妖怪道中膝栗毛

 ふるふると肩を震わせて、口が裂けた彼女が私を睨む。
 私はと言えば、先程シロ太郎と散歩から帰って来たばかりなので、睨まれる理由が分からない。
「誰……ですか」
 口が裂けた彼女が、涙目で私に問い掛ける。
「……何がだい?」
 私が首を傾げると、彼女は私の後ろを指差して、更に言った。
「その女の人は誰ですか!」
 私は振り向く。
 しかし、誰も居ない。
 変に思った私が彼女を再び見ると、彼女は頬に両手を当ててショックを受けていた。

「私……あなたに、おんぶして貰った事、無いのに……!」

 ……おんぶ?
 もしや、と思った私が、玄関に置かれた鏡を覗き込んで見ると。
 髪の長い女が、私の背中に、ぴったりとくっ付いていた。
「……誰だい、君は?」
「……うふっ」
 何やら、連れ帰ってしまった様だ。

《後神》
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