仮初のパーティーinイタリア
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ナツキとXANXUSの仮初の初デートから2週間、本日は、ボンゴレでパーティーが開催されていた。
それは9代目がXANXUSにお見合いを迫ったパーティーだ。
つまり、ナツキがXANXUSの恋人を勤め上げの大仕事の日というわけである。
会場にはXANXUSとスクアーロがヴァリアーの代表として出席していた。その傍らにはまだナツキの姿はない。
「・・・・・まだか?」
XANXUSの機嫌はただでさえ悪かったものがそれ以上に急降下していった。
「ギリギリにくるっつってたぞぉ。」
「あ?」
先日XANXUSはナツキと連絡先を交換していた。それにもかかわらず、スクアーロの方にだけナツキは連絡していたらしい。
そしてXANXUSの不機嫌など意に介せず、9代目が用意したらしい令嬢たちの視線がXANXUSに注がれ始めていた。
「ちっ・・・」
「ゔおぉい!暴れんなよぉ!!」
リング争奪戦から2年、いまだにヴァリアーは上層部に白い目で見られている。この9代目主催のパーティーでやらかすわけにはいかない。
それを知っているからこそ、余計にXANXUSは苛立ちが募っていった。
「XANXUS様、私、オーネファミリーの・・・」
そしてついに、一人の令嬢がXANXUSに声をかけたのだ。さらに、一人が突撃したことで、他の令嬢たちもワラワラとXANXUSの周りに集まってきた。
「寄るな。カスども。」
XANXUS眉間のしわが幽谷のようになっていく。
「XANXUS、」
大声ではないのに、甲高い声をあげる女たちの声を制するような、凛とした透き通った声が響いた。
ようやくナツキが来たのだ。
「・・・おせぇ。」
ナツキは黒のドレスに身を包み、赤い宝石のアクセサリーを身につけていた。それはXANXUSの色に合わせたもの。
「あら、時間には遅れていないはずよ?」
ナツキは周りの女たちなど目に入っていないように、XANXUSの元へいき、その腕に手をかけた。
令嬢たちは閉口していた。
「やるな。悪くねぇ。」
「フフ、ありがとう。」
自分たちが全く相手にされなかったXANXUSが、唯一その手を拒むことのない女性、そして、美しく品のあるその出立ちに、令嬢たちは敗北を悟ったのだった。
ここまで全て、ナツキの計画通り。
普段は好きなものを好きなように着ているが、今日だけはXANXUSとの契約のために、誰にも文句を言わせないように着飾る必要があった。
その目論見は完璧だった。
その場の誰しもが、XANXUSの恋人がナツキなのだと思った。
その光景は、もちろん9代目の目にも入っていた。
「XANXUS、そちらの方は?」
「ジジイ・・・」
XANXUSが忌々しげに9代目を睨んだ。ナツキは9代目との面識はなかったが、ここで彼がそうなのだと察する。
「柳守ナツキと申します。」
ナツキが話し出した。
「柳守・・・これはまた、すごいところのお嬢さんを捕まえたみたいだね・・・。息子とはどういう経緯で?」
驚きながらも9代目はナツキを見つめた。
「スクアーロの紹介です。彼とはマフィア学校の同級生でで。」
「なるほど・・・・。XANXUSをよろしく頼むよ。」
「はい。」
9代目はにっこり微笑んで、その場を後にした。
どうやらうまくやれたらしい。
しかし、ナツキには気になることがあった。
「・・・ねえ、ちょっと外に出ましょう。」
「あ?」
ナツキはXANXUSをバルコニーに連れ出した。スクアーロは屋内で、バルコニーへの扉を見張ってもらっている。
小さな声で、ナツキはXANXUSに尋ね出した。
「・・・ねえ、あの人が9代目なの?」
「ああ。」
どうかしたのかとXANXUSは怪訝に思う。
「影武者とかではない?」
「あ?・・・・なぜだ。」
面識はないと聞いていたはずのナツキが、これほどまでに9代目を疑う理由は何かとXANXUSは鋭い目つきでナツキを見た。彼女はスクアーロから聞く限り、かなり腕の立つヒットマンだ。何か確信があるのだろう。
「噂や実績からプロファイリングした人物像にはぴったり当てはまったわ・・・・・。でも、あなたと目を合わせようとしなかったわ。」
ナツキの言葉にXANXUSは目を見開いた。
「普通、親子なら・・・・・」
「ナツキ、もういい。」
「え?」
XANXUSはナツキがなぜ不審に思ったのかを理解した。
そして、その答えも。
「9代目だ。間違いねえ。・・・それがあのジジイなんだ・・・!」
「え・・・?あ、ちょ、XANXUS!?」
XANXUSはバルコニーから再び屋敷の中へ戻っていってしまった。
「・・・・・気に触ること、しちゃったのかしら・・・・・」
そしてXANXUSと入れ替わるようにスクアーロがバルコニーに出てきた。