閉幕
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「ナツキ、レッドくん、準備はいいか?」
「うん」
最終確認を終えて、3人は空港へ向かった。
到着し、それぞれチェックインをして荷物を預ける。
「楽しかったね」
「パル!」
ナツキのポケモンの中では比較的小柄なデンリュウと共に搭乗ゲートへと向かう。
「ナツキ!!」
後方から自分を呼ぶ声が聞こえて、ナツキは振り返った。
「キバナくん!?」
搭乗の最終時刻が迫っていた。
「悪い!少しだけ話せるか?」
ゲートの手前にいる係の人に目を向けると、「少しだけなら大丈夫ですよ」と親切な返事があった。ナツキは頭を下げ、デンリュウを連れてキバナの元へと駆け寄った。
「どうしたの?私、何か忘れ物しちゃった?」
「いや・・・なんつーか、言いたいこと言えなかったな、と思って・・・」
「言いたいこと?」
ナツキが疑問を投げかけると、キバナは言いにくそうに口を開いた。
「・・・これで、最後じゃないよな?」
ナツキは目を丸くした。
一昨日から、どこかキバナの様子が変だとは思っていたが、疲れているんだろうと思っていた。しかし、彼は別れを惜しんでいたのだと、今になってようやく分かった。
「うん・・・。最後じゃない。またガラルに来るよ。ワイルドエリアも見てみたいし、観光もしてみたいし、あと、もっとガラルのポケモンを見たいしトレーナーともバトルしてみたい!近いうちに、また絶対来るよ!」
ナツキの言葉を聞いて、キバナは嬉しくて胸が熱くなった。
「ああ。来るときは絶対に俺様に連絡よこせよ!ワイルドエリアも、他の街も案内してやる」
「ほんと?じゃあ、お願いしようかな!」
ナツキの頭の中に、ガラルでの時間が走馬灯のように流れた。
「・・・・キバナくん、私、最高のバトルを楽しんで、素敵な人たちに会えて、ガラルに来てよかった。キバナくん、またバトルをしよう。次は絶対に負けない!」
「望むところだ!俺様だって負けねーよ」
「パル!パルル!」
負けない、というようにナツキの隣にいたデンリュウが声を上げた。その様子を見て、ナツキとキバナは目を合わせて笑った。
「なあ、ナツキ、」
「ん?」
「最後に一つだけ聞きたいことがあるんだけどよ」
「うん」
「・・・・・・今、付き合ってるやつとかいんのか・・・・?」
「え?恋人ってこと?」
突然の質問にナツキは目を丸くし、ふと先日の記者会見を思い出す。あの時は、ルカリオの機転でその質問を回避したのだった。
なぜみんなしてそんなことが気になるのだろうかと思ったが、キバナ相手ならば答えない理由は特にはない。
「そういう人は、特にいないけど・・・・」
ナツキがそういうと、キバナはパァッと八重歯を見せて顔を輝かせた。
「ほんとか!?よっしゃ!」
「・・・よっしゃ?」
「あ・・・」
キバナはしまった、と思った。これではナツキを好きなことがバレてしまう。今のところ、特に脈があるようには見えないのに、だ。
「今の"よっしゃ"って、どう・・・」
「お客様、そろそろ搭乗のお時間となります」
どういう意味か、とキバナに尋ねようとした瞬間、先ほど搭乗ゲートで対応してくれた親切な係員が声をかけてくれた。
「じゃ、じゃあな!ナツキ!今のは気にすんなよ!また会おうぜ!!」
「え?あ、うん。またね」
係員に連れられて、ナツキは気がついたら、デンリュウとともに飛行機の座席に座っていた。ワタルとレッドと席は離れているらしい。
「・・・・・あ、あれってどういう意味だったのかな」
「パル?」
隣のポケモン用の座席に座るデンリュウに問いかけると首を傾げられてしまった。
「・・・恋人がいない、で喜ぶって・・・・・・あ、そっか!」
ナツキは閃いた。明後日の方向に。
「結婚とかでトレーナーを辞めちゃう人も多いもんね。だからあんなこと聞いてきたんだ」
「納得納得」とデンリュウの頭を撫でながらナツキは、眼下で小さくなってしまったガラルを眺める。
「キバナくんが私のこと好きなのかと思っちゃった。とんだ勘違いだね」
うとうとするデンリュウにそう声をかけると、「パルゥ」と気のない返事が返ってきた。ナツキもデンリュウにつられるように、そっと瞼を閉じるのであった。