第14話
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「ああ、疲れるなぁ…鬼灯君、肩揉んでよ」
一日中座りっぱなしな閻魔は、山のように積まれた書類があるにもかかわらず、だらだらとサボる。
「嫌です」
きっぱりと断る部下の冷たい返事に、むーっとしかめ面する。
「冷たいなぁ。だったら凜ちゃんに揉んでもらうよ。凜ちゃーん、ちょっとこっち来てー」
「はい?何ですか?」
閻魔に呼ばれた凜は仕事を中断して素直に歩いてくる。
すると、無言で伸ばした鬼灯の手が彼女の髪を引っ張った。
「いっ――いだだだだだ!!」
がくん、と前に踏み出した身体が後ろに引っ張られたと同時に、物凄い痛みが凜を襲う。
「凜さん、先程の仕事まだ終わっていませんよ。途中放棄は御仕置きです」
厳しい眼差しを向けられ、凜は委縮する。
「わっ…わかりました!」
――ごめんなさい、閻魔様!
胸中で閻魔に謝り、元の場所に戻ろうと踵を返した。
が、鬼灯はそれを許さず、彼女の背後から手を回して抱き寄せる。
「まさか、このまま帰れるなんて思ってませんよね」
「…え、やだ、やだやだやだ!やっぱこうなるオチですか!」
「まだ何もしてないのです。ヤりたい気持ちの強さは自分が一番理解しています」
「自信たっぷりに変態発言決まったああ!」
熱暴走する彼に手っ取り早く右手を一閃。
顔面を横から弾き飛ばされて、鬼灯は床に落ちた。
「何するんですか。ごっつ痛い、今のごっつ痛いです」
「こっちの台詞ですよ!今いきなりだったのは明らかに鬼灯さんでしょ!?」
自分より背の高い鬼灯を殴り飛ばし、凜は威嚇する。
明らかに常軌を逸した行動だが、閻魔はそれをもはや日常のように眺め、今度は腰を揉むようお願いした。
「じゃあ腰揉んでよ。最近あちこち痛いんだよね」
「折っていいなら揉みますけど…」
「いい訳ないでしょ!?何言ってんの!?」
父親と子供のような会話をする閻魔と鬼灯。
「その体型が原因じゃないですか?」
固まった肩を軽く叩く閻魔に、鬼灯はその体型を指摘する。
「あ~~……そうかもなあ。肥満は疾患に繋がりやす……」
腰を捻りながら言葉を紡ぐ途中、不吉な音がした。
明らかに健康によくない音だとわかる、嫌な音。
「どうしました、大王!?」
「何か骨の折れる音が聞こえたんですけど!」
驚いて駆けつけると、そこにはやはりというべきか、震えながら突っ伏す閻魔の姿。
「コレヤバイよ、ぎっくり腰かも。ちょっ…医者呼んで鬼灯君」
自身の身体に降りかかった異変に混乱する閻魔を、ほとんど表情のない鬼灯は無言で見下ろす。
「………………」
「完全に『どう料理してくれよう』って目ェしなすってる!!?」
「近頃、凜さんに玉砕されるあげく殴られたり蹴られたりしているもので、鬱憤が溜まってるんです」
「あたしのせい!?」
人相が変わるほど顔を歪め、ドス黒いオーラと共にドSの微笑みを浮かべる。
「旅人を一晩泊める時の山姥 の目だよそれは!?」
――きょうはちかくの医者がやすみです、とりあえず安静にしましょう。
静かでありながら不吉な言葉に、閻魔は戦慄した。
――むむむ謀反…!?
――ついに謀反!?
恐怖なんてもんじゃない。
目の前で見せつけられた眼光は、抵抗の意思全てを根こそぎ奪い去った。
どこからか持ってきた布団を敷いて、そこに閻魔がうつぶせに寝る。
「ふー」
凜が布団を敷く間、鬼灯はいそいそと取り出した本を読んでいる。
熟読している本を横目で見ると……題名は針療法。
(あ、これはまずい、本格的に閻魔様がまずい)
(ヒョエエエエエエエエエエ)
顔を引きつらせる凜と悲鳴をあげる閻魔を横目に、一通り読んで本を閉じた。
「……大体、理解しました」
「大体じゃ困るよ、しかも何!?君が治療するの!?鍼をやるなら白澤君 を呼んでよ!」
「あんなもの呼ぶくらいなら、自分で失敗したほうがマシです」
「ワシがマシじゃないよ」
――急に何ですが、一つ大事な注意があります。
――現世で正規の鍼灸師を名乗るには、厚生労働省管轄の資格が必要です。
じりじりと歩み寄る姿には、恐怖しか残らない。
「任せなさい、いいから任せなさい」
――信頼できるとか、できないとかそれ以前に……!!
「あの…!!」
絶対絶命の危機に陥る閻魔を見兼ねて、凜は声を発した。
「あたしは何をすれば……?」
「そうですね、凜さんには助手をお願いします」
脅威の姿が解けて失せる。
安堵の吐息をついた閻魔の傍にやって来て、耳許で囁いた。
「閻魔様、出来る限りあたしが抑えます。少し我慢してください」
「凜ちゃん…!」
潤んだ瞳で見上げると、まぶしい笑みが降り注ぐ。
すると、遊びに来たらしい三匹の内――シロの口ずさむ昔話の歌が聞こえてきた。
唱歌 花咲爺。
う~らのはったけ~でポチがなく~。
しょうじきじいさん、ほったればぁ。
「シロちゃん!」
お~おば~んこ~ばん~がざ~っくざ~っく。
ざっくざくざくざくざくざくざくざくざくざく(エンドレス)。
桜の木の下からやたらと小判をざくざく掘り返す。
それだけ掘り返せば、今度はお爺さんが腰を抜かすぞ。
「シロちゃん!シロちゃん、ちょっと助け……小判出すぎ」
ここ掘れワンワンのフレーズで有名な昔話を歌うシロは犬の名前に疑問を浮かべた。
「この歌さあ、何で『ポチ』なの?白い犬には『シロ』が最良でしょ?」
「…確かに花咲爺さんの犬は白いですけどね」
「アレ?閻魔大王?」
ルリオが布団に寝そべる閻魔の姿に気づいた。
「どーしたんスか、こんな所で…」
「床で寝るって気持ちいいよねぇ」
「大王は犬じゃねぇよ……」
的外れな発言をするシロに胡乱そうな眼差しを向けるルリオ。
鬼灯が状況を説明する。
「ぎっくり腰で動けないのです」
「医者を呼ぼうとしたんだけど、鬼灯さんが治そうとしてるの」
「そう、困ってるんだ…」
凜と閻魔が個人的な感情を入れつつ、ぎっくり腰を治そうしていると伝えた。
「あ~あの腰が痛いヤツ」
「あっ、あれ犬もなるんだよ。痛いよねえ~」
「えーと腰痛に効くのは……温めるのと……ハリと……あと圧をかけるとかか……」
腰痛に効く治療法を並べる内に、それが昔話で起きた死因だと気づき、トラウマからくる負担にうなだれる。
――全部俺の死因だ……。
「お前の中でそれ、相当トラウマなんだなー」
「どうでもいいけどそれ、何回見てもスーパーマリオの敵キャラだよね」
冷静にルリオは分析し、シロは呑気に笑う。
「柿助はカニの罪ほろぼしでその後、神獣として桃太郎のお供になったんだよね」
ふとした悪戯で死なせてしまったカニがいる天国に、
「オレ、どうかしてました」
と懺悔する。
「意外な事実」
「…結構シビアな話だね……」
しかしクリボーとドッスンとブンブンにやられたのは自業自得である。
その後に1UPキノコのように復活できたのだから、彼は孫悟空と同じで幸運な猿だろう。
「そりゃそうと、腰痛いのは辛いですね」
ルリオは閻魔の腰に飛び乗り、体温で温める。
「あっ、温かい…とりあえず、気持ちいいや……」
「卵温めてる親鳥みたいだね」
「…あぁ、凜ちゃんの存在と不喜処のアニマルセラピーが今のところ一番効く……」
「そんな大げさな」
口調自体は謙遜であったものの、幸い閻魔の方は、あまり気にしていないようだった。
どころか、その飾らない言葉や優しい性格に好感を抱いて笑顔になる。
「…なるほど。指圧というのもありますね」
凜と動物達の存在で癒される間、治療法を探す指はあるページで止まった。
「あっそれは鍼よりいいなあ。あんまり全力で押さないでよ?」
「凜さん、帽子を取ってください」
「はい」
帽子を取り、頭頂部に親指を押し当てる。
※現世で指圧師を名乗るにも資格が必要です。
そのまま押し続ける鬼灯に、閻魔は一抹の不安を感じた。
「あ~~…何か痛いけど、これ何のツボ?」
「昔ここを押すと、下痢になるって迷信ありませんでした?」
「あったけど、だからって何で押すの!?」
※ここに近い所に百会 というツボはありますが下痢にはなりません。
なかなかぎっくり腰の治療に取りかからず、そればかりか、もたらされたのは痛みばかり。
内と外からくる苦しさに顔を伏せつつ、苛立ちを募らせる。
「あ~~もう、イライラするな~~」
「早く腰痛を治しましょうよ」
「おや、ではこの『内関』というツボを押しましょう。イライラを鎮めるツボです」
手首に鬼特有の鋭い爪を突き立てるせいで、勢いよく血が噴き出した。
「動脈動脈!君が爪立ててるの動脈!!」
「大王はもう亡者なのですからいいでしょう別に」
「死なないから辛いの!」
※元・人間。
「わがまま言う子は地獄に堕ちますよ」
「え…うん…?いやそうだけど……」
「ここ地獄ですよ」
お母さん節を炸裂する鬼灯に、凜が半眼で言う。
「凜さんもわがまま言わないで、いい加減私の嫁になりなさい」
「うん、鬼灯さんがセクハラを止めるって言うなら考えてやってもいいけど」
トスを高く上げておいてアタークッ!と地面に叩き落とすという朱井の高等連携に、ガクーンと肩を落として地面にめり込みそうな勢いでへこむ鬼灯。
「ねぇ凜様、どうして鬼灯様の告白の答えを伸ばすの?」
一日中座りっぱなしな閻魔は、山のように積まれた書類があるにもかかわらず、だらだらとサボる。
「嫌です」
きっぱりと断る部下の冷たい返事に、むーっとしかめ面する。
「冷たいなぁ。だったら凜ちゃんに揉んでもらうよ。凜ちゃーん、ちょっとこっち来てー」
「はい?何ですか?」
閻魔に呼ばれた凜は仕事を中断して素直に歩いてくる。
すると、無言で伸ばした鬼灯の手が彼女の髪を引っ張った。
「いっ――いだだだだだ!!」
がくん、と前に踏み出した身体が後ろに引っ張られたと同時に、物凄い痛みが凜を襲う。
「凜さん、先程の仕事まだ終わっていませんよ。途中放棄は御仕置きです」
厳しい眼差しを向けられ、凜は委縮する。
「わっ…わかりました!」
――ごめんなさい、閻魔様!
胸中で閻魔に謝り、元の場所に戻ろうと踵を返した。
が、鬼灯はそれを許さず、彼女の背後から手を回して抱き寄せる。
「まさか、このまま帰れるなんて思ってませんよね」
「…え、やだ、やだやだやだ!やっぱこうなるオチですか!」
「まだ何もしてないのです。ヤりたい気持ちの強さは自分が一番理解しています」
「自信たっぷりに変態発言決まったああ!」
熱暴走する彼に手っ取り早く右手を一閃。
顔面を横から弾き飛ばされて、鬼灯は床に落ちた。
「何するんですか。ごっつ痛い、今のごっつ痛いです」
「こっちの台詞ですよ!今いきなりだったのは明らかに鬼灯さんでしょ!?」
自分より背の高い鬼灯を殴り飛ばし、凜は威嚇する。
明らかに常軌を逸した行動だが、閻魔はそれをもはや日常のように眺め、今度は腰を揉むようお願いした。
「じゃあ腰揉んでよ。最近あちこち痛いんだよね」
「折っていいなら揉みますけど…」
「いい訳ないでしょ!?何言ってんの!?」
父親と子供のような会話をする閻魔と鬼灯。
「その体型が原因じゃないですか?」
固まった肩を軽く叩く閻魔に、鬼灯はその体型を指摘する。
「あ~~……そうかもなあ。肥満は疾患に繋がりやす……」
腰を捻りながら言葉を紡ぐ途中、不吉な音がした。
明らかに健康によくない音だとわかる、嫌な音。
「どうしました、大王!?」
「何か骨の折れる音が聞こえたんですけど!」
驚いて駆けつけると、そこにはやはりというべきか、震えながら突っ伏す閻魔の姿。
「コレヤバイよ、ぎっくり腰かも。ちょっ…医者呼んで鬼灯君」
自身の身体に降りかかった異変に混乱する閻魔を、ほとんど表情のない鬼灯は無言で見下ろす。
「………………」
「完全に『どう料理してくれよう』って目ェしなすってる!!?」
「近頃、凜さんに玉砕されるあげく殴られたり蹴られたりしているもので、鬱憤が溜まってるんです」
「あたしのせい!?」
人相が変わるほど顔を歪め、ドス黒いオーラと共にドSの微笑みを浮かべる。
「旅人を一晩泊める時の
――きょうはちかくの医者がやすみです、とりあえず安静にしましょう。
静かでありながら不吉な言葉に、閻魔は戦慄した。
――むむむ謀反…!?
――ついに謀反!?
恐怖なんてもんじゃない。
目の前で見せつけられた眼光は、抵抗の意思全てを根こそぎ奪い去った。
どこからか持ってきた布団を敷いて、そこに閻魔がうつぶせに寝る。
「ふー」
凜が布団を敷く間、鬼灯はいそいそと取り出した本を読んでいる。
熟読している本を横目で見ると……題名は針療法。
(あ、これはまずい、本格的に閻魔様がまずい)
(ヒョエエエエエエエエエエ)
顔を引きつらせる凜と悲鳴をあげる閻魔を横目に、一通り読んで本を閉じた。
「……大体、理解しました」
「大体じゃ困るよ、しかも何!?君が治療するの!?鍼をやるなら
「あんなもの呼ぶくらいなら、自分で失敗したほうがマシです」
「ワシがマシじゃないよ」
――急に何ですが、一つ大事な注意があります。
――現世で正規の鍼灸師を名乗るには、厚生労働省管轄の資格が必要です。
じりじりと歩み寄る姿には、恐怖しか残らない。
「任せなさい、いいから任せなさい」
――信頼できるとか、できないとかそれ以前に……!!
「あの…!!」
絶対絶命の危機に陥る閻魔を見兼ねて、凜は声を発した。
「あたしは何をすれば……?」
「そうですね、凜さんには助手をお願いします」
脅威の姿が解けて失せる。
安堵の吐息をついた閻魔の傍にやって来て、耳許で囁いた。
「閻魔様、出来る限りあたしが抑えます。少し我慢してください」
「凜ちゃん…!」
潤んだ瞳で見上げると、まぶしい笑みが降り注ぐ。
すると、遊びに来たらしい三匹の内――シロの口ずさむ昔話の歌が聞こえてきた。
唱歌 花咲爺。
う~らのはったけ~でポチがなく~。
しょうじきじいさん、ほったればぁ。
「シロちゃん!」
お~おば~んこ~ばん~がざ~っくざ~っく。
ざっくざくざくざくざくざくざくざくざくざく(エンドレス)。
桜の木の下からやたらと小判をざくざく掘り返す。
それだけ掘り返せば、今度はお爺さんが腰を抜かすぞ。
「シロちゃん!シロちゃん、ちょっと助け……小判出すぎ」
ここ掘れワンワンのフレーズで有名な昔話を歌うシロは犬の名前に疑問を浮かべた。
「この歌さあ、何で『ポチ』なの?白い犬には『シロ』が最良でしょ?」
「…確かに花咲爺さんの犬は白いですけどね」
「アレ?閻魔大王?」
ルリオが布団に寝そべる閻魔の姿に気づいた。
「どーしたんスか、こんな所で…」
「床で寝るって気持ちいいよねぇ」
「大王は犬じゃねぇよ……」
的外れな発言をするシロに胡乱そうな眼差しを向けるルリオ。
鬼灯が状況を説明する。
「ぎっくり腰で動けないのです」
「医者を呼ぼうとしたんだけど、鬼灯さんが治そうとしてるの」
「そう、困ってるんだ…」
凜と閻魔が個人的な感情を入れつつ、ぎっくり腰を治そうしていると伝えた。
「あ~あの腰が痛いヤツ」
「あっ、あれ犬もなるんだよ。痛いよねえ~」
「えーと腰痛に効くのは……温めるのと……ハリと……あと圧をかけるとかか……」
腰痛に効く治療法を並べる内に、それが昔話で起きた死因だと気づき、トラウマからくる負担にうなだれる。
――全部俺の死因だ……。
「お前の中でそれ、相当トラウマなんだなー」
「どうでもいいけどそれ、何回見てもスーパーマリオの敵キャラだよね」
冷静にルリオは分析し、シロは呑気に笑う。
「柿助はカニの罪ほろぼしでその後、神獣として桃太郎のお供になったんだよね」
ふとした悪戯で死なせてしまったカニがいる天国に、
「オレ、どうかしてました」
と懺悔する。
「意外な事実」
「…結構シビアな話だね……」
しかしクリボーとドッスンとブンブンにやられたのは自業自得である。
その後に1UPキノコのように復活できたのだから、彼は孫悟空と同じで幸運な猿だろう。
「そりゃそうと、腰痛いのは辛いですね」
ルリオは閻魔の腰に飛び乗り、体温で温める。
「あっ、温かい…とりあえず、気持ちいいや……」
「卵温めてる親鳥みたいだね」
「…あぁ、凜ちゃんの存在と不喜処のアニマルセラピーが今のところ一番効く……」
「そんな大げさな」
口調自体は謙遜であったものの、幸い閻魔の方は、あまり気にしていないようだった。
どころか、その飾らない言葉や優しい性格に好感を抱いて笑顔になる。
「…なるほど。指圧というのもありますね」
凜と動物達の存在で癒される間、治療法を探す指はあるページで止まった。
「あっそれは鍼よりいいなあ。あんまり全力で押さないでよ?」
「凜さん、帽子を取ってください」
「はい」
帽子を取り、頭頂部に親指を押し当てる。
※現世で指圧師を名乗るにも資格が必要です。
そのまま押し続ける鬼灯に、閻魔は一抹の不安を感じた。
「あ~~…何か痛いけど、これ何のツボ?」
「昔ここを押すと、下痢になるって迷信ありませんでした?」
「あったけど、だからって何で押すの!?」
※ここに近い所に
なかなかぎっくり腰の治療に取りかからず、そればかりか、もたらされたのは痛みばかり。
内と外からくる苦しさに顔を伏せつつ、苛立ちを募らせる。
「あ~~もう、イライラするな~~」
「早く腰痛を治しましょうよ」
「おや、ではこの『内関』というツボを押しましょう。イライラを鎮めるツボです」
手首に鬼特有の鋭い爪を突き立てるせいで、勢いよく血が噴き出した。
「動脈動脈!君が爪立ててるの動脈!!」
「大王はもう亡者なのですからいいでしょう別に」
「死なないから辛いの!」
※元・人間。
「わがまま言う子は地獄に堕ちますよ」
「え…うん…?いやそうだけど……」
「ここ地獄ですよ」
お母さん節を炸裂する鬼灯に、凜が半眼で言う。
「凜さんもわがまま言わないで、いい加減私の嫁になりなさい」
「うん、鬼灯さんがセクハラを止めるって言うなら考えてやってもいいけど」
トスを高く上げておいてアタークッ!と地面に叩き落とすという朱井の高等連携に、ガクーンと肩を落として地面にめり込みそうな勢いでへこむ鬼灯。
「ねぇ凜様、どうして鬼灯様の告白の答えを伸ばすの?」