ドライフラワーに水やりを
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そして、翌日。
腰に激しい痛みを覚えながらもナツキは目を覚ました。
スクアーロが寝ているうちに服を着てしまい、テーブルに置いてあるしおれてしまった花を見つける。
「あ、」
急いでそれを花瓶にさしていると、ベッドの膨らみがもそりと動いた。
「・・・おはよう、スクアーロ。」
「ああ・・・・・」
ナツキが花を生けている様子をボーッと眺めながら、スクアーロはあることを思い出した。
「そういや、お前の栞、なんで枯れてんだぁ?押し花って枯れる前にするんじゃねぇのか?」
それを聞いてナツキはテーブルの上に置いておいたほんからしおりが抜けてしまっているのを見つけた。
なるほど、これを見られたのかと、彼の柄ではない行動の理由にたどり着いた。
「・・・・スクアーロが初めてくれたお花だったからドライフラワーにしようと思ったの。でもほとんどうまくいかなくて、これ一つだけ残って・・・でも一つだけだと見栄えが良くないから、そのまま押し花にしたのよ。」
ナツキは栞を適当にまた本に挟むと、新しくもらった少ししおれた青い花を見つめる。
「今度はうまくできるかなぁ?」
栞のできた経緯にも、今目の前にあるこの花も大事にしようとしているその思いを察して、スクアーロはたまらずナツキを抱きしめた。
「ちょ、スクアーロ・・・!服着てよ・・・!」
下着しか身につけていないスクアーロをナツキは責めた。
「ドライフラワーも、押し花もいらねぇ。」
「は・・・?そうじゃなくて、思い出に・・ていうか服!!」
ナツキの抗議を無視して、スクアーロはその愛おしさを噛み締めた。
「いつでも買ってやるから、もう思い出じゃなくて、俺を見ろぉ・・・」
「!」
そんな言葉を聞いてしまったら、このせっかく水を吸って元気になりつつあるガーベラは、一生を生花のまま終わらせることに確定だ。
「・・・うん・・・。枯れたら、また買ってね。」
「おう。」
「あといいかげん、服を着ようか。締まらないから。」
「・・・う゛おぉい・・・厳しいなあ・・・・・。」
なんだか久しぶりに聞いたスクアーロのその口癖に思わず笑みが溢れた。
もう、ドライフラワーはいらない。
だってあなたは、思い出じゃないのだから。
end.
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