ドライフラワーに水やりを
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ナツキが涙を浮かべて視線を上げた先、玄関の扉からは焦った様子のスクアーロがいた。
「・・・スクアーロ・・・・?」
どうしてここにいるの?
ナツキは訳が分からなくて、ただ目を見開いていた。
そしてスクアーロは我慢できなくなり、口を開いた。
「・・・嫌い、なのかぁ・・・・?」
自分のことが、
そう尋ねたかったスクアーロは次のナツキの言葉に動揺した。
「嫌いよ・・・。こんな自分なんて、大嫌い・・・・!」
「・・・は・・・?」
どうやら自分のことではないと一度安心したスクアーロだが、ナツキの言葉の意味を考えて困惑した。
「・・・何持ってるの・・・?」
そこでナツキはスクアーロの手に何か握られていることに気づいた。
灯りのつけていない部屋では、よく見えない。
その様子を察したスクアーロが、すぐにカチリと部屋を照らした。
「・・・青のガーベラ・・・・・」
それはいつかの帰り道、スクアーロが顔を真っ赤にしてナツキに手渡したのと同じ花だった。
「・・・なぁ、ナツキ。お前が自分のこと嫌いだとかは知らねぇが・・・俺は、やっぱりお前が好きだ・・・・。やり直さねぇか?俺たち・・・」
そう言ってスクアーロは青のガーベラの花束をナツキに手渡そうとした。
「・・・無理だよ・・・・・」
しかし、その花束をナツキは受け取らなかった。
青のガーベラは、自分たちの綺麗な初恋の思い出の一つ。
「・・・俺のことは、もう好きじゃねぇかぁ・・・?」
スクアーロは彼にしては珍しく小さな声で、弱々しくそう尋ねた。
「好きじゃないのは、あなたでしょう・・・・?」
「は・・・?」
ナツキの言葉にスクアーロは困惑する。
好きだから、こんな性に合わない小っ恥ずかしいことをしているのだというのに。
「スクアーロ、今のあなたが好きなのは・・・私じゃない・・・・!6年前の、昔の私よ・・・・!」
絞り出すようにナツキはそう声を出した。
「・・・お前は、そうなのかぁ?」
「え・・・・?」
悲しそうにそう尋ねるスクアーロに、今度はナツキが困惑するのだった。
「お前は、昔の俺は好きだったくせに今の俺は嫌いなのかぁ?」
「ち、違う・・・!そうじゃない・・・!」
また瞳に涙を溜めるナツキを見て、スクアーロはその思いを理解した。
そしてテーブルに花束を置いて、強くナツキを抱きしめた。
「好きだ・・・」
スクアーロはナツキの頭を自分の胸板に押し付けて、どうか思いよ伝われと言葉を重ねた。
「昔のお前も・・・今のまだよく知らないお前も・・・・全部・・・・!」
「・・・スクアーロ・・・」
「こんなに愛しいと思えるのは、なんでか知んねぇけどお前だけだぁ・・・!」
押さえつけられたスクアーロの胸元から、ドクドクと激しい心臓の音がした。
もしかしたら、彼と私は互いを同じように思っているのかもしれないと思った。
「!」
どう答えたらいいのか分からなくて、ナツキはスクアーロの背中に恐る恐る腕を回した。
「ナツキ、」
「え?」
せっかく腕を回したのに、スクアーロはナツキの肩に手を置いて、その体を少し離したのだった。
しかしそれは遠ざけるためではなかった。
顔を見合わせて、静かに二人の唇が重なった。
「今度はもう、離さねぇから・・・。俺は変わったんだ。」
「・・・変わってないよ・・・・。ずっと、私の大好きなスクアーロだよ・・・・。」
そうして微笑み合い、どちらともなくキスをする。
「・・ん、待って・・・・」
「待てねぇ・・・・、ナツキ、シたい・・・・」
「ちょ・・・・!?」
段々とその手つきが怪しくなってきたことに苦言を呈すと、案の定、彼はその気になってしまっていたらしい。
あっという間にベッドに連れていかれ、昨夜に引き続き、その夜も肌を重ねた。
しかしそれは昨日とは違った。
「ナツキ・・・愛してるぞぉ・・・・」
「・・・わ、私も・・・・」
その夜は、今までの6年間を埋めるかのように、何度も何度も互いを求めあった。
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