朱色の瞳
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
聖域に住まう者なら、ちゃんとした手順を踏めば教皇やアテナとの謁見ができる。
鞘はその手順を踏んで、2人との謁見を申請した。
申請が手元に届いたサーシャとセージは何か他人行儀でひっかかるところがあるものの、謁見を断る理由もなく、許可を出した。
謁見の日にやってきた鞘は、しばらく見ないうちに随分と精悍な顔つきになった。
職人として励んでいるという噂に違わず、その手には大小様々な火傷の跡が残っている。
「謁見をお許しいただき、恐縮です。」
セージ「鞘、そなたであれば謁見申請などせずともエルシドを通してくれればよいものを。」
「…いえ、公私混同はなりません。私はあくまで聖域で働く一職人にすぎません。」
サーシャ「では、今回の謁見の目的を教えてください。」
「住居を移したく思います。」
セージ「引っ越すというのか? どこぞ当てはあるのか?」
「お聞き及びの事と思いますが、姉の墓所のすぐ横が姉の使っていた住居なのです。今すぐというわけではありませんが、手入れをすれば工房としての機能も復活できましょう。姉の墓守もしながら、職人としての修業をしたいのです。」
サーシャ「今の工房では、不足でしょうか? それとも、人との軋轢が?」
「いいえ、それはありません。工房の仲間も親方も、申し分ない待遇で接してくれます。ただ、1人で己を見つめ直したいのです。人に甘えてばかりでは進歩も望めません。」
セージ「そなたは誰にも甘えず、自分を律して修行の日々を送っているではないか。そなたの日々、ちゃんと報告で聞いているぞ。何か、他に理由があるのではないか? それから離れたくて姉の小屋へ移り住むと言うのではないか?」
セージの問いかけに鞘は何も言い返せなかった。
自分の中にある気持ちに気づき、それを誰にも気づかれないようにしたかっただけだ。
1人になれば誰にも会わなくて済むから。
サーシャ「エルシドと何かありましたか?」
サーシャのまさかの言葉に鞘はビクッと震えた。
サーシャ「何か、諍いが?」
「いいえ、いいえ…違います。彼にはもう…迷惑をかけるわけには…!」
セージ「それでもエルシドはあくまでそなたの後見人である。多少の迷惑はその役目の範疇だぞ?」
「…このままでは、私は私ではなくなってしまいます…!」
鞘は絞り出すようにそれだけ言うと、失礼しますと一礼して教皇の間を去った。
鞘はその手順を踏んで、2人との謁見を申請した。
申請が手元に届いたサーシャとセージは何か他人行儀でひっかかるところがあるものの、謁見を断る理由もなく、許可を出した。
謁見の日にやってきた鞘は、しばらく見ないうちに随分と精悍な顔つきになった。
職人として励んでいるという噂に違わず、その手には大小様々な火傷の跡が残っている。
「謁見をお許しいただき、恐縮です。」
セージ「鞘、そなたであれば謁見申請などせずともエルシドを通してくれればよいものを。」
「…いえ、公私混同はなりません。私はあくまで聖域で働く一職人にすぎません。」
サーシャ「では、今回の謁見の目的を教えてください。」
「住居を移したく思います。」
セージ「引っ越すというのか? どこぞ当てはあるのか?」
「お聞き及びの事と思いますが、姉の墓所のすぐ横が姉の使っていた住居なのです。今すぐというわけではありませんが、手入れをすれば工房としての機能も復活できましょう。姉の墓守もしながら、職人としての修業をしたいのです。」
サーシャ「今の工房では、不足でしょうか? それとも、人との軋轢が?」
「いいえ、それはありません。工房の仲間も親方も、申し分ない待遇で接してくれます。ただ、1人で己を見つめ直したいのです。人に甘えてばかりでは進歩も望めません。」
セージ「そなたは誰にも甘えず、自分を律して修行の日々を送っているではないか。そなたの日々、ちゃんと報告で聞いているぞ。何か、他に理由があるのではないか? それから離れたくて姉の小屋へ移り住むと言うのではないか?」
セージの問いかけに鞘は何も言い返せなかった。
自分の中にある気持ちに気づき、それを誰にも気づかれないようにしたかっただけだ。
1人になれば誰にも会わなくて済むから。
サーシャ「エルシドと何かありましたか?」
サーシャのまさかの言葉に鞘はビクッと震えた。
サーシャ「何か、諍いが?」
「いいえ、いいえ…違います。彼にはもう…迷惑をかけるわけには…!」
セージ「それでもエルシドはあくまでそなたの後見人である。多少の迷惑はその役目の範疇だぞ?」
「…このままでは、私は私ではなくなってしまいます…!」
鞘は絞り出すようにそれだけ言うと、失礼しますと一礼して教皇の間を去った。
