第25話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
広大な寝室にふさわしい天蓋つきの豪奢な寝台に寝そべる妻へと、夫はカメラを操作しながら単刀直入に切り出す。
「なあ…リリス、君の本分は誘惑だから、男と遊ぶのは一向に構わない。だが……一番愛してるのは俺だよな?な?」
結婚前は悪女と[#ruby謳_うた#]われた男を惑わす性格を不安がる夫に、リリスは本から顔を上げ、艶然 と微笑みかける。
「何言ってるの。ねェ聞いて、信じてね。貴方って世界一!最高の男だと思うわ」
熱情に満ちた愛の言葉。
なのに、彼の顔は強張った。
「そ……そうか!ならいいんだが……こういう写真は…せめて隠してくれないか……?」
そう言って、先程操作していたカメラから、日本へ観光した時の写真――ちゃっかり鬼灯と腕を組んだリリスを見つけ、複雑な気持ちになった。
――昔々ある所に天国一美しい天使がおりました。
見事な金髪の巻き毛に高貴な印象を与える瞳。
顔立ちは中世的な愛くるしさに満ち溢れ、かなりの頻度で女性に間違えられることだろう。
――その天使は「明けの明星」と呼ばれるほどの美貌を誇っておりました。
――そう、かの有名なルシファーです。
キリスト教において、ルシファーは堕天使の長であり、サタンと同一視される。
――天使というのは「派遣された者」。
――神の意思一つで町一個ブッ壊すほど忠実な使者です。
――しかしルシファーは忠実さに欠け、その尊大な性格故、
天使達の中で最も美しい大天使であったが、創造主である神に対して謀反を起こし、自ら堕天使となったと言われる。
――堕天して急にガチムチになりました。
確かに可愛いことこの上ない容貌が、一気に背中にコウモリの羽が生え、尻尾が後ろに細く伸び、尖った耳と二本の角が坊主頭の間に見え、筋肉が盛り上がり、毛深くなった。
今時見ない、ステロタイプな悪魔の様相であるサタンは今、大勢の報道陣の前で講演をしていた。
≪これが現EU地獄の魔王・サタン の誕生です。あの時はホントびっくりした。しかし私は鏡に映った自分を見て、こう思いました≫
――神に謀反し、一気に筋肉質の身体になった自分を鏡で見た時、うっとりと頬を染めた。
≪美しい、と。私そもそもプリンス系よりナイト系に憧れる派なんだよね≫
並の女なら太刀打ちできない可憐さより盛り上がった筋肉がいいと、サタンは語る。
「わかるなぁ~。その気持ち」
誰も理解できない中、筋肉に憧れる義経が激しく同意する。
≪だから今、私、幸せです。幸せは他人の評価の中ではなく、己の中にある≫
「悪の総統の割に、妙に悟ってんな……」
講堂の廊下で、鬼灯は遠い目をしながらつぶやいた。
眉間に深い皺を寄せて、部下の顔を探す。
「いつものことですが、彼女はホントに迷子になる」
目当ての人物は、とにかく目立つ。
茶色というには色素の薄い長い髪。
日本人には珍しい、赤みがかかった黒い瞳。
好奇心旺盛で誰もが普通はためらう火中の栗へとお構いなしに手を伸ばす即決さ――接近してくれば、一目でわかる容姿の持ち主なのだ。
しかし、彼女――凜はいっこうに現れない。
鬼、悪魔など周囲は多彩な顔ぶれだったが、凜の姿は見つけ出せなかった。
約束の時間に遅れる悪癖を持つとしても、凜は好奇の対象があればどこにでも駆けつける無鉄砲な少女でもある。
所在なく凜を待つ鬼灯の物思いは、深い溜め息で中断させられた。
「ハァ……」
声の主は、押しの弱そうな中年男。
よく見れば身なりも平凡としたスーツ姿で、身体の付属品とのミスマッチがはなはだしい。
「サタン様…講演会やると必ず、あの話するな……ここからが長いんだよな…」
(平和条約締結以来、こうして交流も増えた…辺境とはいえ、この島国の信頼を得ても損はない)
男の名前はベルゼブブ。
地獄においてサタンに次いで罪深く、強大なもの。
権力と邪悪さでサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンを凌ぐとも言われる魔王である。
(サタン様は本来、東洋も治めるべきお方だ…何とかこの国を踏み台にできればな……さすれば俺ももっと躍進しリリスにももっと贅沢をさせてやれる。そうすればリリスも俺一筋になるかもしれない。しかしこの国には食えない補佐官がいるからなー…能面みたいな……)
前回、来日した時には一切の表情を変えない補佐官に振り回され、
「いや、日本国民全体的にそうだけど…」
ベルゼブブの周囲を影が覆う。
「おや。貴方は……」
「おおっ」
その後ろ姿を鬼灯が見つけ、声をかけると、驚きに肩を跳ねさせた。
鬼灯は首を捻った。
とぼけているわけではなく、真剣に悩んでいるのである。
しばらく相手の顔を観察して考え込んだ後、訊ねた。
「どなたでしたっけ」
「ベルゼブブだアアアアア!!思い出せッッ!外交の席で何度か会ってるぞ!!」
※読者の皆様とも何度かお会いしています(詳しくは番外編に収録の『地獄の沙汰のあれやこれや』4・5話参照)。
「ああ…サタン王の側近の………ということは、先日いらしたレディ・リリスの旦那様」
「お…おおそうだっ…!お前、俺の嫁に何か変なことしなかっただろうな!?」
ベルゼブブ的には鬼灯が何かした、なのだが、リリスが凜を大層気に入ってべったりだったという思い出しかない。
「とんでもない……むしろ、貴方の嫁が変なことをしでかして……」
「ん?何か言ったか?」
その時、廊下の向こうから歩いてくる一つの影。
おや、とその少女を見るや否や、しばらく停止。
「鬼灯さん!」
背後からやってきた少女――凜の遅れた登場に、眉間にふかーい皺が刻まれる。
「……貴方、今までどこに行ってたんですか」
「すいません、さっき会った義経様と話しこんだら遅くなっちゃって」
(……なんだ、この娘。見たところ亡者のようだが、以前来た時にはいなかったぞ。もしや、新しく雇った新入りなのか……)
そんな心中の訝しさを、しかしベルゼブブは面には出さない。
「ああ、この方、私の部下です」
「初めまして。閻魔様の第二補佐官に任命された、亡者の朱井凜です」
凜はくるりと振り返って頭を下げた。
「あっ、いえ、こちらこそ……」
その丁寧な作法に、その手の上級階級 な付き合いにも慣れているはずのベルゼブブが棒立ちになった。
一体、この二人はどんな関係なのか。
興味を持った凜は、会話に耳を傾けた。
「私は指一本触れていませんよ。奥方がやけに(凜さんの)腕を掴んできたんです。まァ別に(彼女も)嫌でもなかったので、好きにさせておきましたけど……」
「そこは嘘でも拒否したって言えよ、この正直ムッツリ野郎!!」
声を荒げて、鬼灯の語りを遮るベルゼブブ。
上司の説明を聞いて、凜は絶望感を味わった。
全て嘘を言っているわけではない。
しかし微妙に事実を歪曲し、伝えるべき情報を故意に隠蔽している。
非情に悪意のある説明だった。
「違いますよ。本当のことを言いますと、かなりややこしくなるんです」
……もしかすると、この悪魔も鬼灯に苦労しているクチなのだろうか。
思わず凜は、ベルゼブブに仲間意識を感じてしまった。
単純で一本気そうな悪魔が、鬼灯とまともにやり合えるとは思えない。
私ではなくこの人の肩を持つんですか、と言わんばかりにむっとした顔を向けられ、ふいと顔を逸らした。
子供か、あんたは。
「もう…」
海外から講演会をしに来日したサタンの演説を廊下で聞きながら、実は西洋事情ってよく知らないんだよなぁ、と反省する。
今度、図書館で一度きちんと調べよう。
そう思っていると、鬼灯から耳打ちされる。
「……ちなみに、あの方はサタン王の側近であるベルゼブブという悪魔です。別名"蠅の王"」
「あー、薄々そんな感じはしてました」
うん、もう百パーセント確定っぽい。
面白そうとは思ったけど、それが現実になるとね、こう、色々と複雑なわけですよ。
とりあえず思うことは、背中にあるのはコウモリではなくハエの羽なんだ、ということ。
「……そういうことか」
すると、ベルゼブブは小さくつぶやく。
(え、そういうことってどういうこと?)
訳がわからない凜は首を傾げるしかない。
ベルゼブブは険しい顔をしていて、目を逸らせずにいた。
悔しいというか、目を逸らしたら即ゲームオーバーな気がする。
どういう意味でかはわからないけど。
「……無害そうな顔をしているが、お前も奴と同じ、人を見下すのが好きなようだな。まあ、そいつの部下なら納得できるがな」
「あたしがドSみたいなこと言わないでください!その認識は間違いです!」
ひどい言われ様に、凜は反射的に怒鳴ってしまった。
「私は人妻と不貞行為を働く気はありませんので別の男を紹介させて頂きました」
「旦那を目の前にして、何堂々と間男仲介したことを事務的に報告してんの!?」
「えっ!?てことは、この人がリリス様の夫!?」
興味を引かれる言葉が出てきて、凜は瞳を輝かせた。
「へえ……リリス様だったら、もっといい人を選ぶと思ってたんだけど、意外!でもそれ、あたしに教えちゃってもいいんですか?」
「この世界の者なら普通に知っていることです」
「ていうか、本人いる前でズバッと言えるな……」
思わずこぼれた本音に、ベルゼブブは顔をしかめる。
――イメージしていたのとはちょっと違うけど、いいね、その組み合わせ!
「なあ…リリス、君の本分は誘惑だから、男と遊ぶのは一向に構わない。だが……一番愛してるのは俺だよな?な?」
結婚前は悪女と[#ruby謳_うた#]われた男を惑わす性格を不安がる夫に、リリスは本から顔を上げ、
「何言ってるの。ねェ聞いて、信じてね。貴方って世界一!最高の男だと思うわ」
熱情に満ちた愛の言葉。
なのに、彼の顔は強張った。
「そ……そうか!ならいいんだが……こういう写真は…せめて隠してくれないか……?」
そう言って、先程操作していたカメラから、日本へ観光した時の写真――ちゃっかり鬼灯と腕を組んだリリスを見つけ、複雑な気持ちになった。
――昔々ある所に天国一美しい天使がおりました。
見事な金髪の巻き毛に高貴な印象を与える瞳。
顔立ちは中世的な愛くるしさに満ち溢れ、かなりの頻度で女性に間違えられることだろう。
――その天使は「明けの明星」と呼ばれるほどの美貌を誇っておりました。
――そう、かの有名なルシファーです。
キリスト教において、ルシファーは堕天使の長であり、サタンと同一視される。
――天使というのは「派遣された者」。
――神の意思一つで町一個ブッ壊すほど忠実な使者です。
――しかしルシファーは忠実さに欠け、その尊大な性格故、
天使達の中で最も美しい大天使であったが、創造主である神に対して謀反を起こし、自ら堕天使となったと言われる。
――堕天して急にガチムチになりました。
確かに可愛いことこの上ない容貌が、一気に背中にコウモリの羽が生え、尻尾が後ろに細く伸び、尖った耳と二本の角が坊主頭の間に見え、筋肉が盛り上がり、毛深くなった。
今時見ない、ステロタイプな悪魔の様相であるサタンは今、大勢の報道陣の前で講演をしていた。
≪これが現EU地獄の魔王・
――神に謀反し、一気に筋肉質の身体になった自分を鏡で見た時、うっとりと頬を染めた。
≪美しい、と。私そもそもプリンス系よりナイト系に憧れる派なんだよね≫
並の女なら太刀打ちできない可憐さより盛り上がった筋肉がいいと、サタンは語る。
「わかるなぁ~。その気持ち」
誰も理解できない中、筋肉に憧れる義経が激しく同意する。
≪だから今、私、幸せです。幸せは他人の評価の中ではなく、己の中にある≫
「悪の総統の割に、妙に悟ってんな……」
講堂の廊下で、鬼灯は遠い目をしながらつぶやいた。
眉間に深い皺を寄せて、部下の顔を探す。
「いつものことですが、彼女はホントに迷子になる」
目当ての人物は、とにかく目立つ。
茶色というには色素の薄い長い髪。
日本人には珍しい、赤みがかかった黒い瞳。
好奇心旺盛で誰もが普通はためらう火中の栗へとお構いなしに手を伸ばす即決さ――接近してくれば、一目でわかる容姿の持ち主なのだ。
しかし、彼女――凜はいっこうに現れない。
鬼、悪魔など周囲は多彩な顔ぶれだったが、凜の姿は見つけ出せなかった。
約束の時間に遅れる悪癖を持つとしても、凜は好奇の対象があればどこにでも駆けつける無鉄砲な少女でもある。
所在なく凜を待つ鬼灯の物思いは、深い溜め息で中断させられた。
「ハァ……」
声の主は、押しの弱そうな中年男。
よく見れば身なりも平凡としたスーツ姿で、身体の付属品とのミスマッチがはなはだしい。
「サタン様…講演会やると必ず、あの話するな……ここからが長いんだよな…」
(平和条約締結以来、こうして交流も増えた…辺境とはいえ、この島国の信頼を得ても損はない)
男の名前はベルゼブブ。
地獄においてサタンに次いで罪深く、強大なもの。
権力と邪悪さでサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンを凌ぐとも言われる魔王である。
(サタン様は本来、東洋も治めるべきお方だ…何とかこの国を踏み台にできればな……さすれば俺ももっと躍進しリリスにももっと贅沢をさせてやれる。そうすればリリスも俺一筋になるかもしれない。しかしこの国には食えない補佐官がいるからなー…能面みたいな……)
前回、来日した時には一切の表情を変えない補佐官に振り回され、
「いや、日本国民全体的にそうだけど…」
ベルゼブブの周囲を影が覆う。
「おや。貴方は……」
「おおっ」
その後ろ姿を鬼灯が見つけ、声をかけると、驚きに肩を跳ねさせた。
鬼灯は首を捻った。
とぼけているわけではなく、真剣に悩んでいるのである。
しばらく相手の顔を観察して考え込んだ後、訊ねた。
「どなたでしたっけ」
「ベルゼブブだアアアアア!!思い出せッッ!外交の席で何度か会ってるぞ!!」
※読者の皆様とも何度かお会いしています(詳しくは番外編に収録の『地獄の沙汰のあれやこれや』4・5話参照)。
「ああ…サタン王の側近の………ということは、先日いらしたレディ・リリスの旦那様」
「お…おおそうだっ…!お前、俺の嫁に何か変なことしなかっただろうな!?」
ベルゼブブ的には鬼灯が何かした、なのだが、リリスが凜を大層気に入ってべったりだったという思い出しかない。
「とんでもない……むしろ、貴方の嫁が変なことをしでかして……」
「ん?何か言ったか?」
その時、廊下の向こうから歩いてくる一つの影。
おや、とその少女を見るや否や、しばらく停止。
「鬼灯さん!」
背後からやってきた少女――凜の遅れた登場に、眉間にふかーい皺が刻まれる。
「……貴方、今までどこに行ってたんですか」
「すいません、さっき会った義経様と話しこんだら遅くなっちゃって」
(……なんだ、この娘。見たところ亡者のようだが、以前来た時にはいなかったぞ。もしや、新しく雇った新入りなのか……)
そんな心中の訝しさを、しかしベルゼブブは面には出さない。
「ああ、この方、私の部下です」
「初めまして。閻魔様の第二補佐官に任命された、亡者の朱井凜です」
凜はくるりと振り返って頭を下げた。
「あっ、いえ、こちらこそ……」
その丁寧な作法に、その手の
一体、この二人はどんな関係なのか。
興味を持った凜は、会話に耳を傾けた。
「私は指一本触れていませんよ。奥方がやけに(凜さんの)腕を掴んできたんです。まァ別に(彼女も)嫌でもなかったので、好きにさせておきましたけど……」
「そこは嘘でも拒否したって言えよ、この正直ムッツリ野郎!!」
声を荒げて、鬼灯の語りを遮るベルゼブブ。
上司の説明を聞いて、凜は絶望感を味わった。
全て嘘を言っているわけではない。
しかし微妙に事実を歪曲し、伝えるべき情報を故意に隠蔽している。
非情に悪意のある説明だった。
「違いますよ。本当のことを言いますと、かなりややこしくなるんです」
……もしかすると、この悪魔も鬼灯に苦労しているクチなのだろうか。
思わず凜は、ベルゼブブに仲間意識を感じてしまった。
単純で一本気そうな悪魔が、鬼灯とまともにやり合えるとは思えない。
私ではなくこの人の肩を持つんですか、と言わんばかりにむっとした顔を向けられ、ふいと顔を逸らした。
子供か、あんたは。
「もう…」
海外から講演会をしに来日したサタンの演説を廊下で聞きながら、実は西洋事情ってよく知らないんだよなぁ、と反省する。
今度、図書館で一度きちんと調べよう。
そう思っていると、鬼灯から耳打ちされる。
「……ちなみに、あの方はサタン王の側近であるベルゼブブという悪魔です。別名"蠅の王"」
「あー、薄々そんな感じはしてました」
うん、もう百パーセント確定っぽい。
面白そうとは思ったけど、それが現実になるとね、こう、色々と複雑なわけですよ。
とりあえず思うことは、背中にあるのはコウモリではなくハエの羽なんだ、ということ。
「……そういうことか」
すると、ベルゼブブは小さくつぶやく。
(え、そういうことってどういうこと?)
訳がわからない凜は首を傾げるしかない。
ベルゼブブは険しい顔をしていて、目を逸らせずにいた。
悔しいというか、目を逸らしたら即ゲームオーバーな気がする。
どういう意味でかはわからないけど。
「……無害そうな顔をしているが、お前も奴と同じ、人を見下すのが好きなようだな。まあ、そいつの部下なら納得できるがな」
「あたしがドSみたいなこと言わないでください!その認識は間違いです!」
ひどい言われ様に、凜は反射的に怒鳴ってしまった。
「私は人妻と不貞行為を働く気はありませんので別の男を紹介させて頂きました」
「旦那を目の前にして、何堂々と間男仲介したことを事務的に報告してんの!?」
「えっ!?てことは、この人がリリス様の夫!?」
興味を引かれる言葉が出てきて、凜は瞳を輝かせた。
「へえ……リリス様だったら、もっといい人を選ぶと思ってたんだけど、意外!でもそれ、あたしに教えちゃってもいいんですか?」
「この世界の者なら普通に知っていることです」
「ていうか、本人いる前でズバッと言えるな……」
思わずこぼれた本音に、ベルゼブブは顔をしかめる。
――イメージしていたのとはちょっと違うけど、いいね、その組み合わせ!