『ウサギとウツボの鬼ごっこ』
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「授業は終わったし、今日の何でもない日のパーティーはどんなケーキが出てくるかなぁ? 楽しみ♡」
さっきまで使っていた教科書類を片付け、ほとんど人が残っていない教室を出ようとしたらクラスメイトと、見た事がない人達なのできっと違うクラスなのだろう男子に囲まれた。なに? と私を取り囲む彼らを首を傾げて見つめていると、耳に激痛が走った。
「痛いっ! 耳引っ張らないで!」
「お前ウサギの獣人なんだろ? ならさ? お前も万年発情期なんじゃねぇの?」
「はぁ?! そんな訳ないでしょ?! 離せっ!」
「おい、早く剥けよ」
「分かってるって!」
教室の床に転がされ、逃げようにも手首も足も押さえこまれ、体を捻って抵抗するしか出来ない私の制服のベストとシャツのボタンを外すと、それを左右に開いて白い下着を私を押さえこんでいる男子たちの目に晒した。
「ちっせぇ体のくせに胸は立派なもんだな?」
「ホントだぁ……ホワイトシクリッドちゃんいいおっぱいしてんね?」
「へ?」
「あは♡ お前らさぁ? 人のもんに手出したらどうなるか分かるよな?」
「ひっ……ごめんなさ……」
私を押さえこんでいた彼らはあっという間にフロイドからの制裁を受け、全員が大けがを負ってその場で失神していた。いつもならやり過ぎでは? と思うけれど、今日は私自身に余裕がない為特に何も思う事はなかったし、むしろ、自業自得だと思ってしまった。彼らに開かれた胸元を隠すように小さくなって震えていると、フロイドが私の目線に合わせるように屈み、大丈夫? と優しい声で問い掛けてくれた。いつもの追い回す時と違う雰囲気のフロイドに困惑しながら、彼の胸元に縋るようにして怖かったと自然と溢れてくる涙をそのままに抱き付いた。
「よしよし」
「ゔー……怖かった……」
「うん、もう大丈夫だよ?」
「フロイド、助けてくれてありがとう。ひっく、でも、なんで
「あー……教室で放課後ホワイトシクリッドちゃん
「そっか……私ウサギの獣人だけどさ? だからって万年発情期なわけじゃないのに……」
「うん。ホワイトシクリッドちゃん、耳赤いけど痛い?」
「え? あ……さっき引っ張られたからかな……んあっ!」
「…………」
フロイドに耳を優しく撫でられ、何かゾクゾクしたものが背中を走り、自分のモノとは思い難い甘い声が出て、慌てて手を口に当てた。フロイドも私から発せられた声に驚いたようにその手を引っ込めると、私の肌蹴たままだったシャツとベストを正してくれ、ハーツラビュル寮まで送ってくれた。その間無言ではあったけれど、私の歩幅に合わせるように歩いてくれているのが分かり、彼の知らなかった面を知れたような気がした。
「げっ、フロイド……!」
「あ、金魚ちゃんじゃん」
「何で君がここに?」
「あ……あの、私がさっきクラスの男子に襲われてるところを助けてくれて、フロイドは心配してここまで付いてきてくれたの」
「何だって?! ケガは?! 相手はどんな奴なんだい?!」
「相手の奴らならオレが半殺しにして来たし、ホワイトシクリッドちゃんは上の服ひん剥かれそうになってる時に助けたから大丈夫なはず。あ、耳はちょっと痛そうだったからそれだけ気にしてやって?」
じゃあね? と体の向きを変えたフロイドに、ちょっと待ってと声を掛けると、昨日何でもない日のパーティー用にと焼いたクッキーをナフキンで包み、髪に結んでいた赤いリボンでその口を縛ると、さっきのお礼と彼にそれを差し出した。フロイドはフッと目を細めて笑うと、ありがとね? とそれを受け取り、ゆったりとした足取りで帰って行った。
「ティノ、あんな事があったんだし今日は部屋にいても構わないよ?」
「えー……こんなに美味しそうなおやつがいっぱいあるのに部屋に戻るのなんてイヤ!!」
「ふふ……そうかい? なら、好きなだけお食べ」
「やったー! いただきまぁす♡」
リドルの許可を得た私は、テーブルに所狭しと並ぶ色んなケーキやクッキー、タルトを頬張った。時折、リドルやトレイ先輩に頬に付いたクリームを拭かれながら、美味しいお菓子たちをモグモグと食べていると、ジッと誰かに見られている事に気付いた。こちらを見ている人物になぁに? と声を掛けると、彼はいや、めっちゃ食べるなと思ってと零した。
「トレイ先輩の作るお菓子美味しいし、リドルがいっぱい食べて良いって言ったもん」
モグモグと食べていると、ケイト先輩が紅茶のおかわりを淹れてくれ、ティノちゃんは本当に美味しそうに食べるよねと頭を撫でられた。先輩たちの手は大きいから撫でられるの気持ちいいな。でも、さっき撫でてくれたフロイドの撫で方が好きかも。追い掛けられるのは怖いけど、今度また撫でて貰おう。そう思いつつ満足するまで食べた私は、ケイト先輩の片付けるよと言う声に席から立ち上がり、他の寮生と共に片付けを始めたのだった。
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