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幻寂SS


時間は前にしか進まない。
いくら留まってほしいと願っても、流れて行ってしまう。そしてその力に、人間の身体は抗えない。
少しずつ、君のことを忘れていくのが恐ろしい。君の顔を、表情を、声を、話し方を、匂いを、体温を、これ以上風化させたくない。
いや、既にありありと思い出せると思っているのは小生だけなのかもしれない。
今こうして思い浮かべている君が、本物の君と似ても似つかないものになってしまっているかもしれない。それがとても怖いんだ。
死んだら、どこへ向かうんだろう。
君の元に、行けるといいのだけど。
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