沙織「これが、あの荒涼としていた墓地なのでしょうか…。」


沙織ですら呆気に取られている。

まるで、墓石の灰色に染まっていたこの大地は、今や色とりどりの花で埋め尽くされ、エリシオンのようであった。


「この花は、ペルセフォネの小宇宙がある限り、ずっと瑞々しく咲いている花なんだよ？」

一輝「…これなら、今は亡き聖闘士達も喜んでくれるだろう。」

沙織「そうですね。ありがとう、葵。」

「えへへ…///　あ、でもね？　ここだけじゃなくて聖域でもたくさん荒れている土地とか、傷付いている植物とかあるんだよ。私ね、そんな所をここみたいにしたいの！」

シオン「それは素晴らしい考えだ。傷付いた大地を癒し、植物達を癒すのは葵殿にピッタリのお役目。」

沙織「では、これからも葵にお願いしましょうか？」

「うんっ///！　私、少しでも聖域が良くなるように頑張るね！」


この時の葵の笑顔は、極上の笑顔。

それに胸が高鳴り、ときめいた黄金達も少なくない。


沙織「では、教皇宮へ戻りましょう？　今夜は、葵の歓迎パーティーですわよ！」

全員「「賛成っ！」」


こうして、幼い春の女神は聖域へ暖かく迎え入れられた。

苦慮するかと思われた雑兵や他の聖闘士、神官や文官の対応だが案外すんなりといった。

どうやら、彼女が墓地を花で満たした小宇宙は聖域に住まいする全ての者に届き、その本質を誰もが寸分違わず捉える事が出来たようなのだ。

その後、葵は聖域の皆に愛され、聖域を花で満たすお役目を頂戴して活躍していくのだが…。

彼女に恋心を抱いた黄金達が、沙織や青銅達に目をつけられ、妨害を受けるという事も起き始めていたのだが、それはまた別の話である………。


ＥＮＤ

2024年8月18日加筆修正