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キバナは自分自身に驚いていた。ナツキを帰宅に誘うのを忘れるほどに、いろいろなことに身が入っていないことに気がついた。
「ね、ちょっとだけバトルしない?」
「は?」
公共のバトルフィールドの前を通りかかるとナツキはそう提案した。
「カイリューとバトルしてみたいって言ってたでしょ?1対1!ダイマックスはなしで!」
「あ、ああ。わかった・・・」
突然のナツキの提案に驚きつつも、断る理由もないため、キバナは受け入れた。そして誰もいないバトルフィールドでジュラルドンとカイリューが向き合った。
「ジュラルドン!ドラゴンクロー!」
「カイリュー!はかいこうせん!」
いくつか攻防を繰り返し、決着はついた。
「私の勝ち。これでお互い一勝一敗だね」
「・・・・そう・・だな・・・」
「おいで、ジュラルドン、手当てしてあげるから」
「ジュラ」
「え?あ・・・」
自分がするべきなのに、その役目を先にナツキが買って出てしまい、キバナは立ち尽くしてしまった。
「カイリュー強かったでしょ。勝ちたかった?」
「ジュラ!ジュラ!」
当たり前だ、というようにジュラルドンは一生懸命声を上げた。
「だってよ?キバナ君」
「え?」
「ジュラルドンはバトルに勝ちたいんだって。キバナ君は?」
「そりゃ・・俺だって・・・」
「本当に?」
ナツキはキバナの目をまっすぐに見つめた。
「・・・・・本当だ・・・」
キバナの本心だった。負けたい訳はない。勝ちたいに決まっている。
「・・・でも、誰に勝ちたいのか・・・・わかんねぇんだ・・・・」
ダンデという最強にして最大の好敵手が一線を退いた。唯一の目標だった。それがいなくなった今回のトーナメントにどう向き合えばいいのかわからなかった。
「ダンデさんが出ないから?」
一拍おいてキバナは頷いた。
「・・・・いや、わかってるんだ。ちゃんとしないといけねぇよな。悪りぃ。情けねぇな。明日からはちゃんとやるから、気にすんな!」
キバナはいつものように八重歯を見せてナツキに笑いかけた。
「情けなくなんてないよ。それだけダンデさんが最高のライバルだったってことでしょ」
「・・・・・・ナツキ・・・」
「私はワタルがずっとライバルで・・・今もそう。お互いに切磋琢磨してると思う。ワタルがいなかったら、トレーナーにもなっていないと思う。だから・・・キバナ君にとってダンテさんが大きい存在だってことは、よくわかってるつもり」
ナツキは続けた。
「でもやっぱり、ライバルの前に、パートナーと向き合わないとね。ジュラルドンはこんなにも勝ちたがってる」
「ジュラ!」
ナツキが手当を終えたジュラルドンの両肩に手を置いてキバナに微笑む。
「・・・ああ・・・悪かったな、ジュラルドン」
「ジュラ!」
ジュラルドンと絆を確認したキバナは、ジュラルドンをボールに戻し、同じくカイリューをボールにしまったナツキに向き合った。
「ありがとな。・・・まだ、正直、少し時間がかかるかもしんねぇけど、トーナメントでは絶対に不甲斐ない勝負はしねぇから」
「うん。スタジアムに応援に行くね。あとね、キバナ君、」
「ん?」
嬉しそうに見上げるナツキを、そういえばポケモンもいない本当の二人きりになったのは初めてだな、なんて思いながらキバナは見つめた。
「ジムチャレンジは出ないけど、私、キバナ君のことライバルだと思ってるからね!」
「!」
「だから次は万全の状態でバトルを・・・」
ナツキはそれ以上言葉を紡ぐことができなかった。
「・・・き、キバナ君・・・・?」
体を温かい何かに覆われて、少しして漸く、キバナに抱きしめられているのだとナツキは理解した。
「キバナ君・・・?」
「!」
2回呼ばれて、漸くキバナは自分が衝動的にナツキを抱きしめてしまったのだと気づいた。
「あ、わり・・・!う、嬉しくて・・つい・・・」
「い、いいよ!大丈夫。うん、嬉しかったならよかった」
パッと離れて、互いが互いの顔を見ないようにしながらそう言った。
「あ、じゃあそろそろ帰ろっか」
「お、おう!そうだな!」
明らかにギクシャクしながら二人は帰路に着いた。
「・・・・ふう・・・」
ナツキは部屋に着いてすぐ玄関に座り込んだ。
「シャ!」
留守番をしていたバシャーモが待ち侘びたというようにナツキの元に寄った。
「・・・あ、ごめん、お腹すいたよね・・・ちょっと待っててね」
「?」
主人の不自然な態度にバシャーモは気づいたようで首を傾げた。
「その、キバナ君に・・・・」
先程のことを思い出してしまい、ナツキは顔を赤らめた。キバナの大きな体と、その温もりがまざまざと蘇ってくる。
「シャモォッ!!」
「いや、違うよ!」
キバナが何かをしたんだとバシャーモはすぐに察した。そもそも元からキバナを好ましく思っていなかったバシャーモは怒って声を上げる。
「その・・・嫌なことは、何もされていないの・・・・・。だから、怒ることは何もなくて・・・・・」
「シャモ?」
抱きしめられた、けれども嫌ではなかった。
その事実をよく考えないようにして、ナツキはその日にあったことを忘れようと努めたのであった。
「ね、ちょっとだけバトルしない?」
「は?」
公共のバトルフィールドの前を通りかかるとナツキはそう提案した。
「カイリューとバトルしてみたいって言ってたでしょ?1対1!ダイマックスはなしで!」
「あ、ああ。わかった・・・」
突然のナツキの提案に驚きつつも、断る理由もないため、キバナは受け入れた。そして誰もいないバトルフィールドでジュラルドンとカイリューが向き合った。
「ジュラルドン!ドラゴンクロー!」
「カイリュー!はかいこうせん!」
いくつか攻防を繰り返し、決着はついた。
「私の勝ち。これでお互い一勝一敗だね」
「・・・・そう・・だな・・・」
「おいで、ジュラルドン、手当てしてあげるから」
「ジュラ」
「え?あ・・・」
自分がするべきなのに、その役目を先にナツキが買って出てしまい、キバナは立ち尽くしてしまった。
「カイリュー強かったでしょ。勝ちたかった?」
「ジュラ!ジュラ!」
当たり前だ、というようにジュラルドンは一生懸命声を上げた。
「だってよ?キバナ君」
「え?」
「ジュラルドンはバトルに勝ちたいんだって。キバナ君は?」
「そりゃ・・俺だって・・・」
「本当に?」
ナツキはキバナの目をまっすぐに見つめた。
「・・・・・本当だ・・・」
キバナの本心だった。負けたい訳はない。勝ちたいに決まっている。
「・・・でも、誰に勝ちたいのか・・・・わかんねぇんだ・・・・」
ダンデという最強にして最大の好敵手が一線を退いた。唯一の目標だった。それがいなくなった今回のトーナメントにどう向き合えばいいのかわからなかった。
「ダンデさんが出ないから?」
一拍おいてキバナは頷いた。
「・・・・いや、わかってるんだ。ちゃんとしないといけねぇよな。悪りぃ。情けねぇな。明日からはちゃんとやるから、気にすんな!」
キバナはいつものように八重歯を見せてナツキに笑いかけた。
「情けなくなんてないよ。それだけダンデさんが最高のライバルだったってことでしょ」
「・・・・・・ナツキ・・・」
「私はワタルがずっとライバルで・・・今もそう。お互いに切磋琢磨してると思う。ワタルがいなかったら、トレーナーにもなっていないと思う。だから・・・キバナ君にとってダンテさんが大きい存在だってことは、よくわかってるつもり」
ナツキは続けた。
「でもやっぱり、ライバルの前に、パートナーと向き合わないとね。ジュラルドンはこんなにも勝ちたがってる」
「ジュラ!」
ナツキが手当を終えたジュラルドンの両肩に手を置いてキバナに微笑む。
「・・・ああ・・・悪かったな、ジュラルドン」
「ジュラ!」
ジュラルドンと絆を確認したキバナは、ジュラルドンをボールに戻し、同じくカイリューをボールにしまったナツキに向き合った。
「ありがとな。・・・まだ、正直、少し時間がかかるかもしんねぇけど、トーナメントでは絶対に不甲斐ない勝負はしねぇから」
「うん。スタジアムに応援に行くね。あとね、キバナ君、」
「ん?」
嬉しそうに見上げるナツキを、そういえばポケモンもいない本当の二人きりになったのは初めてだな、なんて思いながらキバナは見つめた。
「ジムチャレンジは出ないけど、私、キバナ君のことライバルだと思ってるからね!」
「!」
「だから次は万全の状態でバトルを・・・」
ナツキはそれ以上言葉を紡ぐことができなかった。
「・・・き、キバナ君・・・・?」
体を温かい何かに覆われて、少しして漸く、キバナに抱きしめられているのだとナツキは理解した。
「キバナ君・・・?」
「!」
2回呼ばれて、漸くキバナは自分が衝動的にナツキを抱きしめてしまったのだと気づいた。
「あ、わり・・・!う、嬉しくて・・つい・・・」
「い、いいよ!大丈夫。うん、嬉しかったならよかった」
パッと離れて、互いが互いの顔を見ないようにしながらそう言った。
「あ、じゃあそろそろ帰ろっか」
「お、おう!そうだな!」
明らかにギクシャクしながら二人は帰路に着いた。
「・・・・ふう・・・」
ナツキは部屋に着いてすぐ玄関に座り込んだ。
「シャ!」
留守番をしていたバシャーモが待ち侘びたというようにナツキの元に寄った。
「・・・あ、ごめん、お腹すいたよね・・・ちょっと待っててね」
「?」
主人の不自然な態度にバシャーモは気づいたようで首を傾げた。
「その、キバナ君に・・・・」
先程のことを思い出してしまい、ナツキは顔を赤らめた。キバナの大きな体と、その温もりがまざまざと蘇ってくる。
「シャモォッ!!」
「いや、違うよ!」
キバナが何かをしたんだとバシャーモはすぐに察した。そもそも元からキバナを好ましく思っていなかったバシャーモは怒って声を上げる。
「その・・・嫌なことは、何もされていないの・・・・・。だから、怒ることは何もなくて・・・・・」
「シャモ?」
抱きしめられた、けれども嫌ではなかった。
その事実をよく考えないようにして、ナツキはその日にあったことを忘れようと努めたのであった。