すっかり恋をしてしまった、と思う。
彼のことを思い浮かべるだけで、胸がいっぱいで、何も食べられないほどに。
彼のすらりと伸びた指はまるで成長期の子供のような細さで、成人男性とは思えないほどにか弱くも見える。しかし実際はすべてを赦し、救うような力強さがある。あぁなんと美しい。救いのみならず、赦しまでその身で与えようとは。
その指に、小生の穢れた欲望を絡ませることができたなら。
あなたは、私の罪すらも、赦せるだろうか。
「幻太郎、全然食ってねぇじゃねぇか！腹でも痛いのか？」
「いいえ、実は先ほど間食したばかりでね。帝統食べれそうならばどうぞ」
「そうか？まぁいらねぇならもらうけど…」
こんな欲望を一方的に抱くことを赦してほしい、なんて嘘ですけどね。