言葉が書いてあった。
前には危険 後ろは安全 君が見つけさえすれば 二つが君を救うだろう 七つのうちの二つだけ 君を前進させるだろう 別の一つで退却の 道が開ける その人に
「これは魔法じゃなくて論理よ。」
ハーマイオニーはそう言って一生懸命考え、前進の瓶と後退の瓶を見破った。
ナツキとハリーは目を合わせ、互いに言葉なく頷いた。
「ハーマイオニーが戻る瓶を飲んで。」
「戻ってロンと合流してくれ。それから鍵が飛び回っている部屋に行って箒に乗る。そうすれば仕掛け扉もフラッフィーも飛び越えられる。まっすぐふくろう小屋に行って、ヘドウィグと念の為にレオーネも、ダンブルドアに送ってくれ。彼が必要なんだ。しばらくならスネイプを食い止められるかもしれないけど、やっぱり僕じゃかなわないはずだ。」
ハリーの言葉にハーマイオニーが青い顔でナツキとハリーを見た。
「でも、もし『例のあの人』がスネイプと一緒にいたらどうするの?」 「そうだな。僕、一度は幸運だった。そうだろう?だから二度目も幸運かもしれない。」
「私も悪運は強いから大丈夫。だから今、生きてるんだよ。」
ハーマイオニーは唇を震わせて、ナツキとハリーを抱きしめた。
「ハリー、ナツキ、あなた達って、偉大な魔法使いよ。」
「僕、君にかなわないよ。」
「私も魔法史は寝ちゃうしなぁ・・・・」
「私なんて!本が何よ!頭がいいなんて何よ!もっと大切なものがあるのよ・・・・友情とか勇気とか・・・・。ああ、二人とも、お願い、気をつけてね!」
ナツキとハリーはハーマイオニーを見送った後、深呼吸をした。
「僕、君と出会ったことを誇りに思ってる。」
「私もだよ。ハリー。」
ハリーが「行くぞ」と掛け声をかけ、二人で一気に瓶の中身を飲み干した。
二人並んで黒い炎の中を歩き始める。炎は不思議なことに熱くはなかった。
そして最後の部屋があった。すでに誰かがそこにいた。しかしそこにいたのは予想だにしない人物だった。