サガ「その時から、私は最悪の事が起こるだろうと確信していました。だからこそ、私までいなくなった後の葵を考えて…ある夫婦に葵を託しました。」

シオン「ある夫婦？」

サガ「我らの両親の古い友人で、なかなか子供に恵まれない夫婦でした。聖域に仕えているから遊びに行く事も多く、葵もよく懐いていたので…。」


別れは辛かったが、これも葵を思えばこそ。

サガは断腸の思いで葵を夫婦に託し…その直後にあの忌まわしい事件が起こったのだ。


カノン「私はこの復興の間に、サガから事情を聞きました。逆の立場であれば私も同じ事をしたでしょう。」

沙織「愛しているのですね、葵さんを。それで、葵さんは今どうしているのですか？」

サガ「夫婦はとても愛情深くあの子を育ててくれましたが…。相次いで亡くなって今は１人暮らしをしている事がわかりました。」

シオン「何と…。では、そなたらの願いとは…。」

サガ「はい。葵を再び双児宮に迎えて、兄妹一緒に暮らしたいと…願っております。」


深く頭を下げるサガとカノンを見て、沙織は慈愛あふれる表情を浮かべた。


沙織「私に反対する理由はありませんよ、サガ、カノン。妹さんを迎え入れてあげなさい。シオン、よろしいですわね？」

シオン「そうですな…。きっと、ムウ達も懐かしむ事でありましょう。よかろう、その願い確かに聞き届けた。都合がつき次第、迎え入れるがよい。」

サガ・カノン「「ありがたき幸せ！」」

沙織「シオン、この事を他の黄金聖闘士達にも教えてあげましょう？　彼らも多かれ少なかれ葵さんとの思い出を持っているはずですもの。きっと、驚いて喜びますわ。」

シオン「そうですな。では、彼女が引き取られてから改めて歓迎の宴でも開きましょう。」


沙織とシオンの葵歓迎の言葉を聞き、双子達は珍しく満面の笑顔を見せた。

そして、翌朝の謁見でその事が報告され、他の黄金聖闘士達も歓迎の意を示したのである。