賢者の石
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土曜日の夜、ナツキはハリーとハーマイオニーが帰ってくるのを、眠気を我慢してずっと待っていた。
「ハリー!ハーマイオニー!・・・・に、ネビル?えっと、遅かったね。どうだ・・・・」
うまく行ったかどうかなんてハリーたちの顔を見たらすぐにわかった。
「ノーバートは渡したけど、帰り道でフィルチに見つかった。150点減点されたんだ。一人50点。それに、罰則もあるみたい。」
三人の顔は真っ青を通り越して真っ白だった。
「そ、そんな・・・・!!」
ナツキは彼らにかける言葉が見つからなかった。
翌日、寮の得点を記録している大きな砂時計のそばを通ったグリフィンドール寮生は、目を疑った。そして噂が広がりはじめた。
ハリー・ポッターが、あの有名なハリー・ポッターが、クィディッチの試合で二回も続けてヒーローになったハリーが、寮の点をこんなに減らしてしまったらしい。何人かのバカな一年生と一緒に。
学校で最も人気があり、賞賛の的だったハリーは、一夜にして突然、一番の嫌われ者になっていた。どこへ行っても、みんながハリーを指さし、おおっぴらに悪口を言った。一方スリザリン寮生は、ハリーが通るたびに拍手をし、口笛を吹き、「ポッター、ありがとうよ。借りができたぜ!」とはやしたてた。ハリーほどひどくはないが、ハーマイオニーとネビルに話しかける者もいなかった。
「クィディッチの練習に行くんだよね?一緒に行こう?」
「うん。ありがとう、ナツキ。」
マダム・フーチとの個人練習を続けていたナツキは、これ幸いとハリーについて行く。一緒にいれるときはずっとハリーと一緒にいた。とても一人になんてできなかったのだ。
練習での他の選手のハリーに対する態度は酷かった。みんな彼を「シーカー」としか呼ばないのだ。
「ナツキ!集中!」
「は、はい!」
ハリーが気の毒で、ナツキはなかなか練習に身が入らなかった。
授業以外の時間、四人は試験勉強に没頭した。そうでもしていないと、惨めな気持ちになるからだ。
ナツキは、ハグリッドがドラゴンを飼おうとしているからやめさせて欲しいと、ダンブルドア先生に言わなかったことを何度も後悔した。きっと先生は悪いようにはしなかっただろうに。
悪いこととは重なるらしい。ハリーが聞いてしまったのだ。クィレル先生がとうとう、スネイプ先生に守りの秘密を言ってしまったのだ。しかし、スネイプ先生が悪さを企んでるという決定的な証拠はない。そんな状況で進言できるほど、今のナツキたちには信用がなかった。
そしてハリー、ハーマイオニー、ネビル、ついでにマルフォイの罰則の日がやってきた。
「なんで夜中に玄関ホールに集合なの?嫌な予感しかしないよ・・・・。皆、気をつけてね。」
ナツキはそう言って、ロンと共にハリーたちを見送った。心配で心配でしょうがない。談話室でロンと二人きりで一緒に待っていたが、彼はとうとう眠ってしまった。
パチパチと暖炉の火の音だけがした。
「ナツキ?・・・と、ロニー坊やは寝てるのか?」
「わ、」
突然背後からかけられた声にナツキは思わず声を上げた。そこにいたのはジョージだった。減点のことがあってからナツキはずっとハリーといたので、こんなふうに声をかけられるのは久しぶりだった。
「ジョージはこんな時間にどうしたの?」
「目が覚めたら、談話室から明かりが漏れてたから降りてきた。」
ジョージが手招きをしたので、ナツキはそちらへ向かった。ロンを起こさないように離れた場所で話そうとしているんだ。
「眠くないのか?」
「そんなことないけど、ハリーたちが心配で寝られないよ・・・・あ、ロンを責めてるわけじゃないよ。」
「どうだか。」
久しぶりにニヤニヤ顔のジョージを見て、ナツキはちょっぴり切ない気持ちになった。
「ハリー達の減点騒ぎはなんでそんなことになったんだ?」
ロンが寝ているせいもあるのだろうか。ジョージが穏やかにそう言うので、ナツキは彼がそれほど減点のことを怒っていないのではないかと思った。
「秘密だから言えないけど、ある人を助けようとしたの。でもそれには、夜中にこっそり抜け出さないといけなくて・・・・・」
「そう言うことなら俺たちに相談してくれればよかったのに。フィルチの知らない抜け道も知ってるぜ。」
「・・・・・思いつかなかった。今度からそうする。」
確かにそう言ったことを頼るのにこれ以上の適任者はいなかった。秘密にすることを優先し過ぎたのかもしれない。
「ジョージは、ハリーのこと、怒ってない?」
「いーや、怒ってるさ。おもしろそうなことに誘ってくれなかったからな。」
「・・・・怒るのそこなんだ・・・・・」
「俺たちはしょっちゅう減点されてるから、それに関しちゃ何も言う資格はないぜ。だが一晩で150点って言うのは新記録だな。全くもって羨ましい。」
「ふふ、羨ましがっちゃダメだよ。」
相変わらずのジョージについ笑みが溢れた。
「迷子の子猫ちゃんには笑顔が似合うぜ。それもとびっきりのヘラヘラ笑顔がな。」
そう言ってジョージは立ち上がり、ナツキの頭をポンポンと軽く叩いた。
「また眠くなってきたから寝る。ナツキも無理すんなよ。」
「うん。ありがとう。おやすみ、ジョージ。」
「ああ、おやすみ。」
ナツキは沈んでいた気持ちが少しだけ浮き上がったのを感じた。
しかしそれはほんの束の間のことだったのである。ハリーが森でとんでもない真実を知ってしまったからだ。
「スネイプはヴォルデモートのためにあの石が欲しかったんだ。」
ナツキはハリーが例のあの人の名前を普通に口に出したことで、ついビクッとしてしまった。魔法界で育ったものとしては当然の反応だった。
「ヴォルデモートは森の中で待っているんだ。僕たち、いままでずっと、スネイプはお金のためにあの石が欲しいんだと思っていた・・・」
「その名前を言うのはやめてくれ!」
ハリーの耳にロンの声は入らない。
「フィレンツェは僕を助けてくれた。だけどそれはいけないことだったんだ。ベインがものすごく怒っていた。惑星が起こるべきことを予言しているのに、それに干渉するなって言ってた。惑星はヴォルデモートが戻ってくると予言しているんだ。ヴォルデモートが僕を殺すなら、それをフィレンツェが止めるのはいけないって、ベインはそう思ったんだ。僕が殺されることも星が予言してたんだ。」
「・・・・死んではいないと聞いていたけど・・・まさかそんな・・・そんな近くにいたなんて・・・・・!!」
ナツキの中にいろんな感情が溢れた。怖い、恐ろしい、そして憎い。ナツキの家族は皆、その人と闇と軍勢に殺された。
「頼むからその名前を言わないで!」
「それじゃ、僕はスネイプが石を盗むのをただ待ってればいいんだ」
ハリーは熱に浮かされたように話し続けた。
「そしたらヴォルデモートがやってきて僕の息の根を止める。そう、それでベインは満足するだろう。」
「落ちついて、ハリー。まだフラッフィーが残ってる。それにホグワーツにはダンブルドア先生がいる。闇の時代、あの人は全盛期の時でさえ、ホグワーツにだけは手出しできなかった。」
ナツキがそういうと、ハーマイオニーもハリーを慰める言葉をかけた。
「それに、ケンタウルスが正しいなんて誰が言った? 私には占いみたいなものに思えるわ。マクゴナガル先生がおっしゃったでしょう。占いは魔法の中でも、とっても不正確な分野だって。」
話し込んでいるうちに、空が白みはじめていた。ベッドに入った時には四人ともくたくたで、話しすぎて喉がヒリヒリした。
「ハリー!ハーマイオニー!・・・・に、ネビル?えっと、遅かったね。どうだ・・・・」
うまく行ったかどうかなんてハリーたちの顔を見たらすぐにわかった。
「ノーバートは渡したけど、帰り道でフィルチに見つかった。150点減点されたんだ。一人50点。それに、罰則もあるみたい。」
三人の顔は真っ青を通り越して真っ白だった。
「そ、そんな・・・・!!」
ナツキは彼らにかける言葉が見つからなかった。
翌日、寮の得点を記録している大きな砂時計のそばを通ったグリフィンドール寮生は、目を疑った。そして噂が広がりはじめた。
ハリー・ポッターが、あの有名なハリー・ポッターが、クィディッチの試合で二回も続けてヒーローになったハリーが、寮の点をこんなに減らしてしまったらしい。何人かのバカな一年生と一緒に。
学校で最も人気があり、賞賛の的だったハリーは、一夜にして突然、一番の嫌われ者になっていた。どこへ行っても、みんながハリーを指さし、おおっぴらに悪口を言った。一方スリザリン寮生は、ハリーが通るたびに拍手をし、口笛を吹き、「ポッター、ありがとうよ。借りができたぜ!」とはやしたてた。ハリーほどひどくはないが、ハーマイオニーとネビルに話しかける者もいなかった。
「クィディッチの練習に行くんだよね?一緒に行こう?」
「うん。ありがとう、ナツキ。」
マダム・フーチとの個人練習を続けていたナツキは、これ幸いとハリーについて行く。一緒にいれるときはずっとハリーと一緒にいた。とても一人になんてできなかったのだ。
練習での他の選手のハリーに対する態度は酷かった。みんな彼を「シーカー」としか呼ばないのだ。
「ナツキ!集中!」
「は、はい!」
ハリーが気の毒で、ナツキはなかなか練習に身が入らなかった。
授業以外の時間、四人は試験勉強に没頭した。そうでもしていないと、惨めな気持ちになるからだ。
ナツキは、ハグリッドがドラゴンを飼おうとしているからやめさせて欲しいと、ダンブルドア先生に言わなかったことを何度も後悔した。きっと先生は悪いようにはしなかっただろうに。
悪いこととは重なるらしい。ハリーが聞いてしまったのだ。クィレル先生がとうとう、スネイプ先生に守りの秘密を言ってしまったのだ。しかし、スネイプ先生が悪さを企んでるという決定的な証拠はない。そんな状況で進言できるほど、今のナツキたちには信用がなかった。
そしてハリー、ハーマイオニー、ネビル、ついでにマルフォイの罰則の日がやってきた。
「なんで夜中に玄関ホールに集合なの?嫌な予感しかしないよ・・・・。皆、気をつけてね。」
ナツキはそう言って、ロンと共にハリーたちを見送った。心配で心配でしょうがない。談話室でロンと二人きりで一緒に待っていたが、彼はとうとう眠ってしまった。
パチパチと暖炉の火の音だけがした。
「ナツキ?・・・と、ロニー坊やは寝てるのか?」
「わ、」
突然背後からかけられた声にナツキは思わず声を上げた。そこにいたのはジョージだった。減点のことがあってからナツキはずっとハリーといたので、こんなふうに声をかけられるのは久しぶりだった。
「ジョージはこんな時間にどうしたの?」
「目が覚めたら、談話室から明かりが漏れてたから降りてきた。」
ジョージが手招きをしたので、ナツキはそちらへ向かった。ロンを起こさないように離れた場所で話そうとしているんだ。
「眠くないのか?」
「そんなことないけど、ハリーたちが心配で寝られないよ・・・・あ、ロンを責めてるわけじゃないよ。」
「どうだか。」
久しぶりにニヤニヤ顔のジョージを見て、ナツキはちょっぴり切ない気持ちになった。
「ハリー達の減点騒ぎはなんでそんなことになったんだ?」
ロンが寝ているせいもあるのだろうか。ジョージが穏やかにそう言うので、ナツキは彼がそれほど減点のことを怒っていないのではないかと思った。
「秘密だから言えないけど、ある人を助けようとしたの。でもそれには、夜中にこっそり抜け出さないといけなくて・・・・・」
「そう言うことなら俺たちに相談してくれればよかったのに。フィルチの知らない抜け道も知ってるぜ。」
「・・・・・思いつかなかった。今度からそうする。」
確かにそう言ったことを頼るのにこれ以上の適任者はいなかった。秘密にすることを優先し過ぎたのかもしれない。
「ジョージは、ハリーのこと、怒ってない?」
「いーや、怒ってるさ。おもしろそうなことに誘ってくれなかったからな。」
「・・・・怒るのそこなんだ・・・・・」
「俺たちはしょっちゅう減点されてるから、それに関しちゃ何も言う資格はないぜ。だが一晩で150点って言うのは新記録だな。全くもって羨ましい。」
「ふふ、羨ましがっちゃダメだよ。」
相変わらずのジョージについ笑みが溢れた。
「迷子の子猫ちゃんには笑顔が似合うぜ。それもとびっきりのヘラヘラ笑顔がな。」
そう言ってジョージは立ち上がり、ナツキの頭をポンポンと軽く叩いた。
「また眠くなってきたから寝る。ナツキも無理すんなよ。」
「うん。ありがとう。おやすみ、ジョージ。」
「ああ、おやすみ。」
ナツキは沈んでいた気持ちが少しだけ浮き上がったのを感じた。
しかしそれはほんの束の間のことだったのである。ハリーが森でとんでもない真実を知ってしまったからだ。
「スネイプはヴォルデモートのためにあの石が欲しかったんだ。」
ナツキはハリーが例のあの人の名前を普通に口に出したことで、ついビクッとしてしまった。魔法界で育ったものとしては当然の反応だった。
「ヴォルデモートは森の中で待っているんだ。僕たち、いままでずっと、スネイプはお金のためにあの石が欲しいんだと思っていた・・・」
「その名前を言うのはやめてくれ!」
ハリーの耳にロンの声は入らない。
「フィレンツェは僕を助けてくれた。だけどそれはいけないことだったんだ。ベインがものすごく怒っていた。惑星が起こるべきことを予言しているのに、それに干渉するなって言ってた。惑星はヴォルデモートが戻ってくると予言しているんだ。ヴォルデモートが僕を殺すなら、それをフィレンツェが止めるのはいけないって、ベインはそう思ったんだ。僕が殺されることも星が予言してたんだ。」
「・・・・死んではいないと聞いていたけど・・・まさかそんな・・・そんな近くにいたなんて・・・・・!!」
ナツキの中にいろんな感情が溢れた。怖い、恐ろしい、そして憎い。ナツキの家族は皆、その人と闇と軍勢に殺された。
「頼むからその名前を言わないで!」
「それじゃ、僕はスネイプが石を盗むのをただ待ってればいいんだ」
ハリーは熱に浮かされたように話し続けた。
「そしたらヴォルデモートがやってきて僕の息の根を止める。そう、それでベインは満足するだろう。」
「落ちついて、ハリー。まだフラッフィーが残ってる。それにホグワーツにはダンブルドア先生がいる。闇の時代、あの人は全盛期の時でさえ、ホグワーツにだけは手出しできなかった。」
ナツキがそういうと、ハーマイオニーもハリーを慰める言葉をかけた。
「それに、ケンタウルスが正しいなんて誰が言った? 私には占いみたいなものに思えるわ。マクゴナガル先生がおっしゃったでしょう。占いは魔法の中でも、とっても不正確な分野だって。」
話し込んでいるうちに、空が白みはじめていた。ベッドに入った時には四人ともくたくたで、話しすぎて喉がヒリヒリした。