出立
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「でもナツキから甘い匂いするのは本当だぞ。おれ、それでナツキを探したんだ。ハチミツみたいな甘い匂いだ」
チョッパーの言葉で、ようやく合点がいった。
「ハチミツ?・・・そういや、ナツキちゃんの能力って・・・・・」
サンジがルフィを摘みながらこちらを向いてそう尋ねた。
そういえば、自分のことをあまり話していなかったことに気づく。
「私は"ミツミツの実"を食べたハチミツ人間なの。体は実体のないハチミツで、なんでか知らないけど蜜蝋も出せるよ」
「ハチミツ人間!!おまえ、食えるのか!?」
「え!?」
ルフィが目を輝かせていた。気のせいだろうか、よだれが見える。
「何怖がらせてんのよっ!!!」
ゴツンとナミの鉄拳制裁がルフィの頭に加えられた。
痛そうにしているが流石に自業自得だ。
「・・・直接は食べないで欲しいけど、ハチミツが欲しくなったら出してあげるからそれで勘弁して・・・・」
「わー!おれ甘いの大好きなんだ!薬にも使えるし!たまにもらいに行っていいか!?」
涎を垂らしていたルフィとは打って変わって、隣にちょこんと座って目を輝かせたチョッパーは可愛かった。
「もちろん!いつでもいいよ」
突然噛みつかれたりさえしなければ、大いに活用してもらって構わない。
「ナツキちゃん、好きな食べ物は?おれ、コックなんだ。教えてもらえると嬉しいな」
「なんでも食べるけど、ハニーマスタードの料理が好き!」
「お、じゃあちょうど材料があるから作ってきますね、プリンセス」
そう言ってサンジは甲板からキッチンへ行ってしまった。
ナミやロビンにもあんな感じだから、女性に甘いタイプなのだろう。
「みんなは今までどういう旅をしてきたの?聞いてもいい?」
「お!良いか!聞いて驚くなよ・・・!!」
ウソップが待ってましたと言わんばかりにこれまでの航海の話をし始める。
巨人と出会ったこと、
雪国に桜が咲いたこと、
砂漠で七武海と戦ったこと
どれも嘘のような話だった。
「みんなイーストブルーから来たのね。私ももっと早くにみんなと出会って一緒に航海してみたかったな・・・」
みんなが体験した冒険を、一緒に体験してみたかった。
しかし、それは叶うはずのないことだ。
「そりゃー嬉しいが無理な話だ。おれの話で我慢してくれ」
「うん。ウソップ、お話上手だね」
「だろ!?おれ様をキャプテン・ウソップと崇めても良いんだぜ」
「キャプテンはルフィでしょ?」
「・・お、おう・・・。そこはノってくれねェのか・・・」
肩を落とすウソップと楽しくそんな話をしていると、肉を両手に持ったルフィが笑いかけてきた。
「今からいっぱい一緒に冒険すればいいじゃねェか。しししし!楽しいぞォ〜」
「・・・ルフィは、なんか凄いね」
「ん?何がだ」
ルフィは不思議そうな顔で見つめてきた。
でも、やっぱりルフィはすごい。
だって__
「いっつも私の欲しい言葉をくれる」
「んー?よくわかんねェけど・・・そうだな。おれはすげーんだ。海賊王になるからな。なはは!」
私の気持ちは全く伝わってはいないらしい。
でもそんなところも、この人の良いところだ。
「ナツキちゃん!レディ限定愛情たっぷりハニーマスタードチキンです」
「わ!美味しそう!!」
「サンジ!おれにもそれくれ!」
「すぐ持ってくるから少し待て!」
サンジから料理を受け取り、食べてみる。
信じられないくらい美味しい。
「おいしい〜〜!サンジもすごいね。海の上でこんなに美味しい料理を作れるなんて!」
「なっ!天使か!?ナツキちゃんは天使の生まれ変わりなのか!?なるほど、それならその愛らしさも頷ける。そして差し詰めおれは____」
「ナツキ、気にしないで。これ、サンジ君の通常運転」
「・・・・・うん。なんか慣れてきた」
先程ナミが「バカばっかり」と評していたのにも、納得してしまう。
よくいえば、大変愉快な海賊だ。
「でも、すごく楽しい」
思わず笑顔になると、みんなも笑ってくれた。
「改めて、みんな、よろしくね」
「「「おう!!」」」
私の海賊生活一日目の幕が閉じようとしていた。
しばらくすると、いつの間にか騒ぎ疲れたみんなは寝始めていた。
男達は甲板で、女性は部屋に入っていった。
「・・・寝れないや・・・・・」
嬉しさと興奮でなかなか寝つけずに、後甲板で一人、月明かりが煌めく水平線を眺める。
気づけば小さな頃に誰かが教えてくれた、歌を口ずさんでいた。
「・・・If all the seas were・・」
寝ているみんなを起こさないように、囁くような声で歌っていた。
なのに、すぐ後ろに人の気配がした。
「なんの歌だ?なんか聞いたことあるような・・・」
ルフィだった。
多分、トイレか何かで起きたのだろう。
「ルフィ・・・」
「あ!そーか!お前の町に着いたときによ、あの石の塔のとこにおれとチョッパーが何もしらねェで行ったんだ。そん時、歌が聞こえた気がしたけど、お前だったんだな〜」
それを聞いて、捕まっていたときに、辛さを紛らわすために歌っていたかもしれないと思い出す。でももう辛くはない。
こんな素敵な人たちが助け出してくれたから。
にししと歯を出して笑いながら、ルフィは私のすぐ隣に腰を下ろした。
「?」
「あれ、もう歌わねェのか?」
もしかして、私の決して上手くない歌声を聞きたいのだろうか?
「聞きたかったの?私、あんまり上手いわけじゃないけど・・・」
「んー、なんか良さそうなフンイキがした!なんの歌なんだ?聞いてみたい」
「世界中の海が、一つの海ならどんなに大きいんだろうか、って歌だよ。小さな子供が歌うやつなんだけど、昔から好きで、つい口ずさんじゃうんだ・・・」
「楽しい歌だな〜。早く歌ってくれよ!下手でいいからよ!」
ニコニコと楽しそうに待つルフィになんだか癒されて、さっきよりも少しだけ大きな声で歌う。
ルフィと海にだけ聞こえるくらいの声量で。
波の音と歌声がなんだか溶けていくような感覚がした。
「お前の声って、なんか気持ちいいな〜。なんでだろうな。・・・ふあ・・眠い」
「ハハ・・ありがとう。私もやっと眠くなってきたよ。部屋に行くね」
「ああ。おれも寝る。おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
キラキラと月明かりに照らされながら、私は女部屋に入った。
ナミとロビンが用意してくれたスペースに横になる。
興奮がおさまったのか今はとっても眠い。
船の中は、心地よい揺れと、そして波の音が聞こえる。
大好きな海に包まれて眠れるような気がした。
明日は朝早く起きよう。
さっきの夜の海の輝きを、早く描きたい。
そう思いながら、目を瞑るとあっという間に私は夢の世界へ落ちていった。
チョッパーの言葉で、ようやく合点がいった。
「ハチミツ?・・・そういや、ナツキちゃんの能力って・・・・・」
サンジがルフィを摘みながらこちらを向いてそう尋ねた。
そういえば、自分のことをあまり話していなかったことに気づく。
「私は"ミツミツの実"を食べたハチミツ人間なの。体は実体のないハチミツで、なんでか知らないけど蜜蝋も出せるよ」
「ハチミツ人間!!おまえ、食えるのか!?」
「え!?」
ルフィが目を輝かせていた。気のせいだろうか、よだれが見える。
「何怖がらせてんのよっ!!!」
ゴツンとナミの鉄拳制裁がルフィの頭に加えられた。
痛そうにしているが流石に自業自得だ。
「・・・直接は食べないで欲しいけど、ハチミツが欲しくなったら出してあげるからそれで勘弁して・・・・」
「わー!おれ甘いの大好きなんだ!薬にも使えるし!たまにもらいに行っていいか!?」
涎を垂らしていたルフィとは打って変わって、隣にちょこんと座って目を輝かせたチョッパーは可愛かった。
「もちろん!いつでもいいよ」
突然噛みつかれたりさえしなければ、大いに活用してもらって構わない。
「ナツキちゃん、好きな食べ物は?おれ、コックなんだ。教えてもらえると嬉しいな」
「なんでも食べるけど、ハニーマスタードの料理が好き!」
「お、じゃあちょうど材料があるから作ってきますね、プリンセス」
そう言ってサンジは甲板からキッチンへ行ってしまった。
ナミやロビンにもあんな感じだから、女性に甘いタイプなのだろう。
「みんなは今までどういう旅をしてきたの?聞いてもいい?」
「お!良いか!聞いて驚くなよ・・・!!」
ウソップが待ってましたと言わんばかりにこれまでの航海の話をし始める。
巨人と出会ったこと、
雪国に桜が咲いたこと、
砂漠で七武海と戦ったこと
どれも嘘のような話だった。
「みんなイーストブルーから来たのね。私ももっと早くにみんなと出会って一緒に航海してみたかったな・・・」
みんなが体験した冒険を、一緒に体験してみたかった。
しかし、それは叶うはずのないことだ。
「そりゃー嬉しいが無理な話だ。おれの話で我慢してくれ」
「うん。ウソップ、お話上手だね」
「だろ!?おれ様をキャプテン・ウソップと崇めても良いんだぜ」
「キャプテンはルフィでしょ?」
「・・お、おう・・・。そこはノってくれねェのか・・・」
肩を落とすウソップと楽しくそんな話をしていると、肉を両手に持ったルフィが笑いかけてきた。
「今からいっぱい一緒に冒険すればいいじゃねェか。しししし!楽しいぞォ〜」
「・・・ルフィは、なんか凄いね」
「ん?何がだ」
ルフィは不思議そうな顔で見つめてきた。
でも、やっぱりルフィはすごい。
だって__
「いっつも私の欲しい言葉をくれる」
「んー?よくわかんねェけど・・・そうだな。おれはすげーんだ。海賊王になるからな。なはは!」
私の気持ちは全く伝わってはいないらしい。
でもそんなところも、この人の良いところだ。
「ナツキちゃん!レディ限定愛情たっぷりハニーマスタードチキンです」
「わ!美味しそう!!」
「サンジ!おれにもそれくれ!」
「すぐ持ってくるから少し待て!」
サンジから料理を受け取り、食べてみる。
信じられないくらい美味しい。
「おいしい〜〜!サンジもすごいね。海の上でこんなに美味しい料理を作れるなんて!」
「なっ!天使か!?ナツキちゃんは天使の生まれ変わりなのか!?なるほど、それならその愛らしさも頷ける。そして差し詰めおれは____」
「ナツキ、気にしないで。これ、サンジ君の通常運転」
「・・・・・うん。なんか慣れてきた」
先程ナミが「バカばっかり」と評していたのにも、納得してしまう。
よくいえば、大変愉快な海賊だ。
「でも、すごく楽しい」
思わず笑顔になると、みんなも笑ってくれた。
「改めて、みんな、よろしくね」
「「「おう!!」」」
私の海賊生活一日目の幕が閉じようとしていた。
しばらくすると、いつの間にか騒ぎ疲れたみんなは寝始めていた。
男達は甲板で、女性は部屋に入っていった。
「・・・寝れないや・・・・・」
嬉しさと興奮でなかなか寝つけずに、後甲板で一人、月明かりが煌めく水平線を眺める。
気づけば小さな頃に誰かが教えてくれた、歌を口ずさんでいた。
「・・・If all the seas were・・」
寝ているみんなを起こさないように、囁くような声で歌っていた。
なのに、すぐ後ろに人の気配がした。
「なんの歌だ?なんか聞いたことあるような・・・」
ルフィだった。
多分、トイレか何かで起きたのだろう。
「ルフィ・・・」
「あ!そーか!お前の町に着いたときによ、あの石の塔のとこにおれとチョッパーが何もしらねェで行ったんだ。そん時、歌が聞こえた気がしたけど、お前だったんだな〜」
それを聞いて、捕まっていたときに、辛さを紛らわすために歌っていたかもしれないと思い出す。でももう辛くはない。
こんな素敵な人たちが助け出してくれたから。
にししと歯を出して笑いながら、ルフィは私のすぐ隣に腰を下ろした。
「?」
「あれ、もう歌わねェのか?」
もしかして、私の決して上手くない歌声を聞きたいのだろうか?
「聞きたかったの?私、あんまり上手いわけじゃないけど・・・」
「んー、なんか良さそうなフンイキがした!なんの歌なんだ?聞いてみたい」
「世界中の海が、一つの海ならどんなに大きいんだろうか、って歌だよ。小さな子供が歌うやつなんだけど、昔から好きで、つい口ずさんじゃうんだ・・・」
「楽しい歌だな〜。早く歌ってくれよ!下手でいいからよ!」
ニコニコと楽しそうに待つルフィになんだか癒されて、さっきよりも少しだけ大きな声で歌う。
ルフィと海にだけ聞こえるくらいの声量で。
波の音と歌声がなんだか溶けていくような感覚がした。
「お前の声って、なんか気持ちいいな〜。なんでだろうな。・・・ふあ・・眠い」
「ハハ・・ありがとう。私もやっと眠くなってきたよ。部屋に行くね」
「ああ。おれも寝る。おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
キラキラと月明かりに照らされながら、私は女部屋に入った。
ナミとロビンが用意してくれたスペースに横になる。
興奮がおさまったのか今はとっても眠い。
船の中は、心地よい揺れと、そして波の音が聞こえる。
大好きな海に包まれて眠れるような気がした。
明日は朝早く起きよう。
さっきの夜の海の輝きを、早く描きたい。
そう思いながら、目を瞑るとあっという間に私は夢の世界へ落ちていった。