決戦前
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「・・・てな感じで、ダイマックスすると技名が変わる」
「なるほど」
ジムの隅でレッドと共にナツキはキバナからダイマックス、キョダイマックスの説明を受けていた。ワタルは大会の準備か何かで今日はいないらしい。
「まあものは試しだな。二人ともやってみろよ」
キバナの言葉にナツキはひとまずギャラドスを手持ちから出す。レッドはピカチュウを出した。
「よし!ギャラドス!ダイマックス!」
スタジアム内で叫ぶと、昨夜とは異なりギャラドスに変化が起きた。
「やった!」
むくむくとギャラドスは大きくなり、無事にダイマックスに成功した。隣のレッドのピカチュウも同様で、キョダイマックスのピカチュウになっている。
「ナツキさん・・・技の練習がてらバトルしてみませんか?」
「いいよ!ね?ギャラドス?」
ナツキの声に大きなギャラドスは頭上で肯定の意味を込めて一鳴きした。
「ギャラドスとピカチュウじゃ相性悪くねーか・・・?」
キバナが心配そうにナツキを見た。確かに水・飛行タイプのギャラドスは電気タイプとの相性は最悪である。
「まあそうですけど、やってみます」
バトルの結果、ナツキのギャラドスはレッドのピカチュウに惨敗した。
「・・・言わんこっちゃねえ・・・・」
キバナはナツキを悲惨な表情で見つめた。しかしそのナツキは悲壮感が漂っているわけでもなく、課題はわかったと言わんばかりの表情だ。ナツキはギャラドスの手当てをしたのちに、レッドと協議する。
「・・・・・ナツキさんは素早さとそれぞれの技の細かい特性を駆使して戦いますからダイマックスは向いていないのかもしれませんね・・・」
「そうねぇ。パワーが上がるのは分かったけど、的も大きくなるから相性の悪さが露骨に出るのね。ダイマックスを想定して技を組んでいないし、今から新しく技を編成するのもね?まあでも勝手は分かったから、あとは戦略を立てるだけかな」
色々と話している二人であったが、その間キバナは蚊帳の外状態であった。
「おーい、夢中になるのは構わねーけど、一応俺様ガラル代表だからな?作戦とかは別な場所で練ってくれ。フェアじゃねーだろ?」
「え!?キバナさんも出るんですか?」
「・・・ナツキさん知らなかったんですか?」
「だ、だって!ワタルったら何も教えてくれないんだから」
ダイマックスの修行をしろ、という雑な命令だけ与えていなくなってしまった幼馴染をナツキは恨んだ。なぜレッドは知っているのだろうかと不思議に思う。
「トーナメントは出てねーけど、出場選手は発表されてるから調べてみろよ・・・。一応ライバルなんだから・・・」
呆れた表情をナツキに向けるキバナ。こいつは本当に強いトレーナーなのかと疑ってしまう。先程のレッドとのバトルも、バトルというよりかはとりあえず使えるダイマックス技を一通り試してみた、という感じで、強さの片鱗は見えなかった。キバナはライバルである自分の前だからだと思ったが、それを知らなかったというのには呆れるばかりだ。
ナツキはスマホロトムを取り出して、ワールドリーグカップのサイトを開いてもらっていた。レッドと二人、知り合いがいるかどうかを確認すると、以前世話になった人の名前が出てくる。
「あ、ダイゴさんとミクリさんも出るんだ」
「ホウエンの代表と知り合いか?」
ホウエン地方のチャンピオンといえば、トレーナーとしての肩書きだけではなく今大会の主催者であるデボンコーポレーションの御曹司で最も有名なチャンピオンの一人といえるだろう。ミクリの方もコンテストマスターの一面もあり、メディアの露出が多く他地方においても有名人だ。
「ホウエンリーグにも挑戦したことがあるんです」
「ナツキさん、ホウエンでも殿堂入りしているんですよ」
「そうなのか!?」
驚くべき事実に驚愕するキバナ。ワタルからナツキがセキエイ高原リーグで殿堂入りをし、一時期チャンピオンの座を担っていたと聞いた時も驚いたが、他の地方も制覇したことがあるとは思わなかったのだ。
「・・・・なんでそんなに弱そうなんだ・・・?」
「え?」
しかしキバナの目にはどうしてもナツキがそこまで優秀なトレーナーには見えなかった。あまりしっかりしているようには見えないし、強いトレーナー特有の迫力もない。強いて言うなら、ポケモンとの仲は非常に良さそうだが、それだけでは判断しかねる。
訝しげにナツキを見ていると、それに気づいたレッドが代わりに答えた。
「ナツキさん普段はこんな感じですけど、バトルになると人が変わるんです。結構攻撃的ですし」
「へー」
「レッドくん、そんなふうに思ってたの・・・・・?」
気のない返事をしたが、どう変わるのかとキバナは興味が湧いた。今回のワールドリーグカップではいつも通りダンデに勝利することが1番の目的で、ガラルリーグの威信なんかは二の次だった。しかし、二つのリーグを制覇したナツキの予想できない強さには興味を抱いた。他の地方のトレーナーと勝負するのももしかしたらダンでとのバトル以上に楽しいかもしれない、と考えを改め始めた。