【さて、どちらでしょう】
「あの世の話をしてやろうか? あのよぉ、なんつって!」
 そう言って笑う彼には足がない。膝から下がすっと透けている。
 足がない幽霊なんてフィクションの中だけのものだと思っていたのに。
「住む世界が違うと体が透けて見えるんだと」
 彼は言う。
 なら、彼から見ると足がないのは私か。
 私なのか。

【違う顔立ち】
 皆が皆同じ顔立ちをしている。無表情で歩いている。服装も似ている。
 恐らくクローンなのだろう。
 何人ものクローン達が町を闊歩している。いささか不気味だ。
 自分のように姿が違う存在の方が珍しい時代なのだ。
 自分を見て誰かが囁いた。
「単眼のロボットには人間なんて皆同じ姿に見えるんだよな」
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