春の女神と始まりの詩
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第2話「黄金達の警戒」
翌日、女官達に手当てを受けた葵はいつもと変わらぬ風に過ごしていた。
ただ、外出禁止を沙織から言い渡されているのが辛い。
葵を心配した沙織が外出を控えるように言ったので、大人しく従う他無い。
さらに、沙織の目も節穴ではなかった。
沙織「葵。」
「なぁに?」
沙織「…本当に転んだだけですか? 誰かに危害を加えられたのではないですか?」
明らかに植物で引っ掛けたり、転んだだけでは出来ない傷や痣もあるのだ。
ペルセフォネは春を司る女神だが、その能力は母であるデメテルと比べても遜色ない。
自分達を庇護してくれる立場の女神を傷つける植物など、ある筈が無い。
「本当だよ? 葵、ドジだから…; 日本のお屋敷でもよくあったよ?」
沙織「そういえば、そうでしたね…;」
こう見えて葵は昔からドジだったし、擦り傷切り傷をこしらえては辰巳やメイド長が青ざめていた。
沙織「とにかく、しばらくは外出を控えなさい。ね?」
「…ぅん。」
沙織「いい子ですね。では、明日からは大人しく養生しなさいね?」
「はぁい…。」
…というわけで、葵は教皇宮から下へ行く事を禁じられたのだ。
あの雑兵たちの事を言えば、沙織はきっと意地でも見つけ出して処分を下すだろう。
いくら聖域を治めるアテナの妹といえ、自分は押しかけ同然で世話になっている身。
そんな自分が聖域の人手を減らしてしまうのはいけない事だと理解していた。
とはいえ、流石の葵も暇でしょうがない。
(お姉ちゃんは執務中、女官さんもお仕事中…。う~、やる事が無いよ;)
時々、小鳥達が話し相手になってくれるが1日中という訳でもない。
教皇宮の庭に出ればたくさんの植物と会って話も出来るだろうが、必ずと言っていいほど黄金の誰かと会ってしまう。
だから、あまり行かないように心がけていた。
(日本のお屋敷が、懐かしいな…。)
日本の城戸邸には、日本出身の青銅が一緒に暮らしていた。
皆、歳が近い事から葵をとても可愛がってくれたものだ。
自分がペルセフォネであると告げても、何らその態度や反応が変わる事も無かった。
(青銅の皆に会いたいな…。庭のお花畑もどうなってるのかな? 鳥さん達のヒナも元気かな?)
目を閉じれば、今も色鮮やかに甦る城戸邸。
広大な敷地は緑豊かで、小動物もいた。
そこに居る人達もとても優しくて、葵は少し帰りたい気持ちになってきた。
(…駄目。帰りたいなんて言ったら、お姉ちゃんがきっと悲しむ…。聖域は居心地が良くないのかって…。)
大好きな沙織を少しでも悲しませたくない葵は、その優しさゆえに自分の気持ちを心の奥に閉じてしまった。
翌日、女官達に手当てを受けた葵はいつもと変わらぬ風に過ごしていた。
ただ、外出禁止を沙織から言い渡されているのが辛い。
葵を心配した沙織が外出を控えるように言ったので、大人しく従う他無い。
さらに、沙織の目も節穴ではなかった。
沙織「葵。」
「なぁに?」
沙織「…本当に転んだだけですか? 誰かに危害を加えられたのではないですか?」
明らかに植物で引っ掛けたり、転んだだけでは出来ない傷や痣もあるのだ。
ペルセフォネは春を司る女神だが、その能力は母であるデメテルと比べても遜色ない。
自分達を庇護してくれる立場の女神を傷つける植物など、ある筈が無い。
「本当だよ? 葵、ドジだから…; 日本のお屋敷でもよくあったよ?」
沙織「そういえば、そうでしたね…;」
こう見えて葵は昔からドジだったし、擦り傷切り傷をこしらえては辰巳やメイド長が青ざめていた。
沙織「とにかく、しばらくは外出を控えなさい。ね?」
「…ぅん。」
沙織「いい子ですね。では、明日からは大人しく養生しなさいね?」
「はぁい…。」
…というわけで、葵は教皇宮から下へ行く事を禁じられたのだ。
あの雑兵たちの事を言えば、沙織はきっと意地でも見つけ出して処分を下すだろう。
いくら聖域を治めるアテナの妹といえ、自分は押しかけ同然で世話になっている身。
そんな自分が聖域の人手を減らしてしまうのはいけない事だと理解していた。
とはいえ、流石の葵も暇でしょうがない。
(お姉ちゃんは執務中、女官さんもお仕事中…。う~、やる事が無いよ;)
時々、小鳥達が話し相手になってくれるが1日中という訳でもない。
教皇宮の庭に出ればたくさんの植物と会って話も出来るだろうが、必ずと言っていいほど黄金の誰かと会ってしまう。
だから、あまり行かないように心がけていた。
(日本のお屋敷が、懐かしいな…。)
日本の城戸邸には、日本出身の青銅が一緒に暮らしていた。
皆、歳が近い事から葵をとても可愛がってくれたものだ。
自分がペルセフォネであると告げても、何らその態度や反応が変わる事も無かった。
(青銅の皆に会いたいな…。庭のお花畑もどうなってるのかな? 鳥さん達のヒナも元気かな?)
目を閉じれば、今も色鮮やかに甦る城戸邸。
広大な敷地は緑豊かで、小動物もいた。
そこに居る人達もとても優しくて、葵は少し帰りたい気持ちになってきた。
(…駄目。帰りたいなんて言ったら、お姉ちゃんがきっと悲しむ…。聖域は居心地が良くないのかって…。)
大好きな沙織を少しでも悲しませたくない葵は、その優しさゆえに自分の気持ちを心の奥に閉じてしまった。