第26話
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――「一寸」…小さいこと。
――「一寸法師」…身長の低い人をあざけっていう語(広辞苑 第五版)。
――御伽噺 の主人公は最初からヒーローという訳ではない。
――大概は何かコンプレックスを抱えた人物が大事を成して、結果ヒーローになる。
――人は奇異な者の話を特に面白がる。
――桃太郎やかぐや姫の等、不思議な出生の者。
――一寸法師のような、一見人より劣っている者。
――彼らは一度ヒーローになってしまうと後世、どんどん美化されるケースが多い。
――たとえ元がそうでないとしても。
図書室には子供の頃から縁がある凜にとって、本棚の迷路といった具合の図書室で案内板を見ずにうろうろして目的の本を見つけるのは朝飯前だった。
「……あった」
そして、求めていた情報を早々に探し当てた。
その場でページをめくり、知識を得る作業に専念する。
「凜さん、いらっしゃいますか?」
図書室の世界史コーナーにこもっていた凜は、鬼灯の自分を呼ぶ声に文字の世界から現実世界へ意識を引き戻した。
「鬼灯さん、こっちです」
凜は書物から顔を上げて、鬼灯に応えた。
この図書室には拷問系の資料が多く格納されている。
扱い方によっては危険度の高い資料、呪われる恐れの高い資料、そういう文献が運び込まれ、図書室の中に収められている。
資料の利用は原則として自由だが、持ち出しは禁止されている。
鬼灯に返事をしたものの、凜はそこから離れようとしない。
鬼灯も心得たもので、自分から凜のもとへ歩み寄った。
「何をご覧になられているんですか?」
「悪魔に関する本です」
他の相手ならともかく、鬼灯に隠さなければならないことなど凜にはない。
そしてこの調べものは、鬼灯もよく知っている目的のためのものだ。
「最近ずっとEU地獄関係の文献を調べておいでのようですが……」
ただ今の調べものとその目的がどうつながるのか、その点の説明はしていない。
鬼灯が当惑するのも無理のないことだった。
「知りたいのはEU地獄そのものじゃなく、悪魔に関するその他色々なんですけどね」
「黒魔術……に挑戦するおつもりではありませんよね?」
案の定、鬼灯の問いかけを凜はつっこんで否定する。
「なんでそうなる!」
すると、シロが一冊の絵本をくわえて二人と遭遇した。
「鬼灯 ~~、凜様 ~~」
「おや、『一寸法師」ですか」
「わあ、懐かしい」
「うん 」
「桃太郎ではなく?」
「ここの図書室にある『桃太郎』、犬の絵がアフガン・ハウンドだったよ!納得いかない!」
口吻が長く細面で、腰が高く、全身を絹のような長く美しい被毛が覆う、東洋の神秘的な犬として人気がある犬種を扱う絵本に、シロは不満をぶつけた。
「みんなが知ってる『桃太郎』じゃない!」
「オシャレですね~」
一気に読む気を失くした。
誰が書いたか知らないが、アレンジが論外すぎる。
シロはページを開いて前足で示し、漢字の読みを訊ねる。
「ね、コレは何て字?」
「『お椀』ですね」
「わかったよ (~~」
絵本をくわえてどこかへ歩いていくシロに、二人は首を傾げる。
後を追うと、そこには読み聞かせをせがむ子犬がいた。
「つづき、よんでぇ~」
「シロ兄 ーたん」
夜叉一とクッキーの子供達である。
「ああ、そういうことですか」
「あのシロ君もお兄ちゃんらしいことしてるんだねぇ」
なるほど、そういうことか。
兄貴分として慕われているようだ。
「一寸法師は…はし・のかいとおわん・のふ…ね…で…川を…」
シロの拙い、けれど一音一音噛みしめるように真剣に読み聞かせする声を、鬼灯の低い声が手を差し伸べるようにトリビアを披露する。
「…ちなみに…その川は今の道頓堀だと言われていますね」
「マジで!?」
「え~~、阪神ファンやカーネル・サンダースがしょっちゅう飛び込んでるっていうあの川!?」
「いや、カーネルサンダースはしょっちゅう飛び込んじゃいませんけど……」
あの人形は強制的に一回だけ川に落とされた。
阪神が優勝できないのは、そのカーネルの呪いが原因だと言われている。
気を取り直して、シロが読み聞かせる一寸法師の話が始まった。
――一寸法師…はきょうのみやこで、りっぱ…なお…や…し…き…をみつけ…。
「私が読みましょうか?」
拙いシロの代わりに鬼灯が流暢な口調で続きを聞かせる。
――お屋敷の人はびっくり仰天。
――しかし法師の威勢のよさに感心してお屋敷で働くことを許してくれます。
――ある日その日のお屋敷の姫が宮参りの途中、悪い鬼と遭遇します。
「この姫…うん…まあ、食べたら案外A5ランクかも……」
悪い鬼は美しい姫だと思い、顔を見てみると何故か牛で、
「あれぇ~」
垂衣 のついた市女笠を被った姫は悲鳴をあげる。
――姫危うし。
姫を助けるべく、一寸法師は鬼の体内に入り込むと手に持った針で攻撃する。
「!?痛っ…何か痛い…小骨が刺さった感じ!?」
――そこからはご存じの快進撃。
――鬼の落とした打出の小槌で法師は大きくなり、姫と結婚。
――幸せに暮らしましたとさ。
(~CAST~一寸法師…鬼灯。悪い鬼…閻魔。姫…牛頭)
「……役の配置、おかしくありませんか。どう見ても貴方が姫役のはずなのに」
「文句言わないでくださいよ、原作に忠実に再現した結果です」
※メタ発言は控えましょう。
広範な森の中、一人の男が頬杖をついて深い溜め息をついていた。
森には昆虫やキノコが生息していて、熱帯雨林を彷彿とさせる。
ただし、樹林が生えている場所は亡者の身体。
その時、男の傍に獄卒がやって来て書類を渡す。
「オイ、元一寸。コレやっといて」
「ハイ」
再び、獄卒がやって来て血に染まった斧を渡す。
「オーイ、元一寸。斧ちゃんと磨いとけよー」
「あ…ハイ」
雑用を任された男――一寸法師は覇気のない瞳で視線を下ろし、周りの反応にぼやいた。
――……………………一寸じゃなくなってから「過去の人」扱いされる……。
「へぇ~、彼元一寸法師なんだ…サイズ並だと、案外普通ね」
通り過ぎ様に男女の鬼の会話が聞こえ、一寸法師は反射的に耳を傾ける。
「後世は中納言になったらしいよ」
「フ~ン…小さい方が可愛いのにな~」
「イヤ~、それ言っちゃかわいそうでしょ。本人の希望だし」
「かわいそうとか言うなーッ、みじめになるッッ!!」
哀れみの言葉に、ついに一寸法師の堪忍袋の緒が切れ、
「うわ、ごめっ…」
「ヤベ、きこえてたっ…」
二人はそそくさと足早に立ち去る。
「最初に姫見た時『あ、コレ俺でっかくならなきゃ色々無理だ』って思ったんだよ!!思うだろ!?」
親しげに投げかけられる微笑みは抗いたがい魅力を備え、
「法師よ、どうぞよろしゅう」
なかなかの美女に一寸法師は一目惚れした。
「でも、わかった、一寸じゃなくなった時点で、俺の価値は世間的に0だって!!」
そう感じた瞬間、一寸法師の中で、彼自身にもよくわからない感情が爆発した。
「畜生…小さくなりたい、もう一度……誰も俺の気持ちなんか…!」
八つ当たり気味に斧を研ぐ様子を見つめる、二人と四匹の姿があった。
「ふむ。これが現在の一寸法師……随分と荒れてるみたい」
「…物凄く声かけづらいですね……」
困ったような鬼灯に観察する凜、顔を青ざめるシロに子犬達が次々と言う。
「シロ兄~たん、一寸じゃないね」
「つまんなぁ~い」
「コラッそういうこと言うんじゃありません!」
子供達に注意するシロは、かの有名な一寸法師の豹変っぷりに残念がる。
「せっかく本人が地獄にいるっていうから会いに来たのになあ~」
「すみません、私も彼があんなにすさんでいるとは…」
「難儀なものだね。せっかく大きくなってお姫様とめでたく結ばれたのに、今さら後悔するなんて」
ふと、周囲の景色を見回して一寸法師が地獄にいるのか首を捻るった。
「そもそも何で彼、地獄で雑用してるの?何かしたっけ?」
「…したんですよ、おもいっきり」
「ここって何て地獄だっけ?腐海の森?」
周りを見渡せば、鬱蒼 と背の高い樹林が茂っており、不気味な虫が生息している。
何より異様なのは、樹林が生えている根が亡者の身体だった。
「受苦無有数量処です」
「嘘のでっち上げで目上の人を陥れた者の堕ちる地獄だよ※………」
※亡者は虫に食われ体に木を植えられ更にそれをひっこ抜かれる。
一寸法師のエピソードを思い出した凜は目を丸くした。
「――まさか」
聡い彼女なら、すぐに気づくだろう。
その顔色で理解したと実感した鬼灯は一寸法師の罪を告げる。
「彼には…姫を妻にするために、屋敷の者をだました罪があります」
――原典、御伽草子より。
―――姫を一目見て…。
一寸法師の目の前には美人がいた。
きめ細かく白い肌に対して艶やかな長い髪。
微笑みを浮かべる姫を一目見て、彼は決意した。
(ウオオオオオオオ、俺の女にする!!!)
しかし、姫と自分では身長差がありすぎて、彼女の両親が承諾してくれないだろう。
(……しかし、このサイズじゃ嫁にはくれんだろうな~…)
――そこで一計、姫が寝ている隙に彼女の口元へ米粒をつけ一芝居。
「姫が俺の米を奪ったよう~」
――「一寸法師」…身長の低い人をあざけっていう語(広辞苑 第五版)。
――
――大概は何かコンプレックスを抱えた人物が大事を成して、結果ヒーローになる。
――人は奇異な者の話を特に面白がる。
――桃太郎やかぐや姫の等、不思議な出生の者。
――一寸法師のような、一見人より劣っている者。
――彼らは一度ヒーローになってしまうと後世、どんどん美化されるケースが多い。
――たとえ元がそうでないとしても。
図書室には子供の頃から縁がある凜にとって、本棚の迷路といった具合の図書室で案内板を見ずにうろうろして目的の本を見つけるのは朝飯前だった。
「……あった」
そして、求めていた情報を早々に探し当てた。
その場でページをめくり、知識を得る作業に専念する。
「凜さん、いらっしゃいますか?」
図書室の世界史コーナーにこもっていた凜は、鬼灯の自分を呼ぶ声に文字の世界から現実世界へ意識を引き戻した。
「鬼灯さん、こっちです」
凜は書物から顔を上げて、鬼灯に応えた。
この図書室には拷問系の資料が多く格納されている。
扱い方によっては危険度の高い資料、呪われる恐れの高い資料、そういう文献が運び込まれ、図書室の中に収められている。
資料の利用は原則として自由だが、持ち出しは禁止されている。
鬼灯に返事をしたものの、凜はそこから離れようとしない。
鬼灯も心得たもので、自分から凜のもとへ歩み寄った。
「何をご覧になられているんですか?」
「悪魔に関する本です」
他の相手ならともかく、鬼灯に隠さなければならないことなど凜にはない。
そしてこの調べものは、鬼灯もよく知っている目的のためのものだ。
「最近ずっとEU地獄関係の文献を調べておいでのようですが……」
ただ今の調べものとその目的がどうつながるのか、その点の説明はしていない。
鬼灯が当惑するのも無理のないことだった。
「知りたいのはEU地獄そのものじゃなく、悪魔に関するその他色々なんですけどね」
「黒魔術……に挑戦するおつもりではありませんよね?」
案の定、鬼灯の問いかけを凜はつっこんで否定する。
「なんでそうなる!」
すると、シロが一冊の絵本をくわえて二人と遭遇した。
「
「おや、『一寸法師」ですか」
「わあ、懐かしい」
「
「桃太郎ではなく?」
「ここの図書室にある『桃太郎』、犬の絵がアフガン・ハウンドだったよ!納得いかない!」
口吻が長く細面で、腰が高く、全身を絹のような長く美しい被毛が覆う、東洋の神秘的な犬として人気がある犬種を扱う絵本に、シロは不満をぶつけた。
「みんなが知ってる『桃太郎』じゃない!」
「オシャレですね~」
一気に読む気を失くした。
誰が書いたか知らないが、アレンジが論外すぎる。
シロはページを開いて前足で示し、漢字の読みを訊ねる。
「ね、コレは何て字?」
「『お椀』ですね」
「
絵本をくわえてどこかへ歩いていくシロに、二人は首を傾げる。
後を追うと、そこには読み聞かせをせがむ子犬がいた。
「つづき、よんでぇ~」
「シロ
夜叉一とクッキーの子供達である。
「ああ、そういうことですか」
「あのシロ君もお兄ちゃんらしいことしてるんだねぇ」
なるほど、そういうことか。
兄貴分として慕われているようだ。
「一寸法師は…はし・のかいとおわん・のふ…ね…で…川を…」
シロの拙い、けれど一音一音噛みしめるように真剣に読み聞かせする声を、鬼灯の低い声が手を差し伸べるようにトリビアを披露する。
「…ちなみに…その川は今の道頓堀だと言われていますね」
「マジで!?」
「え~~、阪神ファンやカーネル・サンダースがしょっちゅう飛び込んでるっていうあの川!?」
「いや、カーネルサンダースはしょっちゅう飛び込んじゃいませんけど……」
あの人形は強制的に一回だけ川に落とされた。
阪神が優勝できないのは、そのカーネルの呪いが原因だと言われている。
気を取り直して、シロが読み聞かせる一寸法師の話が始まった。
――一寸法師…はきょうのみやこで、りっぱ…なお…や…し…き…をみつけ…。
「私が読みましょうか?」
拙いシロの代わりに鬼灯が流暢な口調で続きを聞かせる。
――お屋敷の人はびっくり仰天。
――しかし法師の威勢のよさに感心してお屋敷で働くことを許してくれます。
――ある日その日のお屋敷の姫が宮参りの途中、悪い鬼と遭遇します。
「この姫…うん…まあ、食べたら案外A5ランクかも……」
悪い鬼は美しい姫だと思い、顔を見てみると何故か牛で、
「あれぇ~」
――姫危うし。
姫を助けるべく、一寸法師は鬼の体内に入り込むと手に持った針で攻撃する。
「!?痛っ…何か痛い…小骨が刺さった感じ!?」
――そこからはご存じの快進撃。
――鬼の落とした打出の小槌で法師は大きくなり、姫と結婚。
――幸せに暮らしましたとさ。
(~CAST~一寸法師…鬼灯。悪い鬼…閻魔。姫…牛頭)
「……役の配置、おかしくありませんか。どう見ても貴方が姫役のはずなのに」
「文句言わないでくださいよ、原作に忠実に再現した結果です」
※メタ発言は控えましょう。
広範な森の中、一人の男が頬杖をついて深い溜め息をついていた。
森には昆虫やキノコが生息していて、熱帯雨林を彷彿とさせる。
ただし、樹林が生えている場所は亡者の身体。
その時、男の傍に獄卒がやって来て書類を渡す。
「オイ、元一寸。コレやっといて」
「ハイ」
再び、獄卒がやって来て血に染まった斧を渡す。
「オーイ、元一寸。斧ちゃんと磨いとけよー」
「あ…ハイ」
雑用を任された男――一寸法師は覇気のない瞳で視線を下ろし、周りの反応にぼやいた。
――……………………一寸じゃなくなってから「過去の人」扱いされる……。
「へぇ~、彼元一寸法師なんだ…サイズ並だと、案外普通ね」
通り過ぎ様に男女の鬼の会話が聞こえ、一寸法師は反射的に耳を傾ける。
「後世は中納言になったらしいよ」
「フ~ン…小さい方が可愛いのにな~」
「イヤ~、それ言っちゃかわいそうでしょ。本人の希望だし」
「かわいそうとか言うなーッ、みじめになるッッ!!」
哀れみの言葉に、ついに一寸法師の堪忍袋の緒が切れ、
「うわ、ごめっ…」
「ヤベ、きこえてたっ…」
二人はそそくさと足早に立ち去る。
「最初に姫見た時『あ、コレ俺でっかくならなきゃ色々無理だ』って思ったんだよ!!思うだろ!?」
親しげに投げかけられる微笑みは抗いたがい魅力を備え、
「法師よ、どうぞよろしゅう」
なかなかの美女に一寸法師は一目惚れした。
「でも、わかった、一寸じゃなくなった時点で、俺の価値は世間的に0だって!!」
そう感じた瞬間、一寸法師の中で、彼自身にもよくわからない感情が爆発した。
「畜生…小さくなりたい、もう一度……誰も俺の気持ちなんか…!」
八つ当たり気味に斧を研ぐ様子を見つめる、二人と四匹の姿があった。
「ふむ。これが現在の一寸法師……随分と荒れてるみたい」
「…物凄く声かけづらいですね……」
困ったような鬼灯に観察する凜、顔を青ざめるシロに子犬達が次々と言う。
「シロ兄~たん、一寸じゃないね」
「つまんなぁ~い」
「コラッそういうこと言うんじゃありません!」
子供達に注意するシロは、かの有名な一寸法師の豹変っぷりに残念がる。
「せっかく本人が地獄にいるっていうから会いに来たのになあ~」
「すみません、私も彼があんなにすさんでいるとは…」
「難儀なものだね。せっかく大きくなってお姫様とめでたく結ばれたのに、今さら後悔するなんて」
ふと、周囲の景色を見回して一寸法師が地獄にいるのか首を捻るった。
「そもそも何で彼、地獄で雑用してるの?何かしたっけ?」
「…したんですよ、おもいっきり」
「ここって何て地獄だっけ?腐海の森?」
周りを見渡せば、
何より異様なのは、樹林が生えている根が亡者の身体だった。
「受苦無有数量処です」
「嘘のでっち上げで目上の人を陥れた者の堕ちる地獄だよ※………」
※亡者は虫に食われ体に木を植えられ更にそれをひっこ抜かれる。
一寸法師のエピソードを思い出した凜は目を丸くした。
「――まさか」
聡い彼女なら、すぐに気づくだろう。
その顔色で理解したと実感した鬼灯は一寸法師の罪を告げる。
「彼には…姫を妻にするために、屋敷の者をだました罪があります」
――原典、御伽草子より。
―――姫を一目見て…。
一寸法師の目の前には美人がいた。
きめ細かく白い肌に対して艶やかな長い髪。
微笑みを浮かべる姫を一目見て、彼は決意した。
(ウオオオオオオオ、俺の女にする!!!)
しかし、姫と自分では身長差がありすぎて、彼女の両親が承諾してくれないだろう。
(……しかし、このサイズじゃ嫁にはくれんだろうな~…)
――そこで一計、姫が寝ている隙に彼女の口元へ米粒をつけ一芝居。
「姫が俺の米を奪ったよう~」