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お礼画面

「はぁー……」
「なになに? 超暗い顔してんじゃん」
「テストの点が悪かったのか? 僕も三十点で悪かったから安心しろ!」
「テストの点は九十点だったから悪くないし、寧ろ何にも安心出来ない」
「お腹空いた?」
「お腹は空いてないから大丈夫だよ、監督生ちゃん」


私を励まそうとデュースが言ってくれた事だとは分かっているが、そんな点数を取ってリドル寮長に首を刎ねられないか心配になったし、制服のポケットを探って出てきたのだろうキャンディを私に差し出しながら、これで良かったらと手の平にそれを乗せてくれた監督生ちゃんの優しさにありがとうと笑ってみせた。


「で? 結局何でそんな暗い顔してたわけ?」
「それは……」
「あ♡ 小エビちゃん!」
「フロイド先輩、こんにちは」


エースに話そうと口を開いた私の声を遮るようにその人物は、私の隣にいる監督生ちゃんに声を掛けた。この空間にいたくない。図書館にでも行こう。スッと席を立つと、借りていた本を腕に抱え図書館に行って来ると言い残してその場を後にした。


「あ……メダカちゃん待っ……! 小エビちゃん、オレ失敗した?」
「大失敗ですよ! もう! 何で先に私に声掛けちゃうんですか!」
「だってぇ……」
「もう! 図書館行きますよ!」
「え? なに? フロイド先輩アイツの事好きなの?」
「なに? カニちゃんもメダカちゃん狙ってんの?」
「フロイド先輩急いで!」



****



「今日は何を読もうかな? この辺のは読んじゃったし……」
「それならコレがおすすめですよ?」
「え? キノコの本?」
「はい。コレは四十四種類の毒キノコについての説明があったりと、意外と面白い一冊でしたよ?」
「ありがとうございます。読んでみますね?」
「お役に立てたようで良かったです」
「あ、なら私のおすすめも教えておきますね?」


ジェイド先輩と本棚の方へと歩いて向かっていると、腹部に回された腕にグイッと後ろに引かれ、誰だと後ろを振り返ると、眉間に皺を寄せて不機嫌を全面に出したフロイド先輩がそこにいた。さっきまで食堂で監督生ちゃん達といたのに、何でここに? 困惑している私を余所に、フロイド先輩はギュッと私をその腕の中へと収め、向かい側にいるジェイド先輩をムッとした表情で見据えた。


「メダカちゃんと何してたの? ジェイド」
「読むものを探してらしたので僕のおすすめをお渡しして、代わりに彼女のおすすめを教えて貰う為に移動していたところですよ」
「……その割には人気のない所に誘い込もうとしてたみたいじゃん」
「ふふふ、さぁ? 何のことでしょう」


一触即発の怪獣、いや、ウツボバトルが始まりそうな雰囲気を感じた私は、おずおずと彼らに声を掛けて、教室に戻りたい旨を伝えた。


「あの、そろそろ授業が始まるので戻りたいんですけど……」
「メダカちゃんはオレの事が好きなの! ジェイドは別のメス探して!」
「彼女がそう言ったんですか? 違うなら僕にもまだ頑張る余地はありますよね?」
「ダメ! メダカちゃんはオレが番にするの!」


図書館だという事も忘れて私を巻き込んだまま兄弟喧嘩をする二人に、どうしたもんかと嘆息していると、騒ぎを聞きつけてやってくる羽目になったんだろうアズール先輩に、頭に拳骨を一発ずつ受けた彼らは、首根っこを掴まれて引き摺られていった。


「他の女の子が好きなくせに、思わせぶりな事しないで欲しいよね、本当ヒドイ人……」


その様子を見送りながら、近くの本棚に体を凭れさせてぽつりと呟いた声に答える人はいなかった。





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