★中編★


アイオロスにとって、葵は可愛い妹。

その妹が１３年ぶりに１２宮へ帰ってくるというので、彼も彼なりに楽しみにしていた。

そして、久々の再会を果たした時、彼女は想像以上に美しい女性に成長していた。

同僚達とはしゃぎ、会話する彼女を見ている内に心へ湧いた感情。

彼女は妹じゃない、女性だという気持ち…。

その時点で、彼は葵に惹かれ始めていたのだ。


ロス「はぁ…。」

シオン「どうしたのだ、アイオロス。そのようにため息をついて。」


執務中にアイオロスが大きなため息をついたので、シオンは声をかけた。


ロス「あ、いえ…。何でもありません、教皇。」


アイオロスは慌てて書類の作成に意識を戻したのだが、シオンの中に彼への疑問が刻まれた。


シオン「アイオロスは、何ぞ悩みがあるのではないか？」


アイオロスが席を外している内に、シオンが皆に尋ねた。


童虎「悩み？　何故そう思うのだ。」

シオン「時々、何か憂いを帯びた表情でボーッとしているし、溜息もよくつくからな。アイオリア、そなたは何か知らぬか？」

リア「俺にも見当がつきません。ですが、教皇のおっしゃる事は確かです。兄らしくない時があります。」

ムウ「いつ頃からなのでしょうね、そのようになったのは？」

シオン「つい最近、私も気づいたのだ。最近、何かあったか？」


最近の出来事を皆が思い出そうとすると、ミロがある事に気付いた。


ミロ「最近と言えば、葵がサガ達と暮らすようになった事だよな。」


その言葉で、皆がピンときた。


童虎「なるほど、恋患いじゃな。」


童虎の言葉に、皆が苦笑いを浮かべた。