決勝リーグ
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ナツキがレッドと共にキバナの控室に向かうと、沈んでいると予想されたキバナはいつものように明るく振る舞った。
「ははっ、負けちまった。なんでいつまで立っても勝てねーんだろうな!」
八重歯を見せながら笑うキバナは誰が見ても痛々しかっただろう。
「すごくいい試合でしたよ。最後のジュラルドンの活躍は、僕もすごくワクワクしました」
普段は口数の少ないレッドが珍しくキバナを励まそうとしているらしい。でも、キバナにとっては複雑なようだった。
「それでも、勝てなきゃ意味がねーんだ・・・・・・・悪い、やっぱりひとりにしてくれると助かる・・・・・」
肩を落とすキバナの心境を察して、レッドは控室を後にする。ナツキも負けた時の悔しさは嫌と言うほどわかるので、レッドに続こうとした。しかし、ふと立ち止まった。
「キバナくん。私、今日のバトルを見てキバナくんと戦うのがすごく楽しみになったよ。私とも、全力で今日みたいなバトルをしてね」
「!」
ナツキの言葉にキバナはハッとした。バトルはまだ続いている。この敗戦を次に持ち越したくはない。
「・・・・悪い、うじうじしちまって・・・・」
「ううん。負けると悔しいのは、私もレッドくんもよくわかってるから気にしないよ。大事なのは、あの時どうすれば、じゃなくて、次はどうするか、だよ!・・・て、ごめん。偉そうに・・・・・・」
申し訳なさそうにするナツキを見て、なんだか面白くなってしまったキバナはプッとふきだした。
「いや、ナツキの言う通りだな。俺の残りの2試合、全力でぶつかるぜ」
「うん!」
「あー、あと・・・」
キバナが思い出したように何かを言おうとした。
「お前の応援、聞こえた気がした・・・・・それで、キレが増した。サンキューな」
「ほんと?じゃあどういたしまして!でも、キバナくんと戦うときは応援しないからね」
「ハハッ、わかってるよ。明日試合だろ?勝てよ」
「もちろん!」
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『さあさあやって参りました!決勝リーグ第四回戦!本日のカードはジョウトのフスベシティ出身の幼馴染対決!!ワタル対ナツキだ!!!』
ワーッと観客が盛り上がる。決勝前夜の特番でも、注目の対決として取り上げられていた一戦だ。ナツキは自分がドラゴン使いだったらもっと盛り上がるな、なんて暢気なことを考えていながらも、目線は目の前のワタルに向けていた。
『それではっ!開始っ!!!』
審判の声で、二人は同時にボールを取り出し勢いよく投げる。
「大暴れよ!バンギラス!!」
「いけっ!ボーマンダ!!」
『おーっと!地面タイプのバンギラスに飛行タイプを持つバーマンダはやや厳しいか!?ナツキ選手どうする!?』
「バンギラス!すなあらし!!!」
「ギャオオオォオオ!!」
ナツキの指示によって強烈な砂嵐に会場が包まれる。ボーマンダは砂嵐のせいで視界が悪く、狼狽えている。
「落ち着け!ボーマンダ!空を飛ぶ!高くだ!!」
ボーマンダは指示通り、砂嵐の被害がわずかに少ない上空へと飛び上がり、バンギラスを見つける。そして、そこに向かって滑空する。
「バンギラス!地震よ!思いっきり揺らしなさい!!」
直後、フィールドを大きな地震がおそう。保護されている、客席にもその振動が伝わる。
「!?」
地震によって狙いを定められなくなったボーマンダは僅かにそれ、バンギラスの真横の地面を攻撃してしまった。
その爆風により、砂嵐がはれる。
「今よ!冷凍パンチ!!!」
格好の場所に降りてしまい、かつ体勢も不安定だったボーマンダはバンギラスの冷凍パンチをもろに食らってしまう。
『ボーマンダ!戦闘不能!!』
審判の声がスタジアムに響き渡る。
「戻れボーマンダ!次はお前だ!ギャラドス!」
ワタルが次に繰り出したのはギャラドス。善戦したがバンギラスは相性が悪いこともあり、戦闘不能となってしまう。
「よくやったわ!戻って!バンギラス!!次はあなたよ!がんばれ!デンリュウ!!」
一進一退の攻防が続いたが、フスベ出身の共にセキエイリーグのチャンピオン経験を持つ同士の苛烈な戦いは幕を閉じた。
『カイリュー!戦闘不能!!勝者!ナツキ!!!!』
「・・・負けてしまったが、俺は今すごく嬉しいよ。ナツキと、こんな大舞台で、これほどまでに素晴らしいバトルをすることができた」
「ありがとう。私も嬉しい・・・・。ワタルがきっかけをくれたからだよ。いつも気にかけてくれてありがとう」
フィールドの中央で握手を交わす二人。小さい頃から、お互いの苦楽を知っている。
ナツキがチャンピオンになって、一番辛い思いをしたときに、逃げてしまえ、と後を押してくれたのはワタルだった。
そしてまた、バトルの世界に飛び込むきっかけをくれたのもワタルだ。
感極まって、ナツキの目からは涙が一筋流れ落ちた。