葵は無事に救出された。

アイオロスが瓦礫を撤去しているうちに、他の仲間も駆けつけてくれた。

腕力に自信がある者は慎重に瓦礫を撤去し、ムウやシャカなど念動力に優れた者は瓦礫が崩れないようにコントロールしている。

ようやく全ての瓦礫を撤去し終わって葵を抱きあげる。


ロス「冷たい…。すぐに温めてあげないと！　カノン、双児宮に急ごう！」

カノン「あぁ！」


双児宮の女官に急いで湯の用意をさせ、湯浴みをさせて彼女の体温を上げさせる。

顔色も青白かったのがほんのり桃色に染まって、カノンも安心する。


ロス「大丈夫そう、かな…？」

カノン「あぁ。皆もこんな悪天候の中、ありがとう。風邪ひかないように気をつけてくれよ。」


葵は寝室で暖かくして眠っている。

怪我も大した事はなく、サガも胸を撫で下ろしていた。


カノン「さて、俺は皆が抜けて大変だろうからサガの補助をしてくる。すまんが、葵を見ていてくれないか。アイオロス。」

ロス「お、俺か？」

デス「あぁ、それでいいんじゃねぇの？　俺達ゃ、自分の宮に戻って温まるわ。」

ミロ「アイオロスなら、間違いなんて起こらないって。」

シュラ「正式な交際はまだだが、兄達が公認している仲だ。さして問題もないだろう？」

カミュ「サガが怒り狂わない程度にする事だな。」


皆がアイオロスに手を振り、双児宮を後にしてしまう。

カノンに言われたのか、女官達もそそくさと双児宮にある女官部屋に戻って行った。


ロス「おぃおぃ、俺にどうしろて言うんだ；」


アイオロスはカノンに教えられた葵の部屋に入っていく。

白やオレンジなど、明るい色合いの家具や壁紙などが目を引く。


ロス「女の子らしい部屋だな…。明るくて、居心地もいい。」


ベッドの横に椅子を置いて、アイオロスは腰をかけて葵を見守る。