そして、沙織とシオンが同席して、葵歓迎のささやかな宴が教皇宮で行われる日。

先に沙織、シオン、童虎との面会もあった。


童虎「ほほぅ、サガとカノンの妹だけあって大層な別嬪さんじゃな。」

「童虎様、お初にお目にかかります。」

童虎「あぁ、そんなに畏まる必要はないぞ。ワシはただの聖闘士なのじゃから。お主の話はあらかた聞いておる。１２宮の癒しとなってくれれば嬉しいのぉ。」

「はい、童虎様。少しでも皆の心を和らげる事ができるよう、頑張ります。」

シオン「本当に美しくなったものだ…。おいで、葵。」

「シオン様…。」


シオンもまた、サガの乱で一度は命を落とした被害者である。

それを知っている葵の表情は曇る。


シオン「そのような悲しげな顔をするな。今は皆、健やかに生きているではないか。元よりそなたに罪などない。笑っておくれ、昔のように明るく優しいお前の笑顔こそ、皆の癒しなのだから。」

「シオン様ぁ…。」


その言葉が嬉しくて、葵は涙を流し、幼子のようにシオンへ抱きついた。

そんな葵の頭をシオンは優しく撫でてやる。


シオン「やれやれ、美しく成長したが泣き虫になってしまったな。」

沙織「葵さんは、優しい心を持っているからですよ。シオン。」

シオン「さぁ、葵。そろそろ泣き止んでくれぬとアテナがお待ちだぞ？」


シオンがハンカチで優しく涙を拭いてやる。

葵は改めて姿勢を正し、沙織に対面した。


沙織「皆に聞いておりましたが、やはり美しいですね…。改めてご挨拶しますね、葵さん。私が現代に降臨したアテナ、人の世では城戸沙織という名前です。どうか、よろしくお願いしますね。」

「双子座のサガ・カノンの妹で葵と申します、アテナ様。不束者ではありますが、これからは兄達を支え、聖域に僅かながらでもご奉仕できればと思っております。」

沙織「うふふ、そう硬くなさらないで。時々、私のおしゃべり相手になってくれると嬉しいですわ。年頃の娘さんが極端に少ないですから、１２宮は。」


同席していた双子達も妹が聖域首脳陣に歓迎される光景を見て、改めて安心するのであった。