カノン「サガ、葵がここに来ていないか。」

サガ「いや、今日は教皇宮には来ていないぞ。」


夕方、表は豪雨が降っていた。

カノンが少し焦った表情で執務室にやってきたのだが、葵はいない。


カノン「さっき、双児宮に戻ったんだが…。この書置きがあってな。」

サガ「市場へ買い物に行ってきます。夕方には戻ります…。おかしいな。双児宮にはいないんだな？」

カノン「あぁ、いつもならこんな遅くまで帰ってこないなんてなかった。この雨だ、どこかで雨宿りしているのかもしれん…。」

サガ「カノン。」

カノン「あぁ、探しに行ってくる。暇そうな奴がいたら、協力してくれるように声をかける。」


カノンはそのまま執務室を出て行った。

執務室はにわかに騒がしくなる。


サガ「任務に出ている者は別として、手の空いている者は手を貸してくれ。雨宿りだけならいいが、何かアクシデントが起きている可能性もある。私はここに残って皆の連絡を待とうと思う。」


本当は一番先に探しに行きたいサガだが、沙織もシオンも聖域にいない今、全権を預かる自分が出て行くわけにはいかなかった。

皆が寸分の間違いなくその気持ちをくみ取り、行動に出る。

サガは小宇宙を高めて自宮待機の黄金聖闘士達へ通達した。


サガ『皆、すまないが葵を探してくれ！　市場から戻ってきていないんだ！』


葵の危機となれば放っておけない、皆が宮を出ていく。

その中には、アイオロスの姿もあった。