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【共存】
煙草が嫌いだという化け狸は、しかし煙管をくわえていた。ぷかぷかと煙が上っている。
煙草が嫌いなんじゃなかったのかと尋ねると、狸は返す。
「仕方ないんですよ」
勢いよく息を吸い込んで盛大に白煙を吐き出した狸の周りに浮かぶ、人の顔。
「煙羅煙羅の為には煙の一つでも立てないと」
【そばにいた】
窓の外で首を吊っている女が、此方を見ている。夜になると必ず出るのだ。
うっすらと映る女は此方をじっと見つめてニヤニヤと笑う。
気味が悪いが窓を開けなければ無害だろう。そう思って部屋の電気を消した。
消さなければ良かった。
部屋の中で、窓の方を向いて笑っている首吊り女がいたからだ。
【後ろにいると言うから】
「私メリーさん、今あなたの家の前にいるの」
電話の向こうで静かな声。
え、どうしよう。段々近づいてきているなと思ってはいたが、思いの外早く来た。
また電話が鳴る。私は出る。
「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
とりあえず振り向かずに茶と菓子を背後に置いた。
え、と戸惑う声がした。
煙草が嫌いだという化け狸は、しかし煙管をくわえていた。ぷかぷかと煙が上っている。
煙草が嫌いなんじゃなかったのかと尋ねると、狸は返す。
「仕方ないんですよ」
勢いよく息を吸い込んで盛大に白煙を吐き出した狸の周りに浮かぶ、人の顔。
「煙羅煙羅の為には煙の一つでも立てないと」
【そばにいた】
窓の外で首を吊っている女が、此方を見ている。夜になると必ず出るのだ。
うっすらと映る女は此方をじっと見つめてニヤニヤと笑う。
気味が悪いが窓を開けなければ無害だろう。そう思って部屋の電気を消した。
消さなければ良かった。
部屋の中で、窓の方を向いて笑っている首吊り女がいたからだ。
【後ろにいると言うから】
「私メリーさん、今あなたの家の前にいるの」
電話の向こうで静かな声。
え、どうしよう。段々近づいてきているなと思ってはいたが、思いの外早く来た。
また電話が鳴る。私は出る。
「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
とりあえず振り向かずに茶と菓子を背後に置いた。
え、と戸惑う声がした。