聖域の一般人居住区をサガ達が訪れたのはさらに数日後…。

兄達の訪問に驚いたのは、身内の贔屓目を抜いたとしても美しく成長した葵だった。


「サガ兄さん、カノン兄さん…！」

サガ「久しぶりだな、葵。」

カノン「今まで、１人にさせて悪かったな。」

「馬鹿っ、馬鹿馬鹿！　私、寂しかったんだからねっ！　２人が聖戦で亡くなったって聞いて…、本当に独りぼっちになっちゃったって…寂しかったんだからね！？」


小さな手で胸をポカポカ叩かれても痛くも痒くもないが、心が痛かった。


サガ「すまない、すまなかった…。葵、すまない…。」

カノン「１人でよく頑張ったな、葵。あの夫婦のおかげだな…。」

「うん、うん…。」

サガ「葵、また一緒に暮さないか？　双児宮であの頃のように…。」

「え、でも…アテナや教皇様が許してくださるのかしら？」


葵は聖域に住まいしているので、掟なども熟知している。

サガやカノンの罪も聖戦での活躍によって払拭されて、復興にいそしんでいるとは聞いていた。

ある程度の復興の目処はついたとはいえ、許されるのだろうかと葵は気にしているのだ。


サガ「アテナはその慈悲を持って、お許しになった。再び、兄妹揃って暮らしてほしいと。」

カノン「葵の都合がついたら、一緒に暮らそう。他の黄金聖闘士達もお前との再会を心待ちにしているぞ。」


葵はサガとカノンの提案を受け、諸々の手続きを終えてから双児宮へ戻ったのである。

あの懐かしい、幼い日々を送った場所へ…。