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お礼画面

「おやおや、こんな所で無防備にお昼寝なんて困った人ですね」

ある日の午後下がり、植物園の一角に置いてあるきのこの状態を見る為、そこに足を踏み入れると、トレイン先生の連れている猫、ルチウスくんといつもなら監督生さんと共にいるグリムくんに守られるようにして眠っている彼女を見つけた。彼らと同じように丸まって眠っている彼女をジッと見下ろす。白に近いグレーの髪からぴょこっと出ている三角形の耳。丸まった背中から下へと視線を向けると、細く長い折り畳まれた脚。彼女の穿いているプリーツスカートのお尻の辺りから伸びる縞模様の尻尾。見ての通り彼女は猫の獣人で、シャムとアメショのミックスだと以前話してくれた。

「はぁ……短いスカートで丸まって眠るのはやめなさいと前にも注意をしたんですけどね……」

彼女が身じろぐ度にスカートに隠されている白い太ももが姿を見せるので、あわよくば下着が見えるんでは? と期待するけれど、その度に彼女の両隣にいる彼らがその体や尻尾でそれを阻止した。

「さしずめ彼女はあなた達のお姫様ってところでしょうか?」
「ナ″ァ~」
「ならば、僕はそんなお姫様を魅了して海へと誘う役を担いましょうか」
「オ″ァ″ァ″~!」
「おや、怒ったんですか?」
「んー……何? うるさいよ……?」

目を擦りながら体を起こした彼女に、おはようございますと笑ってみせると、ビクッと肩を揺らし、僕から視線を逸らして引き攣った表情を浮かべた。ふふふ。どうやらこの後自分がどうなるかちゃんと理解しているようですね。

「僕前に言いませんでしたか?」
「い、言いました……」
「では、何と言ったか覚えてますか?」
「『お昼寝するならジェイドの隣か、何か掛けるものを用意する事』」
「よろしい。では、この後どうなるかも理解してますね?」
「あの、今日はリドルと約束が……それにラウンジのバイトも……」
「ダメです。リドルさんには後程僕からお断りしておきますし、ラウンジは僕が代わりに出ますからご心配なく」

行きますよと彼女の軽い体を抱き上げると、守るものがなくなったルチウス君はスッとその場を離れ、グリム君は未だふっくらとしたお腹を上下に動かして惰眠を貪っていた。

「あの、ジェイド……軽めに……」
「さぁ? それはあなた次第では?」

僕の言葉を聞いた彼女はそんなと泣きそうな表情を浮かべていた。それすら僕の嗜虐心を煽るというのに彼女は気付いていないのだろう。僕は、ふふふと足取り軽くオクタヴィネル寮へと向かう廊下を歩き、その間にすれ違った人達には、恐ろしい物を見るような表情をされたり、彼女を憐れむような視線を向けられたけれど、これからの彼女との時間を思うと気にならなかった。普段は抱っこ大好きなはずの彼女が、今日は小さくなりビクビクと体を震わせていた。怖がらせたいわけではないんですが、今日は仕方ないですね。彼女の前髪に隠れた額にチュッと触れると、彼女は真っ赤になって大きく綺麗な蒼い瞳でこちらを見上げた。それににっこりと笑って言葉を紡ぐ。

「いっぱい楽しみましょうね?」
「お手柔らかにお願いします……」

真っ赤になった顔を両手で隠した彼女と共に、寮へと続く鏡を潜ったのだった。

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