閉幕
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「あ、ルカリオ!その質問だけは答えて欲しかった・・・・・!」
閉会式の翌日、キバナは自宅で昨日の会見が放送されているのを見た。
どうやら本当にワタルとナツキの間には、男女の仲はないらしいとは聞いたが、他に仲の良い奴がいないとも限らない。
「ワタルのことを聞いた時についでに聞けば良かったのに・・・あー、くそ」
今夜はナツキと約束していた食事がある。大会が終わったばかりと言うこともあって、仕事は休みだ。キバナはポケモンたちを労る日にしようと決めた。時間までは家でゆっくりしながら、ナツキとの食事で話すことでも考えることにした。
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一方その頃、ナツキはホテルでワタルとレッドと談笑していた。
「ナツキは今夜、キバナと約束があるんだよな?」
「うん。ワタルとレッドくんも来る?」
ナツキが提案すると、ワタルとレッドは顔を見合わせ、小さな声で会話をする。
「・・・多分、行かないほうがいいやつだよな?」
「僕もそう思います・・・」
二人とも合意しナツキに断る旨を伝える。
「悪いがキバナと"二人で"楽しんでくれ。あと、あのこと伝えておいてもらえるか?」
「わかった」
"二人で"のところを若干強調押しながらワタルは言った。
「あ、そろそろ時間だ!じゃあ、私いってくるね!」
ナツキはルカリオをボールから出して、滞在しているホテルのエントランスから出る。ナックルシティの居酒屋のようだが、奥まったところにあったため少し遅れてしまった。
「ごめん、キバナくん!少し道に迷っちゃった・・・」
「あーいいよいいよ。迎えに行けばよかったな」
特に怒った様子もないキバナと隣に立つフライゴンを見てナツキは安堵した。落ち着いた雰囲気の居酒屋で、個室に案内される。ポケモン用のご飯も出してくれるようで、せっかくだからルカリオの分も頼む。
「最近いつもルカリオだな」
確かにナツキはここ最近、外を歩くときは常にルカリオと共にしていた。
「人の気持ちがわかるから変な人が来たらすぐに教えてくれるし、最高のボディガードなの」
「ああ、そういえば、ルカリオってそうだったな・・・」
ということは、自分が今ナツキをどう思っているのかもこのルカリオは知っていると言うことだとキバナは思い至ってしまった。しかし食事を共にしていることに特に文句がある様子は見受けられないから、少なくても嫌われてはいないのだと思うことにした。
しかしそのような心配事など些末に過ぎなかった。
「そういえば、ワタルから伝言を頼まれていてね、私たち、明後日に戻ることになったの。だから明日ナックルジムの皆さんにご挨拶に伺っても・・・・って、キバナくん、聞いてる?」
ナツキの"戻る"という言葉をキバナ理解するのに時間がかかった。
キバナは失念していた。ナツキはこの大会のためだけにジョウトからやってきたのであって、大会が終わった今となってはもうガラルにいる用はないのだ。
「か、帰るのか?ジョウトに?もう?」
「うん。明後日のお昼の便で」
その後食事は続いたが、キバナはどこか上の空になってしまった。ナツキは特に気にすることもなく、食事を楽しんだ。
翌日、ナツキはワタルとレッドと共にナックルスタジアムを訪れた。
「では、みんな、世話になった。ありがとう。おかげでセキエイリーグも盛り上がりそうだ」
ワタルに続き、ナツキとレッドもジムの関係者たちに礼を言う。
「こちらこそ、とてもいい刺激になりました。次回のジムチャレンジに生かそうと思います」
上の空のキバナに代わり、リョウタが3人にそう言った。
そしてナツキたちは、スタジアムを後にした。
ナックルスタジアムに残された面々は、ほとんど言葉を発さなかったキバナをジロリと睨んだ。
「キバナ様、寂しいのはわかりますけど、ちゃんとしてください!」
「・・・・・なんであいつは寂しそうにしないんだ・・・・・」
「キバナ様が女々しすぎるだけじゃないですか?」
辛辣な言葉を投げかけたリョウタに言い返す元気もなかった。
「と・に・か・く!ちゃんと送り出さないとナツキさんからの印象も悪くなりますよ!会いたいって思わせないと!」
「・・・・・・そうだな。今日の俺様、情けなかったな・・・・・。つっても、どうすれば・・・」
ようやく自分の態度を顧みたキバナであったが、ナツキに会うチャンスがない。明日の昼には帰るだろうし、今日これからは帰宅の準備やらをしなければならないと言っていたはずだ。
「こんなこともあろうかと、ナツキさんの飛行機の時間を聞いておきました。見送りに行ってはどうですか?そこで、次に会う約束とかを取り付ければ・・・・・」
「! ナイス!そうするぜ!」