仮初のパーティーin日本
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9代目のお見合いパーティー(?)から3週間。
XANXUSとナツキは日本に来ていた。
今度はナツキの生家、柳守家のパーティーが行われるからだ。
パーティー会場のホテルにほど近い旅館にXANXUSとナツキは部屋をとっていた。
「コネで予約した最高級の一室よ!」
そうナツキがはしゃいでいるのは、個室露天風呂付きの豪華な部屋だった。
「私、大浴場に行ってくるわ。あなたも好きなようにしてね。」
「ああ。」
同じ部屋に寝泊まりするのには理由があるとはいえ、ナツキの相変わらずのその無防備さにXANXUSは小さくため息をついた。
もういっそ、本当に恋人同士になってもいいと思えるくらいにはナツキのことを気に入っていた。
しかしそれを告げたら、この気安い関係が崩れていくような気がしてならなかった。
自分たちを繋ぐのは、利害の一致だけ。
そう思い出すと、苛立っている自分に気づいた。
「・・・・・・?」
その苛立ちが何故なのか、XANXUSにはわからなかった。
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「あー、お腹いっぱい。」
温泉の後は懐石料理を堪能し、ナツキは満足そうにしていた。
部屋の奥には、いつの間にか中居が用意した布団が二つ並んでいる。
「で、明日のことなんだけど、」
突然事務的にそう話し出したナツキにXANXUSは少し動揺した。すぐにそれを隠したが、ナツキはそれを見逃すことはなかった。
「? どうかした?もしかして具合でも悪い?」
「・・・少し飲みすぎただけだ。」
柳守家は忍びの家だ。諜報や暗殺を生業としている家。そこで生まれたナツキも、人の機微には敏感なのだろう。
それでもナツキはXANXUSの言葉を疑わず、水を手渡した。
「はいこれ。それでね、明日だけど、」
「ああ。」
「思うところが、色々と出てくるかもしれない。でもそれを口にはしないで。あなたは家のことなんて気にしていない、ただ私が好きだからついてきたボンゴレの御曹司を演じて欲しいの。」
ナツキから緊張が伝わってきた。
「ああ。黙って飯食ってりゃいいんだな。」
「ええ。・・・・・私の目的は、ただ一つ。兄の当主としての地位を盤石にすることよ。お手伝い、お願いね。」
XANXUSは頷いた。
「私はそろそろ寝るけど、XANXUSは?」
「・・・もう少し飲む。」
「そう。ほどほどにね。おやすみなさい。」
奥の襖にナツキは消えていった。
XANXUSは不思議な気分だった。
10代目の座を切望した自分と、当主の座を頑なに拒むナツキ。
正反対であるはずなのに、先程のナツキからは、どこか自分と似ているような雰囲気があった。
しばらく日本酒を楽しんだ後、XANXUSは先程ナツキが消えていった襖を開ける。二つ並んだ布団の片方は盛り上がっていて、微かな寝息が聞こえた。
「・・・・・」
本当に無防備だと、何度目かわからない呆れを覚える。
起こさないように、そっともう一方の布団に入りXANXUSは目を閉じた。
その日は眠りにつくまでに、いつもより時間がかかった。
「XANXUS、そろそろ起きて。」
ナツキの声が聞こえ、朝なのだと認識したXANXUSは目を開けた。
「おはよう。」
「ああ・・・・・。」
もうすでにナツキはドレスを着ていた。しかしその姿についXANXUSは言葉をこぼしてしまった。
「地味じゃねぇか・・・?」
失礼なその物言いにナツキが怒ることはなかった。
「わざとよ。目立つと反感を買うから。」
ベージュの上品なドレスだが、ナツキが着るには随分と落ち着いたデザインだ。ヘアメイクもだいぶ簡素に施されており、イタリアのパーティーでの印象とはだいぶ異なっていた。
「ごめんね。今日はこんな感じだけど、我慢して隣にいてくれる?」
悪戯っぽくそういうナツキは、確かに格好はやや地味だが、いつものナツキだ。彼女の良さは少しもなくならない。
「別にそこまで悪くはねぇ。・・・俺の色じゃねぇのが不服だっただけだ。」
「何それ。ふふっ、あなたもそんな冗談を言うのね。」
確かに前回は黒に、赤。ザンザスの色で自身を固めた。
今日は目的が違うから、そんな目立つ格好はしない。
「・・・・少し、落ち着いたわ。今日はよろしくね。」
「ああ。」
互いに支度を済ませ、XANXUSとナツキはパーティー会場へと向かったのだった。