幻寂SS
夏は嫌いだ。まっすぐ降り注ぐ日差しは小生には眩しすぎるし、蝉は煩いし、汗でじっとりと湿った衣服はこの上なく不快だ。何より、あの理不尽な程に晴れた日を思い出すから。
公園のベンチに腰掛ける。日陰と言えどひんやりとする訳でもなく、蒸した空気が小生を撫で付ける。
「大丈夫ですか…おや?君は…」
「おや、神宮寺先生。大丈夫ですよ、休んでいただけですから」
「そうか、良かった。なんだか顔色が悪く見えたからつい、ね」
「ご心配お掛けしました」
「いや、いいんだよ」
ふわりと笑う、それだけでこんなにも小生の心に残酷なまでの光が降り注ぐ。
遠くで蝉の声が聞こえる。湿った襟口が首にまとわりつく。
あぁ、やはり夏が嫌いだ。
理不尽な程の、閃光を放つから。
公園のベンチに腰掛ける。日陰と言えどひんやりとする訳でもなく、蒸した空気が小生を撫で付ける。
「大丈夫ですか…おや?君は…」
「おや、神宮寺先生。大丈夫ですよ、休んでいただけですから」
「そうか、良かった。なんだか顔色が悪く見えたからつい、ね」
「ご心配お掛けしました」
「いや、いいんだよ」
ふわりと笑う、それだけでこんなにも小生の心に残酷なまでの光が降り注ぐ。
遠くで蝉の声が聞こえる。湿った襟口が首にまとわりつく。
あぁ、やはり夏が嫌いだ。
理不尽な程の、閃光を放つから。