決戦前
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それからの練習は、毎日数時間、ナツキとレッドで行われた。キバナや他のジムトレーナーの計らいで、練習時間を分けてもらえたのだ。そして、時々ワタルが来ては、他のトレーナーやポケモンのことを教えてくれる。
ワールドリーグカップまで残り1週間となったこの日はトーナメント表が発表される。代表選手は各リーグから3人と開催地特権でガラルからプラス二人の計20人だ。
2回戦まではトーナメントで上位5人を決める。その後残った5人で総当たり戦だ。
発表の場には代表選手全員が出席しなくてはならなく、今日はナツキも正装で気合を入れている。ワタルとレッドと3人で会場に着くと、早速キバナが声をかけてきた。
「よ!お、ナツキ、綺麗じゃねーか」
「ありがとうございます。キバナさんもスーツお似合いで」
社交辞令を簡単に済ませ、ナツキはキバナの脇の席についた。すると、キバナの反対側に座っていた男性が声をかけてきた。
「君がナツキか?俺はダンデ。よろしくな!」
「ああ!ガラルチャンピオンの!ナツキです。こちらこそよろしくお願いします」
「残念ながら今は元チャンピオンなんだ」
「あっ、すみません・・・・・」
「いや!いいんだ!上があるってのは良いことだしな」
ダンデは本当に全く気にした様子はなかった。そのことにナツキは安堵し、人当たりの良さそうな人だな、と思った。ナツキはダンデを好ましく思った。
「お、始まるぜ」
キバナの一声で皆の視線が会場の前の方に集中した。後方のマスコミも先程まではざわついていたのがシーンと静かになった。
司会の挨拶ののち、デボンコーポレーションとシルフカンパニーの代表が登壇した。
「みなさんお集まりいただきありがとう。デボンコーポレーション社長のツワブキと申します」
あ、ダイゴさんのお父さんなんだ、少し似ているな、なんて呑気に考えながらナツキはトーナメント発表を待った。
結果は以下の通りだった。
Aブロック
ダンデvsシロナ
フウロvsシトロン
Bブロック
キバナvsヒョウタ
カルネvsデンジ
Cブロック
ナツキvsマサル
ユウキvsウルップ
Dブロック
レッドvsアイリス
ダイゴvsメロン
Eブロック
ワタルvビート
ミクリvsシズイ
この中で各ブロックの1位が決勝の総当たり戦に出場することができる。ナツキの初戦の相手、マサルはガラルの元チャンピオンで約10年無敗のチャンピオンと謳われたダンデを打ちまかした人物だ。
「ナツキ、引きがいいな。頑張れよ」
キバナがそう言った。
「誰であろうと、勝ちますよ。キバナさんとは・・・総当たり戦で、ですね」
キバナはナツキにそう言われた瞬間、続りと背筋を何かが駆け上がるのを感じた。ナツキに対して初めて、強者の気配を感じたからだ。
「ああ。絶対に、戦おう」
一つ一つ噛み締めるように丁寧にキバナは言葉を発した。長年のトレーナーとしての勘が、ナツキは強いトレーナーだと言うことをビシバシと告げていた。
キバナはそれと同時に、奇妙な高揚感を感じた。バトル前のそれとは異なるものだ。不敵に微笑む目の前のナツキが、やけに美人に見えたことがその原因だろうかと考えたが、その時は彼に答えは分からずじまいだった。