豪雨の中、アイオロスは葵が通るであろう道を走っていた。

雨宿りできそうな場所は他の者に任せ、自分はそうではない場所を探す。

葵の小宇宙は一般人並みだから、感じ取るのは至難の業だ。

だが、愛しい人の小宇宙だから精一杯感じようとしながら走る。


ロス（葵、どこにいる？　君は今、危ない目に逢っているんじゃないか？）


すると、アイオロスの小宇宙へ微かに語りかけてくる声が聞こえた。


『助け…て、アイ、オロス…。』


その声を確かに感じたアイオロスは足を止める。


ロス「葵！？」


周囲を見渡すが彼女の姿は見えない。

だが、けして彼女の声を聞き間違えるわけがない。

アイオロスはゆっくりと周囲を見渡す。

すると、ある瓦礫の山が目に止まった。


ロス「あんな瓦礫、あったか…？」


気になって近づいてみると、瓦礫の隙間から布が見えた。

更に近づいてみて、アイオロスは思わず声を上げた。


ロス「葵！！！」


瓦礫の中にある水溜りの中で蹲るように倒れている葵がいたのだ。


ロス『皆、葵を見つけた！　瓦礫の下敷きになりかけている！』


アイオロスは瓦礫が崩れないように撤去を始める。


ロス「葵、もうすぐ助けるからな！」